28年ぶりにMr.Childrenのライブを観に行った話。
10月27日。28年ぶりにMr.Childrenのライブを観に行った。
最後に観たのが1996年アルバム「深海」のレコ発ツアー(会場は広島グリーンアリーナ)で、当時、私は高校生。この日を迎えるまで、曲はそれなりに聴いて来たけど、現在はどんなライブをしているのか全く知らない状態で行った。そもそも、なんで突然観に行こうと思い立ったのかを書きだすと長くなってしまうから割愛するけど、強いて言うなら、昨年のKANさんとチバユウスケのことがあったから。
何よりミスチルは中学生の頃、私に生まれて初めて出来た推しなのだ。
アリーナだからこそ可能な迫力ある映像と、アーティスティックな照明の効果で、アルバム「miss you」の世界の再現していく。その全ての技術の高さに脱帽。もちろん歌、演奏ともにもう完璧過ぎで「音源流してるんじゃないか?」と疑いたくなるほど隙がなかった。
ところが私は戸惑っていた。
なぜなら、この隙のなさが後に私がミスチルにそこまでのめり込めなくなった理由なのだなとわかってしまったから。ステージとフロアの距離が近くて、ワチャワチャやってるライブハウスの楽しさを知ってしいる立場としては、こっちの方がやっぱり私は好きだ。だから、今とんでもない景色を観ているのに、なぜか戸惑う。ミスチルは私にとって「テレビの中のロックバンドのままだわ」と少しばかり距離を感じていた。
だけど、ダメ男の愛の歌「Everything (It's you)」のイントロを耳にした時の高揚感たるや。この曲、あんまり好きじゃなかったのに、なんでこんなに歌詞が沁みてしまうんだろう?あぁそっか。私もそれなりに人生経験積んだんだな。本編ラストの「終わりなき旅」は、コンプレックスまみれの高校時代にこの歌詞にすごく励まされていたのに、中年になっても曲はまるごと私を肯定してくれている。それに、あの頃好きだった曲は今でもソラで歌えるのだった!「優しい歌」のサビでは拳を上げて♪オーオってシンガロングに参加し、「Sign」で大号泣。テレビドラマの主題歌として聴いていただけだったのに、「人を愛すること」の深い意味をこの曲で桜井さんは歌っているのだとわかると、ミスチルが長い時間たくさんの人に聴かれ続けている理由が明確になる。
私にとっては彼らがテレビの中のロックバンドであることは変わらなかった。でも、ミスチルの方から観客側に歩み寄ってくれているのも事実で、そこに日本を代表するスタジアムバンドの凄みを感じた。何より、90年代半ばに爆発的に売れてから色々と背負わされてきた人達が、今年でデビュー32年目を迎え、今度は50年に向けてバンドを転がしていくと言う(ニュアンス)。そんな桜井さんの強い決意表明とも受け取れるMCに、今はもう「あらゆるものを自ら背負う覚悟でいる50代のミスチルなのだ」と思うと、私なんてまだまだ子供だ。なんだか「疲れた~めんどくさい~」連呼の自分があまりに情けなくて、ものすごく恥ずかしくなった。
1997年の突然の無期限活動休止(とその前後に起きた様々な騒ぎ)からしばらくの間は、大好きなミスチルが聴けなくなり「もうライブなんか二度と観たくない!」とすら思っていたし、それからもう少し時間が経った頃に「ライブ…行ってみようかな?」と思い立ってチケットを申し込んだ過去もあるけれど、ぜんっぜん取れない。だから二度と観れないものだと思っていたけど、本当に賭けてみてよかった。
まるで、人生の答え合わせのような時間でした。また観に行きたいと思う。