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「Hedigan's Warehouse Session」を観て。

10数年前に観たGRAPEVINEのライブでは、Vo&Gtの田中さんが突然門扉を叩くセッションを始めたり、ギターのネックをマイクスタンドに擦り付けたりしていて、「我々は何を見せられているのか?」なんてポカンとしながら良く思ったけれど、Hedigan'sのライブもそれに近いものがある。

遡ること今年の5月。GRAPEVINEとHedigan'sの対バンライブで、初めて彼らのライブを観たときだった。セットリストの前半5~6曲が未発表曲、その内容も「時代とか流行りとか知ったこっちゃねえ」みたいな姿勢に感じられた。すでにリリースされていた曲のアレンジも原曲通りではなく大胆に変えているので、歌が始まってようやく「あの曲か!」と気が付く。ところが、お客さんに対してはケンカ腰ではない(どちらかと言えば謙虚)。私はちょっと困惑していたけれど、バンド自体はその状況を楽しんでいるように見ええた(これはGRAPEVINEとの共通点でもある)。

ただ問題は、当時はまだバンド結成から1年が経つか経たないかぐらいで私以外にも初めてHedigan'sのライブを観る人も多かった中でのこれだったこと。今振り返ってみても脱帽である。


今回、12月13日22時より公開された配信ライブ「Hedigan's Warehouse Session」では、11月に配信リリースされたファーストアルバム『Chance』からの曲が中心のセットリスト。とは言え、即興的かつ実験的なアレンジで原曲にはない色を付ける。Hedigan'sらしいなと思ったのは「敗北の作法」の曲中で、マイクに向けてブタのオモチャをブーブー鳴らしてたところ。吹き出してしまった(あんなカッコいい映像の中でのブタ登場は笑うしかない)。他にもライブ中にメンバー全員が様々なネタを披露しているから、画面から目も耳も離せない。

とにかく自由。自由奔放なのライブだったが、果たしてそう簡単に「自由」という言葉で彼らのライブを表現して良いものか?と私はちょっと悩んでいる。

私の思うHedigan'sが体現している自由とは、「人に受け入れられるか、どうか」よりも、固定観念にとらわれず、やりたい音楽をやりたいようにやる。とにかく楽しくやる。予定調和に進めるのではなく、思いも寄らないことがステージ上では起きてこそラッキー!みたいなものではないかと。だから観ていて本当に面白いし「バンドが好きだ、音楽が好きなんだ」というプリミティブな感情を刺激してくる。そして、めちゃくちゃやっているように見えても、ちゃんとライブとして成立しているんだもん。すごいと思う。


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coco
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