チバユウスケへ 献花の会 『 Thanks!』
2024年1月19日、チバユウスケへ 献花の会 『 Thanks!』が開催された。
今年の元日に詳細が発表されると、私には「行かない」という選択はなかった。「もっとライブに行けばよかったのかもしれない」という後悔の念を、こういう形で晴らすのはどうかと思ったけど、あんなに好きだったのにミッシェルガンエレファント(以下ミッシェル)、解散前の最後のライブ「LAST HEAVEN」に行けなかったことや、他様々な理由から、どうしても行っとかないといけない、という思いしかなかった。そして、無事、第一希望の時間で当選することができたけれど、追加枠を出しても落選した人、また遠方住みだから向かうのが難しい人もたくさんいたのも事実だった。そんな切ない気持ちを抱えながら、モッズスーツもライダースも似合わない私はいつも通りの服装で、過去に観てきたチバ関係のライブのチケットを持参し会場であるZepp Divercity TOKYOに向かった。
集合時間前から物凄い人だかりができていた。集まっているのはだいたいが30代以上の大人ばかりで、チバを意識したファッションに身を包んだ人も多く見かけた。整列し、入場時間がどんどん近づき列が動き出したときにはすでに涙目になってしまう。入口付近の階段で待ってたら、The Birthdayのライブではメンバー入場時のSEとしてお馴染みの「sixteen candles」が聴こえてきた。そして、今度はライブハウスのドア自体が開いたのだろう。覆いかぶさるように「マシュマロ・モンスター」が耳に入る。その瞬間がしんどすぎた。
電子チケットを見せ、渡された献花はガーベラだった。The Birthdayに「ガーベラの足音」という曲があるから選ばれたのだろう。私は色が真紅のものを渡され、なんとなくその色がチバっぽくて嬉しかった。実際にライブハウスに入るまでの通路には何枚もチバのポートレートが飾られていた。チバ自身が撮影した写真もあった。
そして、入場。「Mother」が爆音で流されていた。背景には小さなライトが散りばめられ、満天の星空を模したようになっていて、真ん中にマイクを握りめた手を掲げたチバの大きな写真がある。その真下に赤いガーベラで星が作られていた。キャンドルとたくさんのユリが飾られていたので、会場内はずっとユリの甘い香りがしていた。そっか、これはミッシェルの「リリィ」からだね。
ピックが付いたままのマイクスタンド、アンプの上にはエフェクター?がひとつとマリア像が置いてあって(どうやら灰皿もあったらしい)、黒いGretschもピカピカに輝いていた。
献花台にガーベラを手向けて、ありったけの思いを伝えた。そしたら、「あぁ、チバは本当に亡くなったんだなぁ」と、それまではどこかぼんやりしていた事実に現実味がわいてきて涙が止まらなくなった。私はただのファンでしかないのに、身内が亡くなったときに味わったものと同様の喪失感と悲しみに襲われてしまった。でも、悲しいときは悲しんだ方が良いのだろうと、静かに泣くだけ泣いた。涙をぬぐう人をチラホラ見かけた。
少しの間、チバの写真を眺めながら爆音に浸っていたら「抱きしめたい」が始まって「うわっ」て気持ちが上がる。しかも、なんだか妙にチバの声が近くに感じたのは、ライブ音源だったからだ。臨場感があって目の前でチバが歌っているような気がした。また泣いた。やっぱりライブハウスでお別れ会が正解だったと思った。その後には「ゲット・アップ・ルーシー」「ハイ!チャイナ!」と続き、今度は一気に青春時代がよみがえる。ミッシェルを通して仲良くなった高校時代の友人、しばらく会ってない大学時代の仲間のことを思い出した。その後、インストの曲(記憶があいまいだけど多分チバのソロ曲)から「ホロスコープ」になると、いつまでもここにいたら逆に帰れなくなりそうだったので、その場から離れた。
チバが亡くなったことをきっかけに、私は自分の過去を改めて振り返った。
ミッシェルとの出会いがあったから、一件、不幸だと思っていた出来事が実は転機だったと受け止め方が変わったこと。そして、そういう時代を生きてきたから今がある、と認めることができたこと。アベが亡くなったときは、私もまだ20代で若かったから過去を見つめる余裕が全くなかった。何より、アベが亡くなった事実を受け入れたくなくて、ミッシェルと彼らにまつわる全ての記憶を自分の胸の中に押し込めた。その後、その蓋を開けることもなかった。でも、人にはそういうものと向き合わなければいけない時はやってくる。それがチバの死だった。原点に立っていた人がいなくなって、初めてそれに気が付くなんてなんだか言葉にできないけれど、ただ、好きなものや好きなひとを「好きだ」という気持ちは本当に美しくて、生き方を変えてしまうくらい強く、それさえあれば人は生きていけるものだと、チバは私に気づかせてくれた。だから、私はそういう気持ちに何歳だろうが恥ずかしがらずに誇りを持っていたい。
退場口に向かう通路には、チバが描いたイラスト2枚とチバのポートレートが1枚。何度も撮影を共にした写真家アミタマリさんが撮ったものだと記憶している。そして、スタッフの方に記念のフォトカードを渡された。会場を出たら一気に現実に引き戻された感じもしたが、それで良かったと思う。ケジメを付けたかった。だって、私はまだまだここでやることありすぎるから。悔しいし、寂しいし、悲しい。だから「お前のそのくそったれの世界、俺はどうしようもなく愛おしい」って空の上から歌っていておくれよ。涙がこぼれそうになって、絶望に絶望してるヒマがあったら、グチってばっかいねぇで愛で愛でぬりつぶすよ!!!!!
チバユウスケ、あなたは永遠に私のロックの神様だからね。
Thanks!