心の武器を扱う戦闘系ローファンタジー(仮)

「……来たぞ。総員構え!!」
バラバラに金属の音が響く。武器も背格好も不揃い。およそ組織のようには思えない集団は、それでも一人の号令によって己の武器を構えた。
それでもどこかゆるい空気は残っており、ひそひそと雑談を交わす者もいる。
「……いつ見てもだっせー武器」
「あァ? ケンカ売ってんのか」
「二人とも。俺の謎の城よりマシだろ。今は敵に集中して」
「わあってるよ、と!」
一人が黄金に輝く棒を振り回した。それを皮切りに、戦闘が始まる。指揮官の舌打ちが喧騒に消えた。
バールに似た形状が空間を切り裂いて唸る。しいて言えば怪物のような影は宙で派手に裂けて飛び散った。
「ニクラス! てんめ、もっと大人しく立ち回れっていつも言ってんだろーが!」
「サイッアク。服についたわー」
「ちょっとおれの方だけ量多いんですけどー!? だれか、誰かヘルプー!」
飛び交う怒号と破壊の音。それをほんのしばし見つめると、ニクラスは楽しそうに口の端を釣り上げた。大地を蹴って、悲鳴を上げていた男の方へ駆けていく。
挨拶代わりにバールを一閃。男に迫っていた影を思い切り殴る。
「ニクラス! 助かったよー!」
「はいはいオレを称えるのは後。お前はオレの背中だけ守っとけ。いけるな」
「ははっ、さっすがチート。自分の死角以外は全部仕留めるって解釈でいい?」
「何とでもいえ」
少年の『チート』という呼称にニクラスは一瞬眉を顰めた。しかしすぐに真顔になり、武器を構える。
ニクラスの特殊能力は『視界の果てまで届く射程』。本来近接武器として活躍するバールに、特殊能力をかけて投擲、もしくは分割して殴打することで、たった一人で近中遠の距離をまかなうことができる。
それこそが、彼が戦闘マシーンと呼ばれる所以だった。
「ま、一点集中なら任せといて!」
そろそろ戦闘マシーンをバディに誘う準備もできている。この戦闘が終わったら。少年はありったけの気迫を込めて、己が武器である角杭を振りかぶった。

(いいわけ)829字。診断メーカーさんより。ありがとうございました。
心の武器、略して心器(じんぎ)と勝手に名付けたけど解説だるいし胡散臭くなるのでやめました。ちなみに最後の少年の武器は『無数の杭』であって角杭ではないっていう地味設定。最後フラグっぽいですが死にません。

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