しんしんと、時だけが降り積もる冷たい夜。あまりにも静かで、だからこそ何をしても良いように思えてくる。誰にも目を向けられない、まるでこの星の空気になったみたいだ。
一緒にいたいのに理由なんてない。理由がなくてもいいから、一緒にいたいの。理由が無いのが理由なの。
「何があっても、この世界は最高だ! って、笑っていたいの。私、そのために旅を続けたい」 「じゃあ、あの人とは? あの人とは、何の為に一緒にいるの?」 「理由が必要なの? ……そうね…『俺たちは最高だ!』って肩を叩きたい相手だから、かも」
② 『もしもこの先、私にほんの少しでも会いたいと思ってくれたなら。その鈴を鳴らしてください。きっと駆けつけます。どこへでも』
① 「もう放っといてくれよ!!」 音もなく、肩から羽織が滑り落ちる。 「オレは強くなりたくなんてない!! 苦しいのも辛いのも嫌だ! 強くなるって最悪なんだよ! 苦しくて辛くて惨めで、その上約束された未来なんかこれっぽっちも無い!」 一息に言い切った少年の息は荒い。