不安定な世界のリアル
こちらのnoteは天羽々幽香さんの作品「XXX」への批評となります。幽香さんの作品はこちら。
一読したときは、タイトルの「XXX」に「こころ」が入るのかなと思いました。からだという器を動かすものが「こころ」なのではないかと。
しかし、批評のために何度も読み返しているうち、そもそも「こころ」は「からだ」とどうあがいても切り離せないもので、一体であって、最終的にからだ(を動かす彼女のこころ)を求めた「私」にとって、このタイトルの「XXX」は遺伝子のことなんだろうか、とか、大いに空想を広げさせていただきました。
世の中を斜に構えたような「私」が満たされる瞬間、それがもしかしたら「終わりの始まり」=「生(性)の是認」なのかもしれない、と読み取りました。
小説は織物のようだと考える私にとっては、トリッキーな網目の連続で、少し読みづらさも感じたのですが、そこはこの作品の良さでもあり、先の読めない不可思議な空間を見事に織り成していると思います。全体的に詩的であり、どこかシニカルでもあり、リアルの中にファンタジーが融合されている感覚、癖になります。
あと、これはオバさんである私目線なのですが、文章に勢いがあっていいなぁ、と。若さゆえの多少の荒削りさも、味になっていると感じます。
しいて書くなら、展開と展開のあいだにもう少し丁寧な描写があれば、さらに磨かれるとも感じました。例えば、「小さな火種」「劇的な変化が私を襲う」だけに収めるには、もったいないかなぁ、と。
いろいろ書きましたが、この世界観、とても私は好きです。「XXX」に何と言葉を入れるかと問われれば、私なら「せかい」と入れます。もしくは「いきる」かな。
この度は作品を読ませていただき、ありがとうございました。今後のご活躍も楽しみにしています。
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よくぞここまで辿りついてくれた。嬉しいです。