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その後のラナンキュラス

そして、いつまでも幸せに暮らしましたとさ。めでたし、めでたし。

さて、問題はその後だ。
散々出没しては騒ぎ立てた、
その血痕なり傷痕なりが、
ラナンキュラスの種に生れば
これほど都合のよい事は無い。

その花言葉から消えた後悔が
新たな航海を妨げる降灰へ、などと
そもそも論で否定するのは。

気持ちいいけどすぐ飽きるの!

モニタの前で幸せ探して、
深呼吸してギター弾いて。

陰気な医者は言う、
「また一個見ぃつけた」。
輝く紫色の細胞一個、
後生大事にモバイル。

健康や年金も気になるのですが、
ですます調で汚される言葉が
やはりラナンキュラスのフリをするの。

花言葉に操られて
想いを告げた春の日の、焦燥と含み笑い。
やがて生えた悪意の草。

修正液に白塗りされた、
その後を今こそ物語ろうか。
冬と一緒に終わらせてあげよう、
都合いいだけの寓話たちよ。

より奇なる現実とやらに、
礼賛と逃避のプレゼントを。

ナントカ論!とか、ナントカ法!
語ればそこから綻びを生むのさ。

今や賢者は黙し、
ラナンキュラスを毟っては弄んだり、
口に含んだり、している。

――めでたし、めでたし。
(ね、)

#詩 #現代詩 #過去作品リライト

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笹塚 心琴
よくぞここまで辿りついてくれた。嬉しいです。