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参加者集めに重要な「きちんとしている感」
さて、大会ルールや配信画面のデザインが固まり、運営メンバー間で大会日程のスケジュール調整が済んだら、いよいよ告知です。
eスポーツの大会は、出場してくれる選手がいなければ開催することはできません。しかし、立ち上げたばかりの実績ゼロの大会では、認知度もゼロの状態です。
そこでマストなのが、SNSで大会アカウントを開設すること。特にeスポーツ界での主流なプラットフォームであるX(旧Twitter)のアカウントは必須です。
個人でゲーム用のアカウントを持っていたとしても、それとは別に大会アカウントを作成することをオススメします。法人格のない任意団体(いわゆるサークルのようなもの)であっても、大会アカウントがあると一定の信頼性を醸成できます。外から見ると、「1人で企画して運営している、本当に開かれるのかわからない不安定な大会」というイメージから、「できたてほやほやの新しい大会運営組織が開く初めての大会」というイメージに変貌します。この「イメージ」というのが、運営初期の頃は特に重要です。
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これは、自分が興味のある趣味活動の団体に入ろうか逡巡しているときを想像してみるとわかりやすいかもしれません。例えば、バドミントンにしましょう。あなたは、インターネットで検索して出てきた、最近近所でできたばかりという、同年代が集まるバドミントンサークルに興味を持っています。連絡先はSNSのみ。「見学希望者は私(代表者)までDMしてください」というケースと、バドミントンサークルのアカウントがあり、そちらが窓口のケース。後者の方が、いくらか不安感が軽減されるかと思います。
上記はオフライン(対面)でのケースなので状況は少し違うかもしれませんが、オンライン大会でも、「きちんとしている感」は人を集める力を持ちます。私の場合、「コーポレート感(企業っぽさ)を重視しよう」と意識して運営に当たっていました。
この「きちんとしている感」の第一歩がSNSでの大会アカウントの作成ですが、それだけにとどまりません。
少しハードルは上がりますが、「大会ホームページの作成」までできると、さらに信頼性がアップします。私の場合は元々Wordpressでブログサイトを運営していたのでそこまで苦ではありませんでしたが、ホームページを立ち上げた経験のない方でも、直感的にページを作れるWixやJimdoなどのサービスを利用する手もあります。よりページ作りにこだわりたいという方は、ココナラなどで制作を外注する選択肢もあります。
ここまでは対外広報の話でしたが、初開催の大会にさらに人を呼び込む術は、他にも次のようなことが考えられます。
・公式大会のように整備された大会規則の策定
・ハイクオリティな大会告知画像、テザームービーの制作
・魅力的な賞品ラインナップの整備
・人気配信者のゲスト招待(選手として・解説役として等)
大会規則を文章化する際には、ゲームタイトルを問わず様々な公式大会や大規模なコミュニティ大会の規則をリサーチしてみましょう。もちろんそのまま丸写しはダメですが、どのように項目立てをして、どのようにディスクレーマー(免責事項)の条文を立ててリスク管理をしているか、とても勉強になります。大会規則の作り方については、追って詳細をまとめるつもりです。
また、大会告知画像や告知動画には力を入れるべきです。みなさんも、強く興味を惹かれる広告やショート動画につられた経験はありませんか? 「お?なんか面白そう」と思ってもらうためには、大会コンセプトとブランディングの方向性に合致したハイクオリティな素材を用意しましょう。苦手という方は、お金はかかりますが外注という選択肢もあります。
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一方で、たしかに高額賞金や高価な賞品を用意すると出場意欲をかきたてる効果はありますが、個人的にはこの手法はあまりオススメしません。なぜなら、オンライン大会において「完全に」チート行為を防ぐことは至難の業であり、高価な賞品・賞金を巡ってトラブルに発展するリスクが高まるからです。ましてや未成熟な大会ルールの状態である初期の大会では、トラブルが高確率で起きると言えます。そして、そもそも主催者の負担が大きすぎると、継続実施が難しくなります。
これまでの経験上、「賞金・賞品目的のみで大会に参加する層」は極めて少ないと言えます。そもそもeスポーツで生計を成り立たせている人は一握りですし、そういったトッププレイヤーが初開催の未成熟な大会に参加することもまた稀です。賞品や賞金を豪華にしていくのは、ある程度大会規模が大きくなってからでも十分なのです。
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また、そのゲームタイトルで著名な配信者にゲスト選手、ゲスト解説などとして参加を依頼することも有効な手段です。大会や主催者に知名度がなくても、「あの人がゲストで出るなら観てみよう」という人気配信者が呼べれば、かなりの流入が見込めるでしょう。人脈がなければ、出演料を含めた出演依頼を送ってみることも手です。
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大会規則も、告知画像・動画も高い完成度で用意すると、大会プレイヤーや出演打診を受けた演者の「期待感」が高まり、人が集まりやすくなります。顔が見えないオンライン大会だからこそ、画面から「きちんとしている感」を全面に押し出し、実績ゼロでも信用を得る努力をすることが初回大会の成功につながります。
◇
選手の募集は、どういった形式で対戦を行うかと、だいたいの試合時間、運営陣のキャパシティなどを基に決めます。
初めて大会を開催する際には、最も単純で運営がしやすい「シングルエリミネーショントーナメント制」がオススメです。いわゆる、1回負ければ敗退という、夏の全国高校野球と同じトーナメント方式です。ゲームタイトルによって1マッチの試合時間が短い場合には、ダブルエリミネーション制やリーグ戦形式なども選択肢に入るでしょう。
DBDの場合は1試合が平均15分~20分程度なので、シングルエリミネーションがオススメです。
どこまで配信を行うか、というのも募集人数を決める上では重要な要素です。全部の試合を配信したい場合、1つのYouTubeアカウントのみで配信を行う、いわゆる「1窓配信」では多くの試合をさばききれません。
対策としては、①1窓、1日配信で収まる人数に絞って募集する②配信担当者を複数決めて、複数アカウントで同時並行で別々の試合の配信を行う(複窓配信)③配信日を2日以上に分割する――といった方法があります。
オススメは、運営の負担が最も少ない①の方法です。「大体このくらいの時間に配信を始めて、このくらいの時間には終わりたい」という大枠の時間帯を決めたら、1試合平均時間と試合のざっくりとした準備時間から算出しましょう。オンライン大会では試合準備に時間がかかるケースもあるので、平均時間の検討がつかない場合は同タイトルの別コミュニティ大会の配信を見て参考にしましょう。
スモールスタートでも大丈夫です。最初から大人数で行う必要は必ずしもありません。チーム戦なら、最低4チームあれば一応はトーナメントになります。8チーム集まればコミュニティ大会としては十分です。最初は少なくても、きちんと運営を続けてコミュニティから信頼が得られれば、参加者はどんどん増えていきます。もし想定より多く集まった場合は抽選を行い、次回以降の募集数の参考にしましょう。
人数が想定より集まらない場合は、SNSを活用して積極的に参加を呼び掛けたり、場合によってはゲーム仲間や友人などにも参加を呼び掛けてみたりする必要も出てくるかもしれません。重要なのは、とりあえず1回開催してみる、という経験です。企画倒れになってしまっては、せっかくエントリーした選手からも信頼を失い、再起はなかなか難しくなります。
人が集まらない場合、その理由として最もありがちなのが「大型大会とのバッティング」です。他にも、「年末年始やお盆などの帰省時期やクリスマスなどのイベント時」、「募集開始から大会当日までの日にちが短すぎるケース」などが考えられます。他のコミュニティ大会の日程をすべて把握するのは困難ですし、後出しで結果的に被ってしまうケースもあるので致し方ないですが、極力上記のようなケースを避ける努力をしましょう。
募集開始は、遅くとも大会開催日の1か月前、できれば2カ月前までには行うことをオススメします。多くの人が連休となる土曜日の夜がねらい目ですが、他の大会ともバッティングがしやすいリスクもあります。ただ、視聴者のことも考えると、夜の方が視聴されやすいので、金曜日の夜や日曜日の夜も併せて候補に考えましょう。
出場選手が固まったら、いよいよ本番です!!