印度の兄上と宝塚のスター
み々弥さんは還暦です、けどバブルを知らない人です。
なぜかというと、その頃ずーっとインドにおられたからです。
色々凄まじいお話もあるはずです、何度も謎の疫病で生死の境を彷徨ったとも聞きました、でも、くんちゃん(み々弥さんのこと)がインドのことを話すときは目をキラキラさせて楽しい思い出話ばかりです。
くんちゃんの組紐歴はそんなに長くありません、会社勤めを切り上げられてアーティストである奥様がされていた組紐を、やってみようということで始められました。
どうもこればかりは天稟があったとしか思えません。
瞬く間に人気が出て、音色展の期間中にほぼ完売してしまったことがあります。
色使いが独特なのです、それでいて綺麗。
よく観察すればインドです、あの照りつける太陽の下の原色です。ただし使っている糸は純国産の和名のついた色糸です、なのにみ々弥さんが使うとインドです。そこに心根の優しさがスパイスになって程の良い具合に仕上がります。
くんちゃんは聞き上手、お客様の思いをさりげなく聞いて制作のヒントにされます、なんでもやってみようの精神と好奇心です。そうして出来た作品はやっぱり人気です。
価格もインドです、レートが違うんじゃないかと思います「くんちゃん、そんなに手間をかけてその値段じゃつまらないではありませんか」と私はいうのですが、み々弥さんは微笑むだけです。
手組みなので良く締まります、独特の色使いが帯周りに花を添えます、そうしてお値打ち価格、お客様の方がよくご存知です、人気が出ないわけがありません。
今回は、金糸銀糸を組み込んだ「ひさご組の三分紐」が初お目見え、これからの明るい日差しに映えて、とても綺麗でしょうね。
山の手育ちの東風杏さんは、宝塚歌劇が大好きです。
長い作家生活、いつも晴ればかりではないはずです、でも東風杏さんは雨降りの時も曇りの時もいつも笑顔、そして作品はいつも晴れやかです。
清く正しく美しく、煌びやかで華やかな宝塚歌劇のスターのようにいつもキラキラ輝いています。
造形作家として、絵画やオブジェも制作されています。
先日、肥後橋のギャラリーで個展をなさいました、三品さんの世界が濃厚に広がっていました。世界観を表現することは並大抵ではありません、素晴らしいな、美しいなと、エネルギーをもらいました。
音色展には「ガラスの帯留」を出展されます。
モチーフやイメージは壮大で、宇宙であったり時の流れであったり。
お空や星、雪、月、花、あ、これは宝塚の組の名前ですね。
ガラスの透明感とキラキラ輝くさまは、これもまたこれからの季節にぴったりです。
よくコーデに「艶感プラス」と申し上げるんです。
これからの季節に心地よい綿や麻はその素材性ゆえマットな風合いです、そこにツヤツヤしたガラスの帯留をプラスするだけで、パンナコッタのジャムのように、ティラミスのミントのように、ショートケーキのいちごのように一気に華やぎが生まれます。
東風杏さんは「自分の殻をやぶって非日常を楽しんで」とよく言われます。
一歩先には美しい着物の楽しい世界が待っていますよ。手にとってエネルギーを感じ取ってください。
大阪、東京、名古屋と続く音色展でご覧くださいね。