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2022年6月18日①

今日のココ日(ココルーム日記)

今日の夜、まかないご飯を食べていると、目元の綺麗な青年が入ってきた。

しばらく店内に置いてあるものなどを見ていたが、やがてテラスに来て食事をしているボクたちの近くに座って飲み物を注文した。

食事も終わりも近づき、少しづつ片付けをし始めた頃に、その青年が話しかけてきた。

「今夜はどんな献立だったんですか?」

代表が説明すると興味深そうに聞いている。

「今日はふらっと入ってきたの?」

青年は仕事の研修で大阪にやってきて、せっかくだから観光して帰ろうとしている途中で寄ってくれたのだそうだ。

語り口から、どこか人生を達観しているような雰囲気が伝わってきて、ボクは好奇心から「まだ若いけど、色々経験してきたの?」と青年に尋ねた。

田舎で育ち、子供時代はずっといじめられていた、と青年は淡々と打ち明けた。

「毎日、自分の給食のお皿全部に牛乳かけられてましたもん。だから大抵の食材の味が牛乳と合うかどうか分かりますよ。」

あまりにあっけらかんと青年が笑うので、ついボクもつられて笑ってしまった。

田舎を飛び出して東京に出た青年は、就いた仕事を一週間で辞めてしまった、と言った。

「それで一週間だけですけど、人生で初めてホームレスになりました。若かったし、なんとかなるだろうと。でも一番辛かったのは、他のホームレスの人に、お前はまだ若いんだから家に帰れ、って言われたこと。その帰る家がないからホームレスしてたのにねぇ。」

青年はまた明るく笑ってみせた。

今は自分で会社を立ち上げ、自分のやりたいことをやれているという。

「お金とプライドに執着しなければ、人生って楽だなって思えるようになりました。今の僕には、やりたいことと、やらなくちゃいけないこと、そして愛すべきことがあるから幸せです。」

そう語る青年の瞳は穏やかな光を帯びていた。

青年が帰ったあと、小上がりで代表が娘さんと一緒に釜芸オリジナルおみくじを作っていた。

折るのを頼まれて小上がりに座ると、カマ吉とハンコが押されたおみくじに目が止まった。

「アフリカの風をうたう」

心に風が吹いた。

そう感じた一期一会の夜だった。

(書いた人:テンギョー)

現在、ココルームはピンチに直面しています。ゲストハウスとカフェのふりをして、であいと表現の場を開いてきましたが、活動の経営基盤の宿泊業はほぼキャンセル。カフェのお客さんもぐんと減って95%の減収です。こえとことばとこころの部屋を開きつづけたい。お気持ち、サポートをお願いしています