見出し画像

2022年1月5日

今日のココ日(ココルーム日記)
今日は夕方から僕ひとりで現場を見るワンオペだった。
そしてそういう時に限ってお客さんたちが一気にやってくるのがココルームだ。
寒さのせいか商店街の人通りは少なかったが、店先のバザーがある時を境に突然賑わい始めた。
カレンダーを求めるオッチャンたち。
「このカレンダー、字デカいか?年寄りやからよう見えへん」
「どうかなぁ、いっぺん開いて見てみて」
「にいちゃん、自然の風景がバーン!って載ってるカレンダー欲しいんやけど」
「ちょい待ち、これとかどう?あ、これ自然ていうか日本庭園や」
「あのな、ネコばっかりのカレンダーある?ワシかわいいの好きやねん」
「今ネコのは無いなぁ。イヌのならあるけど」
そんな感じで次々とカレンダーが売れていく。
そのうちズボンも売れ始めた。
「このズボンええなぁ。これコーデュロイちゅうやつやろ?ちょうだい」
「ありがとー、500円ね」
「迷彩柄のズボン探してるんやけど置いてる?」
「うーん、多分無いかなぁ。ちょっと箱を掘り返して見てくれる?」
「大将、これ試着って出来んのん?」
「もちろん!奥に鏡も置いてるし合わせてみてー」
そんな感じで怒涛の接客中に現れた自転車の女性。
「おーい、前からこの店の人に聞いてたんやけど、でっかいサイズのズボンあるか?」
「えー、どれくらい大きいのが欲しい?」
「ワシが今穿いてるくらいのやつや」
「いやー、そう言われても分からんわ。お姉さん自転車乗ってるしサイズ分からへん」
「XLや!男もんのXL!」
「XLかぁ、あんまり無い気がするなぁ」
「ここにぎょうさんあるやんけ、探してみぃ」
そう言いながら彼女はぶっきらぼうに男性ズボンと書かれたバザーの箱を指差す。
「今ちょっと忙しいから自分で見てくれる?」
「ワシも忙しいんじゃ、早よ見んかい!」
「しゃーないなぁ。あ、これとかどう?けっこうデカいよ」
僕が引っ張り出した厚手の生地の大きめのズボンを見た彼女はひと言、
「それじゃ寒いじゃねーか!」
と叫んで自転車で行ってしまった。
置き去りにされた僕は「おのれぇっ!」と内心叫びながら気持ちを切り替えて別のお客さんの対応に向かう。
コートを二着持ったオッチャンが僕に言った。
「こっちのコート2000円て書いてるやろ?ほんでこっちのは1500円やな。これ、二つで2000円にならへん?」
「・・・一着分値段消えとるやないかぁっ!」
ココルームのバザーは修行の場である。
(書いた人:テンギョー)

いいなと思ったら応援しよう!

ココルームの日々
現在、ココルームはピンチに直面しています。ゲストハウスとカフェのふりをして、であいと表現の場を開いてきましたが、活動の経営基盤の宿泊業はほぼキャンセル。カフェのお客さんもぐんと減って95%の減収です。こえとことばとこころの部屋を開きつづけたい。お気持ち、サポートをお願いしています