静寂の時を怖がらなくていい

今の時期になると思い出すことがあります。

私の実家は田舎で、家の隣には田んぼがあって

梅雨から夏にかけての今の時期

夜になるとカエルの鳴き声が聴こえてきます

窓を開けているとかなりうるさい(笑)

子どもの頃(小学生)

朝方に目を覚ました私は、目を閉じながらそんなカエルの鳴き声を聴いていました。

あ〜カエルが合唱してる〜

くらいの感じです。

少し湿気のある空気を感じながらただ静かに布団に横になっていました。

しばらくそんな雰囲気を味わっていると...

突然なんの音も聴こえなくなりました。

さっきまであんなにカエルの合唱が聴こえていたのに。

まさに

『静寂』

風で木々が揺れる音もしませんでした。

少し胸がドキドキして

なんだかわからないドキドキ

だけど何故か落ち着いている自分もいて

不思議な感じがしたのを覚えています。

そして次の瞬間

「ミーーーン、ミーーーン、ミーーーン」

と一気に蝉の声が聴こえてきました。

蝉の鳴き声に切り替わった

と言った方が正しいかもしれません。

そしてすぐに

空が明るくなり始めました。

これを時間にするとほんの数秒、カエルの鳴き声から空が明るくなるまで数分程度だったと思います。

怖いようなワクワクするような...

自然って不思議だなー。面白いなー。

と、何だか特別な時間を過ごした気がしました。


その後、その時の事を誰にも話しませんでした。

理由はよくわからないですが、もしかするとその時の私は、その『静寂の時間』を大切にしたかったのかもしれません。

その体験は強く記憶に残っていて、この時期になると思い出します。

そして今日ふと頭に浮かんできました。

きっと、人にも『静寂の時』があるのだろう

と。

もしかすると少し前の私がその静寂の時間にいたのかもしれません。

以前の私(カエル)

少し前の私(静寂)

今の私(蝉)

未来の私(朝日)

動き出せないような動けないような。
怖いような不安な気持ちや孤独感のような。
何も感じない。何もない。

そんな静寂の時間を。

きっと、この思い出を他の人が体験したら全く気付きもしなかったことかもしれませんし、興味もなかったかも。知ってるという人だったら、なんら不思議なことではないのかもしれません。

ただ私が体験したことで、感じたことで、思ったこと。

ただそれだけ。

けれど、その時間や雰囲気は私にしか感じられない瞬間だったことには間違いありません。

もし、今、少し前の私の様な“静寂の時間”を過ごしている人がいるとしたら

あなたにしか味わえない瞬間が今あって、それを感じるための時間なのかもと思ってみたら、“今ある時間を今感じている気持ち”を違う見方で捉えられるかもしれません。

そしたら次は、

あなたの声が聴こえてきて

あなたの朝日が顔をだす

かもしれません。

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