料理が苦手な私の唯一好きなクッキー作り
料理が苦手な私がよく検索するワードと言えば「簡単 夕飯」、「簡単 レシピ」。とにかく手軽で誰でもできるもの。恥ずかしながら今でも変わりません(できることならやりたくなーい。が本音です🫣)
そんな私ですが、クッキー作りだけは別。絶対に買った方が安いし美味しいのに、定期的に作ってます。甘いバニラエッセンスの香りが漂う焼きたてのサクッとしたクッキーが、作るのも食べるのも好きなんです。
それは、幼い頃にしょっちゅう祖母と一緒に作っていた思い出が色濃くあるから。
生地をこねて、めん棒でのばして、チラシの上で星やハート、ヒヨコの形にくり抜いて。卵を溶いてハケで一つ一つ塗って…チョコスプレーをトッピングしたり。焼き上がるまでワクワクしながら待つ。その時間が、子供の頃の私にはたまらなく楽しかったんです。
私の両親は共働きで、幼い頃は母から感情的に怒られる事も結構ありました。家事や育児、仕事で忙しく余裕もなかった頃だったのかなぁと、自分も親になってみて理解できるところもあります。
でも、祖母はどんなときも優しくて、なんでも「うんうん」と目を細めながら微笑んで話を聞いてくれる。笑うと目がなくなってしまうところが可愛くて。ホントに仏様みたいな感じ。祖母の家に遊びに行くと、毎度のようにたくさんお喋りしながらクッキーを作ってました。
そんな祖母も今はもう自分では動けなくなり、施設で過ごしてます。面会へ行っても、もう私の名前も分かりません。
「おばあちゃん、私のこと分かる?」
「んーん…分からない。」
そうだよね、と寂しい気持ちを抑えながらシワシワになった手を握ると、「あんたの手…あったかいねぇ。分からないけど、来てくれてありがとう。うれしい」と涙を流してました。
もう誰だか分からないのに、「ありがとう」って言ってくれるんだ。祖母の冷たい手をさすりながら、変わらない優しさに嬉しさと切なさが混じって私も涙が出そうになったけど、ぐっと堪えて「また来るからね」と伝えました。
決して作るのがうまいわけでもないけど、「あ~作りたいなぁ、作ろっかな」と思えるのはクッキーだけ。きっと祖母が素敵な記憶を残してくれたおかげです。
甥や息子が小さい頃から、「一緒に作る」ことをしてきました。うちは女の子が1人も居ないけど、男の子でも案外楽しんでくれます。楽しい思い出って「何かを一緒にやること」でもたくさん生まれます。
思春期真っ盛りの甥は、すでに私の身長もはるかに超え、今では話しかけても「うん」だけ。でも、「クッキー焼いたよ!」と連絡すると「食べる。ありがとう」とすぐに返事が返ってきます。
最近はすっかり”食べ専”になってきた彼らだけど、今も喜んでくれる姿を見てると、祖母とのやり取りを思い出して嬉しくなります。私の顔が分からなくても、名前を忘れてしまっても、祖母が私にしてきてくれた事は受け継がれてる。いろんなことを一緒に楽しみ、同じ時間を共有することが大事なのだと教えてくれました。
息子たちが大人になった時に、ふと思い出してくれたらとても嬉しい( ¨̮ )
読んでいただき、ありがとうございます。