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【最終章】目覚め

和室に用意された御馳走の数々。
大人達は皆飲んでガヤガヤと賑やかだ。割烹着を着た女性は家政婦なのだろう、次々にお料理やお酒を運び忙しそうだ。

肝心の主役であろう若者たちは大人の相手を怪訝そうな顔でやり過ごしている。
20歳を超えて敷居を跨ぐことが許されたのだが、馴染がない分よそよそしさが目立つ。宴は日が暮れるまで続き、今は昼間の賑やかさが嘘のように屋敷は静まりかえっていた。

皆何処に行ったのか、私は和室に立っている。

頭の中を整理しようと人形に触れる。
この人形はここの子供たちの身代わりになっていた殻。この人形に他の子供の魂を閉じ込め、鬼はその臭いを嗅ぎつけ喰らう。そして本家の4人の子供たちは海外で生活をしてきたという事。これがこの家の事実だとわかった。

『しかし何も生贄の魂を用意しなくても、子供を村の外に出すなら産まれてないことにすればいいのでは?それならこの家の中で子どもの魂を用意する必要も臭いを嗅ぎつけて鬼が来ることはないんじゃないの?』そんな考えがよぎる。

ブオォーン!

その時突風が吹き、私は耐えれず尻餅をつく。
風の吹いた方をみると、月明かりに照らされた大きな何かがそこに立っている。

私は恐怖のあまりその場に腰を抜かしたまま動けず、声をあげることもできないまま『それ』を見上げていた。

「騙しおったな」

低く振動が伝わる、怒りを抑えているのがわかる様な震える声が聞こえる。『それ』は、その場にあった人形をなぎ倒し、大きな翼を広げ庭へ向かって飛び立った。鬼に翼などあるのだろうか?そこは夢の世界なので許してほしい。


その後何が起きたのかというと、庭にある蔵から悲鳴が聞こえ、なんとか立ち上がれた私は走って行く。その途中には昼間の宴にいた何人かが倒れており、家の中からもバダバタと逃げ惑う足音が聞こえる。蔵にたどり着いた私は大きな『それ』が、家政婦を襲っているところだった。

『それ』は、手に握られた家政婦を床に落とすとじわじわと私の方へ歩いてくる。私の鼓動はどんどん速くなり、逃げたいのに思うように動かない身体に焦りながら、ゆっくりと後ずさりをする。

私はこの家となんの関係もないのに、なぜこんな怖い思いをしないといけないの!

『それ』が目の前に来た時私の鼓動がドクンと大きく跳ねて目が覚めた。
目が覚めても軽く運動した後のようにドクンドクンと鼓動が早かった。久しぶりにストーリー性の高い夢を見たのだが、夢占いではどういう診断になるのだろうか興味深い。

終わり

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