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【ココパレ代表インタビュー vol.3】多世代が寄り添い合い、ハッピーに暮らせるコミュニティを目指して
個々の色を尊重しながら、パレットで色を合わせていくように、看護ケアや働き方も選択肢は十人十色。
ココパレは輝く個々の命に寄り添い、利用者さまはもちろん、共に働くスタッフにも安心できる環境をつくっていくことを大切にしています。
「好きな場所で過ごす時間を諦めない」
ココパレ代表の樋口敬子が体験してきたことや想いを、お届けしていきます。
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株式会社ココパレ 代表
樋口 敬子
岐阜大学医療技術短期大学部卒業後、市民病院の呼吸器・循環器内科に勤務。その後、がんセンター血液内科、民間病院外科病棟に従事。
緩和ケアを中心とした在宅支援診療所の訪問看護を経験し、尊厳ある自宅での最期の時間に感動。症状緩和の必要も感じ、緩和ケア認定看護師の認定資格を取得。
児童養護施設看護師、小児を中心とした訪問看護通所事業の立ち上げに参画。2022年1月に株式会社ココパレを設立。同年5月に訪問看護ステーションココパレを開設する。
小児から高齢者、精神疾患、終末期まで、一人一人に寄り添い、家族まるごとケアを目指して、訪問看護を行なっている。
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優しいまちづくりは腸活から
—なぜ腸活に力を入れて活動されているのでしょうか?
今年からシェアスペース「茶間茶間」をお借りして、毎月「腸美人スナック」というイベントを開催しています。
腸を元気にする発酵料理を食べ、おいしいお酒を飲みながら、ワイワイおしゃべりして笑って、楽しむ会です。
最近はちょっぴり腸美人についての“うんちく”をお話しています。
料理担当は発酵料理人でボディセラピストでもあるツルタジュンコさん。麹や味噌を使ったおつまみは、毎回大好評です!
私は看護師であり、POOマスターという排便ケアの認定資格も取得しています。
健康な便は“ジャスミンの香り”がするので、「目指せジャスミン!」を合言葉に、腸活の大切さを伝えています。
排便が整うと体にさまざまな良い影響がありますが、腸活は体の健康のためだけではありません。
脳と腸は相関関係にあり、互いに影響しあっています。腸が元気だと、イライラしにくくなって心が穏やかになるんですよ。
腸活の末に、皆さんが健康で穏やかになって、優しい気持ちの人がまちに増えたら、とても素敵なことだと思いませんか?
10年後みなさんの腸が元気になったら、小平市がさらに優しさでつながるまちなると信じて、地道に腸活を推進しています。
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多世代が助け合い寄り添える、お金がなくても実現可能なコミュニティ
—地域やまちづくりの中で目指していることはほかにもありますか?
マザー・テレサが設立した「死を待つ人々の家」のような、亡くなる時に誰かがそばにいてくれる場所をつくりたいです。
看護師として人生の最期の時に関わることが多いので、私には“死”が身近であり、誰にでも当たり前にくるものだと日々感じています。
人は誰しも、いつ病気になるかわからない。その時は苦しいかもしれないけれど、人に支えてもらったり、勇気づけてもらったり、それまで体験しなかったことから、いろいろな気づきや変化があるようです。
病気になっても悪いことばかりじゃない。なくすものもあるかもしれないけれど、今まで感じなかったことをありがたく感じる、とお話される方も多くいらっしゃいます。
さまざまな境遇や命に出会える場があって、最期の時も自分を気にしてくれる誰かがいる。
「ここで旅立ちたい」と思えるコミュニティーハウスをいつか作りたいんです。
人生ってどうなるかわからない。その時その時に自分自身で選択して、できることを一生懸命やる、それでいいんじゃないでしょうか。それが人生。
だから安心して人生に向き合って、亡くなる時には誰かがそばにいてくれる、孤独ではない死がある、そんな場所が当たり前になったらいいなと思います。
児童養護で働いていた時代に、2歳半の子が、怪我してかさぶたになった私の手を撫でて「イタイイタイ」となぐさめてくれたんです。その子の方が、過酷な環境で心に傷を負っているのに…
人はそうやって、誰かの役に立ちたいという本能を持つ、ということにかけて、子どもから大人まで、子育てや日常のケア、病気や死、生活のいろいろな営み、さまざまなことを助け合えるコミュニティーをつくりたいんです。
きれいごとばかりじゃないかもしれないけど、そこを目指したいんです。
『ルポ 雇用なしで生きる――スペイン発「もうひとつの生き方」への挑戦』(工藤律子 著)という本にも影響を受けました。
深刻な不況の中、金銭ではなく時間を使ってサービスの提供を受けたり、スキルや労働を提供したりして、新たな社会をつくっていったスペインの実例を紹介しています。
お金がなくても支え合っていく仕組みが、この先の日本にもきっと必要になると思います。
経済不安や少子化、避けられない問題がたくさんある中、自分の人生をしっかり考えている若者が増えているという印象があります。素晴らしいなと思う反面、「人に迷惑かけられない」「子どもを持つイメージができない」と思っている人も多い。
堅実に生きる若者が、不安なく子育てできる環境のためにも、時間を管理する「時間銀行」のシステムは有効なのではないでしょうか。
コミュニティーハウスでは、このシステムを整えて、地域に親戚が増えるように、子育てやケアをみんなで助け合う、孤立する人がいないまちづくりを、少しずつ形にしていきたいと思っています。
腸活で優しいまちづくりも、死に寄り添う場も、時間交換で子育てやケアも支え合えるコミュニティーも、私の中ではつながっていて、循環する大きな一つの仕組み。
共感してくれる人を増やして、実現していきたいです。
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