不倫をされていたと気づいた夜

不倫されるまでは、夫から
体を求められれば愛されているのだと
勘違いしていた。

だってそういう行為って

好きだからするもんでしょ？
好きじゃなきゃできないし。

そう思っていたからだ。

だからこそどんなに
夫の態度がそっけなくても

最終的に体の関係さえあれば
大丈夫なのだと
どこかで思っていた。

不倫をされるまでは。

不倫が発覚した夜

私たちは交わった後だった。

今思い返せばそれまでも
ちょっとした違和感があったように思う

愛撫が雑になった
キスがない時があった

だけどそんな気持ちの時も
あるよね。って

そんなに深くは考えていなかった。

いつもと違う違和感

その日は急に電話が夜中にかかってきたのだ。

いつもであれば無視して
寝てしまうのに

後輩からかかってきたからと言って
わざわざ１階のリビングへ行き
長電話を始めた。

声は聞こえないが
楽しそうな雰囲気は伝わる

３０分しても戻ってこない

トイレへ行くついでに
様子を見にいこうと思った

トイレへ行く時に横切った時は
まだ電話していたのに

トイレからリビングへ向かう
３分もかからないうちに
電話が終了していたのだ。

怪しい…

そして夫が眠った後に
悪いと思いつつパンドラの箱を
開けてしまったのだ。

LINEには
「今回の恋は本気だから」
「覚悟してるから」

そんなことが書かれていた。

・・・え、なんで？どういうこと？

頭がぐるぐるして
一気に目が覚めて

体の関係さえあれば大丈夫

そう思い込んでいた
私の中の「大丈夫」が一気に
崩れてさった瞬間だった。

不倫をされていたと気づいた時

今までの家族の絆や
夫婦としての絆は
何だったのだろう？

あれはずべて偽だったのだろうか。

なんでこんなことに
なってしまったのだろう。

ショックと怒りと悲しみで
頭が痛くなった。

信じていたものから裏切られるって
こんなにも地獄へ落とされるような
深い闇へ堕ちる感覚なのだと。

そして、これからどうするよりも

夫にこのことをどう問い詰めるのか
そのことで頭がいっぱいに。

何て言おう…

何でこんなことに…

これが夢だったらいいのに…

そんな繰り返しで朝を迎えた。

私はこの時、まだ頭のどこかで
裏切られたけれど

夫は結局は問い詰めさえすれば
反省して家庭に戻ってくる

家族や夫婦の絆はそう簡単に捨てれない

そう信じていた。

全然眠れないまま朝を迎え、

夫に不倫のことを問い詰めた時

返ってきた言葉は衝撃の１言だった。

「別れてほしい」

夢であってほしかった。

人生にはまさかの壁がある。

どこかで聞いた言葉だが

この時、初めてこの言葉の意味が
わかった気がした。

「別れてほしい」

谷底からの奮闘撃が
スタートした瞬間でもある。

不倫をされていたと気づいた時

人は思った以上にわからないものだし
目に見えるものと真意は
違うことの方が多いのだと

悟った。