ニュートンとゲーテ「性格」と「強み」 ⑧(1469文字)
ニュートン的「特性」と、ゲーテ的「徳性」を、「性格」や「気質」という見立てになぞらえてみている。このやや隠喩的なこころみは、彼らの行った色の検証に基づいている。ニュートンを、客観的で普遍的な「特性」、ゲーテを、主観的で多様な「徳性」に当てはめている。
私たちの周囲であたりまえに見えている色は、実は様々な特徴にかたどられている。色は色調を担うように、人格にも格調がある。色には波長があり、人も「波長が合う」それぞれ好みの「色」があり、その人の個性的な「性格」が備わっている。
今回は、これらの性格の全体的な調整について触れる。
1) キャラクターストレングス(徳性)と
ビッグファイブ(特性)
前回まで、性格傾向をブレーキやハンドル、アクセルなど、乗り物の運転操作に例えて解説をこころみた。車の運転にはドライバーの性格が見事に反映される。
ここで紹介したキャラクターストレングス(以下;CS)は、「強み」が「徳性」として作用することを示している。
それには、基本的にできるだけビッグファイブ(以下;B5)の誠実性や調和的な態度が求められる。その上で、これらの「強み」を生かしていく視点が必要だろう。
たとえば、CSの「勇気」の下位項目「勇敢さ」も、信号無視や煽り運転をすることが「勇敢」にはならない。そこには、誠実性や調和性の支えが必要だ。
2) 人の格調
人の格調を一般的には「人格」という。「人格」は、性格や気質、それに基づく行動や言動によって成り立つ。人格者の定義は、一言で言うのは難しいが、一つに「言動と行動が一致していること」、また、その言動や行動が「常識や良識に照らし矛盾しないこと」が大きな柱だろう。
つまり、これら二つは、単純に誠実性と調和性に関連する。二つの特性が上手に感情を包み込むとCSの「徳性」が重んじられ効力を発揮する。つまり、人格者であるためには、この特性をいかにバランスよくコントロールするかにかかっている。
しかし、バランスといっても、これらをコントロールするのは非常に難しい。特にそれぞれにおいて、留意すべきことは、だれに誠実であるべきか、だれと調和的であるかによって、感情的にも大きく変化するからだ。
3)人格の調整
大概、他者に対する契約において誠実さや調和的な態度が求められる。しかし、いざ自分自身の欲求に正直であろうとすると、他者に対し迎合せざるを得ない状況にもなり得る。前述したが、実際にはそのようなことが多いだろう。実践的に、まずその整合性から生じる不調和や不誠実を自らあぶり出さなければならない。
そこで重要なのが、自分軸に関与する三つのB5だ。
常に人格者とは、威厳を持ち「~であらねばならない」と考えがちである。だが、まず誠実であるべきは「自分自身」に対してだろう。これで他人との意見の食い違いや喧嘩などに発展したとしても、自分に忠実という中心軸をずらさない方が良い。
このような平衡術において、外向性や開放性、あるいは神経症傾向を利用し自分軸を調整する。たとえば、意見の相違については丁寧に説明をし、相手を何かしら慮る折衝も大切だ。これらは外向性として現れ、同時に細々した心使いには神経症傾向も関与する。そして、時折ユーモアや方便など開放性も必要となるだろう。
他者とコミュニケーションには、これらの特性を利用しながら調整を図っていくことが大切だ。
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