男女関係 ジェンダー 第三話 「性」ジェンダーの検証
今回は「こころの立体モデル©」を使用した新たな解釈も含めてお話しを進めることに致しましょう。
ところで今日は、3月3日「お雛祭り」ですね。女性には大切なお㊗️いの日です。前回「陰陽」に触れましたが、世の理(ことわり)をはじめとする処々の成り立ちや形あるもののすべては「陰陽」と表現するように、ものごとの原初は「陰」にあります。内面の見えない世界(陰)を形にする手始めに、「こころの立体モデル©」をウェッブサイト上で本日デビューさせることになりました。全面開示は8月予定ですが、先行してマガジン『男女関係・ジェンダー』でご紹介して参ります。本日初公開。
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今回で『性』に関する言葉の定義については終了です。言葉の定義は、例えばスピリチュアルや霊、魂、あるいは、仁愛や尊厳など、哲学的な表現を捉えるときには共通の『物差し』があると理解しやすくなります。
抽象的な内面の『性』に対しても、ロケーションや見立て方に『物差し』があると、お互いの共通理解が深まります。そこで今回は、「こころの立体モデル©」を利用していきたいと思います。
おそらく、初めての方は、捉えどころがないとお感じになるかもしれません。最初は、一つのデザインとして「ボー…」と見ていくのが良いでしょう。
今回は、こころみとして細かなところは後回しにして、全体像の解説からはじめます。それでは早速見ていきましょう。
Ⅰ.『性』を立体モデル
にマッピングする
前回、<あたま>(こころ)[からだ]に対し、大まかに
セクシュアリティは<あたま>
ジェンダーは(こころ)
セックスは[からだ]
に対応することを示しました。
そして『三つの側面(側面をアスペクトともいいます)』は、それぞれに『四つの領域(領域はクワドラントともいいます)』を含んでいます。これについて、これからご説明しましょう。
ところで、『性』を表現する『セクシュアリティ』は以下の四つで構成されていました。
①性的指向(sexual orientation)
②生物学的性(biological sex)
③性自認(gender identity)
④社会的性役割(gender role)
セクシュアリティの『四つの枠組み』の、①~③までは、それぞれ<あたま>と[からだ]と(こころ)に関与する要因でした。つまり、
① 性的指向は<あたま>
② 生物学的性は[からだ]
③ 性自認は(こころ)
となります。したがって、
セクシュアリティは特に
① 性的指向の<あたま>
セックスは特に
② 生物学的性の[からだ]
ジェンダーは特に
③ 性自認の(こころ)
に関与することになります。
では、最後の④社会的性役割のgender roleはどれに当たるのでしょうか。
これには、ジェンダーの解釈に注目するとよいでしょう。『性』を全般的に表現するときには『広義のジェンダー』とし、ただ『ジェンダー』という場合は(こころ)の『性』であるとします。
そして、『セクシュアリティ』は<あたま>の『性』としましょう。
あらためて確認するまでもありませんが、生物学的な外面の[からだ]の性と、内面の<あたま>の性、そして内部の(こころ)の性、に違和感を感じないことが性が同一である性の表現であり条件です。
①マッピング
では、「こころの立体モデル©」で、それぞれの『性』を占める領域はどこか、マッピングしていきましょう。様々な「語彙」を立体モデルのふさわしい場所に当てはめていく作業をマッピングと呼びます。
初めてご覧になる方は、まだ、構造の立体感覚や、[からだ]、<あたま>、(こころ)の本来の意味、面や軸自体、あるいは空間が何を意味するか、お分かりにならないと思います。
でも、はじめにお話したように、まずはデザインとしてご覧ください。これから一つひとつのクワドラントの構成要素、それぞれの面の関係性、軸の意味などをマガジン全体を通してご説明して参ります。
下の図をご覧ください。これが「こころの立体モデル©」です。
それぞれ、緑の面に<あたま>、青の面に[からだ]、赤の面に(こころ)という文字が記載されています。
それぞれの面が側面(アスペクト)であり、
<あたま>の面は、思考的、精神的な能力
[からだ]の面は、身体の行動や反応の結果
(こころ)の面は、心理的、感情的な情動
に関与する面とお考え下さい。
そしてこの構造を見ている視点から最も近い三つの領域(ベンツマークに囲まれた近い面領域)が認識できると思います。そこに前述の①~③をマッピングしていきましょう。
緑の側面
①性的指向=<あたま>の性
(向かって左の一番近い緑の領域)
青の側面
②生物学的性=[からだ]の性
(向かって右の一番近い青の領域)
赤の側面
③性自認=(こころ)の性
(中央下の一番近い赤の領域)
となります。
そして、セクシュアリティの定義自体は<あたま>か主体でしたから、セクシュアリティは本来緑の面全体でも認識されて良いはずです。ですから、
1)性的指向
2)生物学的性
3)性自認
4)社会的性役割
という4つの構成要素は、セクシュアリティの<あたま>を示す緑の領域に当てはめることもできます。これらを緑の領域に再度マッピングすることで、改めて他の二つの面との関係性が見えてきます。
まず、これら面と面の関係を見てみましょう。
② 面と面の関係性
仮に、性的指向を第一象限(最も近くの左上の領域)、生物学的性を第二象限(右上の領域)、性自認を第三象限(左下の領域)、そして社会的性役割を第四象限(右下の領域)とすると、他の二つの側面(赤い面、青い面)との関係性が見えてきます。
ここで「緑の面」を便宜的に
『知の面』と呼びます。
※基本的にこの面は<あたま>の面なので「知的」作業を行う能力を担う面として『知の面』と呼んでいます。
②の生物学的性の主体は青の面になりますが、同時に『知の面』の深層の②生物学的性と青い面の②生物学的性は本来意味するものが異なることを示します。
ここで「青い面」を便宜的に
『理の面』と呼びます。
※基本的にこの面は[からだ]の面で「身体」行動の結果見える事実を映し出す面として『理の面』と呼びます。
②生物学的性は、向かって右側の最も近い『理の面』の領域が主体となるので、緑の面はその裏手に隠れることが見て取れます。
同様に、③性自認の主体は赤い面ですが、『知の面』の第三象限の③性自認と手前の赤い面に映る③性自認は意味合いが異なることを示しています。
ここで「赤い面」を便宜的に
『感の面』と呼びます。
※基本的にこの面は(こころ)の面で感情や情動などに伴う欲求や意欲の源泉を担う面なので『感の面』と呼びます。
『感の面』の中央下の最も近い領域が本来の③性自認を示すところで、『知の面』の第三象限③性自任は後方向かって右裏手に隠れることが分かります。
ここでもう一度、セクシュアリティ①~④の分類と、セクシュアリティ<あたま>、ジェンダー(こころ)、セックス[からだ]の位置関係を確認しておきましょう。
社会学や社会科学で抽出される関連用語は、このように必ず私たちの表層にみられる事象から要因分析が行われる傾向があります。
それは考えれば当然なことで、たとえば上図では左側の『セクシュアリティ』を示す④社会的性役割は、右側の③性自認『ジェンダー』にも関与するように、そこにどのような背景が考えられるのかを見出し背景因子を考えるときに、この「こころの立体モデル©」は役立ちます。
今後は少しずつ具体的な例を示しながら、このモデルについて検証していくことにしましょう。それについては、次回以降お話していく予定です。
今回は、もう少し全体的なディテールのお話をしていきます。
Ⅱ.外面と内面の外部と内部の解説
イントラジェンダーの命題
ここで、もう一つ、ジェンダーなど言葉の背景を考えるときの、立体モデル特有の視点を見ておきましょう。それは内面、外面と内部、外部の違いを明らかにすることです。この課題は、これからも度々触れるので、今回は簡単に構造的なお話をします。
イントラジェンダーとは、自分の内部の女性性と男性性の関わりを示します。つまり性同一性の1つの見立てです。これは私の造語なので、一般的には言われていませんが、この概念は重要です。
※これに対し、インターセックスは、一般的に男女の外性器が半陰陽のことを指します。単に中間という意味合いです。しかし、この表現は蔑視的であるとして最近は学会などのアカデミズムでは使用が控えられているようです。
イントラジェンダーの要素として、「こころの立体モデル©」で、前回ご説明したように、陰陽の分かち方において三つあると申し上げました。
<あたま>(こころ)[からだ]の陰陽です。この陰陽をポジティブレスポンスとネガティブレスポンスと捉えると、<あたま>と(こころ)が思考と感情のレスポンスを担い、[からだ]も含めて、これらの要素が相俟って男性女性という嗜好性を作り出しているといえるでしょう。
<あたま>は好きか嫌いか
(こころ)は快か不快か
[からだ]は<あたま>と(こころ)の反応の結果的事実
を映し出す領域とお考えいただくと良いでしょう。
❇︎ この仕組みで、<あたま>と(こころ)のポジとネガの二つの反応と[からだ]の反応とで、陰陽五行のペンターブシステムとの関係を、第六話以降お話して参ります。
ポジティブにしてもネガティブにしても、レスポンスを生み出すのは<あたま>と(こころ)でそれに対して[からだ]が反応し結果が生じるという理屈です。
しかし、現代社会の性の理解は、まず体の変化をみることが一般的で、ホルモン作用の影響により、男性化や女性化が行われると考えられています。
発達段階として歯牙の生え変わりや、声変わり、初潮を迎えるなど、二次性徴を迎えるまでの節目の時期がありますが、そうした体の変化に伴い、徐々に性への関心も高まっていきます。
そして、こうした最中に、自分の性の指向性に違和感を持つ方がいらっしゃいます。
マイノリティーの性の場合、社会的な関心事は主にセックスなどの性行為になりやすいのですが、本来、ゲイやレズの方やトランスジェンダーの方のお話をよくお聞きすると、とくにセックスの問題からではなく、男なのに女の子の中にいると楽しいと感じたり、また、女子なのに男の中にいると心が和むというような、肉体的な関心や異性への恋愛的な感情ではなく、心の快適感から、自らの「こころの女性性」や「こころの男性性」に気付くことが多いといいます。
この視点は、『性』の命題を語る上で特に留意すべきことだと考えています。
つまり、
[からだ(セックス)]から入るのではなく、
(こころ(ジェンダー))から入る
ということです。
社会科学でも、性同一性については、内面の問題と外面の問題を分けて考えてはいるのですが、これからこの立体モデルで明らかになるように、外的な問題と内的な問題について、それぞれ、外面、内面、そして外部、内部の領域に区別して考えていく必要があります。
そうすると、同一性という概念を使うときに、いったいどの部分とどの部分の不一致なのかが分かるようになります。
成人の一般の性では、性の同一化がはかられている場合、性に対する<あたま>、[からだ]、(こころ)が一致し、違和感がなく構造的な違いが分からず認識されません。
ですから「ジェンダー」を語るときは、この差異に気を配ることで真意が見えてきます。
①内面と外面
内面と外面は基本的に目に見える世界か、そうでない見えない世界かということです。簡単に言ってしまえば、見えにくい世界が内面で、見えやすい世界が外面です。
三つの側面(アスペクト)のうち『理の面』を、特に『基本四象限』と呼んでいます。
下の図のように、内面と外面と個々人と集団に分け、それぞれの象限(クワドラント)に相応しい語彙をマッピングすると図のような関係になります。
まずは『理の面』の構成要素をご覧下さい。内面には個々人の精神、集団の心理、外面には個々人の身体、集団の社会が入ります。
そして、内面と外面を分かつ境界は、ここでは「緑の面」の『知の面』です。上図では縦の緑の軸として描かれている部分です。
この面は<あたま>との関与が強く、<あたま>はパワーの源として、4つの能力、パフォーマンスを与えられています。内面と外面を分かつために与えられている4つの能力は、
ⅰ)思考記憶能力(スィンクメモリー)
ⅱ)状況判断能力 ( ジャッジ )
ⅲ)身体行動能力(アクティビティー)
ⅳ)情動制御能力(エモーションコントロール)
これらを『知の面』にマッピングすると
上図に示すような関係になります。
そして、『知の面』は言語の働きに関係が深く、言語活動を担っています。
ⅰ)思考記憶から言葉を選ぶ。尺度
ⅱ)状況に応じ内容を伝える。伝達
ⅲ)身体を利用し外部に表す。表現
ⅳ)情動で言葉が印象に残る。蓄積
という言語的サイクルがあります。それをマッピングすると下の図のような関係になります。
『知の面』の四象限にはこのようにマッピングされます。
もちろんこれ以外にも関連する言葉があるはずですが、これらの内的な機能の結果、指向性に影響が出たり、また自認に関与してきます。
また、『知の面』は『理の面』の内面と外面を分けますが、『理の面』は、下のような関係性も伴っています。
『理の面』は、それ自体が「公人性」と「私人性」の境界を担っています。
「公人性」と「私人性」についての詳細は次回以降に解説しましょう。簡単に「私人性」は私の秘めたる思い、秘密裡にしておきたい振る舞いプライベートな行動や思いです。「公人性」は、オーディエンスに対しての振る舞い。あるいはパブリックの面前での思考行為言動などのことです。いわば、そとずらですね。
そして最後に『感の面』ですが、これは、集団と個々人を分かつ境界を担っているわけです。
『感の面』はエナジーや感情から表出する欲求や意欲に関与しています。ここでは、手前から時計回りに
ⅰ)活力
ⅱ)気力
ⅲ)知力
ⅳ)体力
という四つの力のマッピングをご紹介しておきましょう。
②内部と外部
さらに、私たちは構造的に、内部と外部の領域を持っています。身体では、大雑把に皮膚から外が外部、内が内部。社会では構造的な外部と内部。心理では、集合心理と言われるものが内部で、外部は表層の集団意識としておきましょう。精神では、睡眠状態や夢、無意識が内部で、現実を認識する覚醒した意識状態が外部となります。
参考までに、下に『理の面』の『基本四象限」の構造からみた内部、外部の境界についてお示しします。
内部と外部については、今後精査が必要だと思いますが、内面/外面を分かつ線と、内部/外部を分かつ境界を意識する必要があります。
しかし、まずは、内部/外部の中心を意識することが最初でしょう。内部/外部の中心は当然、球体を考えていただければわかりますが、どちらも中心は同じところから派生します。
総括しますと、下図のような関係性が示されます。
この図は、大きく3つの側面からなる6つの方向性、そして8つの領域を示しています。内部にあたるのは六角形て囲まれた部分です。この8つの領域についてもこれからマッピングしていくのですが、今日のところは、内部は、手前側に見える尺度、身体、活力で囲まれた領域と、向こう側の見えない心理、表現、知力で囲まれた2つの領域であることを確認してください。
その他の周囲の6つの領域は内部と外部を併せ持つということです。
最終的に内的な領域(内側)とは、内面と内部の領域で、外的な領域(外側)とは、外面と外部の領域を併せ持つ部分であることを確認しておきましょう。
ふ~ 今日は、たくさん<あたま>を使いましたね。
セミナー形式ではなく、図説と言葉だけで理解していくのは大変な労力が必要となりますが、私も分かり易く解説していくために今後も試行錯誤して参ります。
立体モデルは、私たちの置かれた環境と不可分なものです。これら環境と心境からマインドが生まれていると言っても過言ではないでしょう。
今日の内容を少し自分自身の生活に汎化していただいて、関係性を見出していただけるとよいと思います。
次回は、『性』ジェンダーの『性的エナジー』について検証していくことにします。これには、「こころの立体モデル©」の中心部分の存在意義が大きく関与しています。
本日も最後までお読みいただき
ありがとうございました。