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ラクシュミとアラクシュミ - 幸運と不運 -
ラクシュミは、富と美の象徴としてとても有名で人気のある神様だと思いますが、姉にあたるアラクシュミをご存知ですか?
ラクシュミ(Lakshmi)とアラクシュミ(Alakshmi)は、ヒンドゥー教の神話において対照的な存在です。
それぞれが異なる教訓と役割を持っているので詳しくお話していきます。
まずは、ラクシュミから!
ラクシュミ(Lakshmi)
ラクシュミは繁栄、富、幸運、美、そして繁栄の女神として崇拝されています。
彼女はヴィシュヌ(Vishnu)の妻であり、しばしば蓮の花に座っている姿で描かれます。
ラクシュミは以下のような多くの象徴的な意味を持っています。
繁栄と富
ラクシュミは家庭や商業において繁栄と富をもたらすと信じられています。幸運
彼女は幸運と成功の象徴であり、多くの人々が彼女の祝福を求めます。美と優雅さ
ラクシュミは美と優雅さの象徴でもあります。
ラクシュミの祭りであるディワリ(Diwali)は、インド全土で盛大に祝われます。
この祭りでは家々が明かりで飾られ、ラクシュミの到来を歓迎します。
次は、姉のアラクシュミについて。
アラクシュミ(Alakshmi)
アラクシュミは不運、貧困、争い、そして不和を象徴する存在です。
彼女はラクシュミの対極に位置し、しばしば以下のような属性を持っています。
不運と貧困
アラクシュミは貧困と不幸をもたらすとされているため、彼女の存在は避けられます。争いと不和
彼女は家庭や社会における争いと不和を引き起こす存在としても恐れられています。不美と不浄
アラクシュミは不美と不浄を象徴し、多くの人々が彼女の影響を避けるために努力します。
ラクシュミとアラクシュミの対照的な存在は、人生の光と影、繁栄と貧困、幸運と不運の二面性を象徴しています。
彼女たちの神話は、人々がこれらの二面性を理解し、バランスを取ることの重要性を教えてくれます。
神話とエピソード
ラクシュミとアラクシュミに関する神話の一つに、乳海攪拌(Samudra Manthan)のエピソードがあります。このエピソードでは、神々とアスラ(悪魔)が協力して乳海を攪拌し、アムリタを得ようとします。
この過程で、ラクシュミが乳海から現れ、神々に祝福をもたらしました。しかし、同時にアラクシュミも現れ、不幸と争いをもたらす存在として描かれています。
また、ラクシュミがいるところにアラクシュミは存在することができず、また逆も然りと言われています。
では、もう少しアラクシュミについて、深掘りしていきたいと思います。
アラクシュミとはインド占星術のナクシャトラの中では、ジェーシュタといい〈年長者〉という意味があります。
ナクシャトラから見たアラクシュミ
月の27人の妃のうち一番年長の妃として登場します。
もちろん描かれる姿も、年上の為老婆の姿です。
人生の酸い甘いも経験し、人生の辛酸を舐め、たくましく1人でなんでもやってのける存在です。
髪を振り乱し醜く、いつも不機嫌で怒っていてぶっきらぼうです。
そして、蛇と共にカラスの飾りのついた馬車に乗っているが馬はない姿です。
ただ、このジェーシュタ(アラクシュミ)を理解する上では、密教に触れなければ本質を掴むことができません。
このジェーシュタことアラクシュミは、ヒンドゥー教の密教における10人のマハーディヴィヤの1人ドゥマーヴァティの存在と同一とされています。
マハーディヴィヤ(Mahāvidyā)とは、ヒンドゥー教の密教的な伝統において崇拝される10人の女神たちの集まりを指します。
マハーヴィディアについて少しお話しします。
マハーヴィディアについて
ヒンドゥー教の密教的な伝統において非常に重要な役割を果たす10人の女神たちの集まりです。
彼女たちは「偉大な知恵の女神」として知られ、各々が特定の力や属性を象徴しています。
マハーヴィディアの主要な役割や特徴は以下のような感じです。
内的啓示と解放
マハーヴィディアは、内的な知識や悟りを通じて解放(モクシャ)を達成する手助けをするとされています。
彼女たちの教えや力を通じて、信者は自己の本質を理解し、最終的な解放を目指します。
多様な側面の象徴
各女神は異なる側面や力を象徴しています。
例えば、カリー(Kali)は時間と破壊の女神として知られ、恐怖を乗り越える力を与えます。
一方、ターラー(Tara)は保護と慈悲の象徴です。この多様性が信者に広範な精神的支援を提供します。
儀式と修行
マハーヴィディアは、タントラ(密教)的な儀式や修行において中心的な存在です。
これらの儀式は、女神たちの特定の力や恩恵を呼び起こすことを目的としています。
修行者は祈りや瞑想、特定のマントラの唱えを通じて彼女たちと繋がろうとします。
神話と伝説
マハーヴィディアに関連する多くの神話や伝説があります。
例えば、デヴィ・マハートミャ(Devi Mahatmya)などのテキストにおいて、女神たちは悪を打ち破り、宇宙の秩序を守る役割を果たしています。
ちなみに、以下はマハーヴィディアの女神たちです。
10人のマハーヴィディアの女神
カリー(Kali):時間と破壊の女神。
ターラー(Tara):慈悲と保護の女神。
トリプラスンドリ(Tripura Sundari):美と豊穣の女神。
ブヴァネーシュヴァリー(Bhuvaneshwari):宇宙の女神。
チンナマスタ(Chinnamasta):自己犠牲とエネルギーの女神。
バーガラームキー(Bagalamukhi):敵を制する力の女神。
ドゥマーヴァティ(Dhumavati):未亡人の女神、逆境の象徴。
マタギ(Matangi):知識と音楽の女神。
カマラ(Kamala):富と繁栄の女神。
バイラヴィ(Bhairavi):恐怖と破壊の女神。
ドゥマーヴァティは、未亡人の形を取る老女神であり、破壊と不幸の象徴とされます。
彼女は他の女神たちとは異なり、通常は暗い面や困難に関連付けられます。
ここでも縁起の良くない神様として描かれています。
しかし、ドゥマーヴァティ(アラクシュミ)をどうしても紹介したかったのは、実はこの女神こそがサナダナダルマとモクシャを授け、シッティ(霊性)を授ける女神とされているのです。
なので、修行者はドゥマーヴァティを避けるのではなく、わざわざ出向き祈りを捧げるのです。
いかがでしたか?
日本でも、貧乏神が実は福の神であった的なお話がありますよね。
アラクシュミは、苦行を与えて乗り越えたのもに富をもたらすという神話もあるようです。
人の見かけや肩書き・経歴、お金持ちであるかなどに惑わされず、本質を見抜く目を養っていきたいものですね。
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