「4大化」と「共学化」で保育学生は増えるのか?
当社のリサーチでは、保育学生の入学者数(専門学校除く)は、2021年から2023年の2年間で、15%ほど減少しています。
短大の入学者数は、特に大きく18%近くも減っています。昨年度末から、養成校の募集停止が相次ぎ、その全てが短大です。この募集停止は、特定の地域ではなく、北海道から九州まで全国で発生しており、東京都でも1校募集停止を発表しています。
2024年度の入学者はさらに減少し、過去最大の減少幅になると予測しており、今後も保育士養成校の募集停止は続いていくと思われます。2023年の時点で、募集定員の3割にも満たない学校も出てきており、早急に手を打たなければ、保育人材育成の仕組みは破綻してしまうと思われます。
短大と女子大の学生募集がキツい
保育士養成校に限らず、全国の私立大学の53.3%は定員割れの状態になっており、学生募集に苦戦している大学は小規模のところが多いようです。小規模大学は、主に短大や女子大で、まさに保育士養成校なのです。
保育業界に携わる人間として、何とか養成校の復活を期待しているのですが、ただ期待だけしていても学生数は回復しません。まずは、学生が集まる仕組みを見直すことが必要です。しかし、大学コンサルタントの方から「学生募集は、大手にガチガチに固められて、カスカスに搾り取られているので、テコ入れのハードルがかなり高い。」と聞いています。
保育養成校の最初の一択
でも、保育士養成校の学生募集策はあるのです。
私が提案しているものは、産学官で連携し保育士を増やす戦略で、効果も充分に見込めます。しかもコストを抑えながら行うことが出来ます。
特に、そのエリアに養成校が1つしかない地域は、産学官の連携が取りやすいのでお勧めします。弱点としては、都心になればなるほど調整に時間がかかることです。ですから、実行するのであれば、早めに動くことをお勧めします。
養成校の選択肢
養成校は、学生募集にテコ入れをしていくとともに、下記の選択肢を検討していくと考えられます。
①短大は4大へシフト
②女子大の共学化
③募集停止(学部・学科)
④合併
⑤公立化
⑥募集停止(閉校)
今回は、「4大へのシフト」と「共学化」について考えてみたいと思います。
①短大の4大シフト
短大を4大に移行させるというよりは、4大を併設する短大を閉校し、経営資源を4大に集中させる学校が、これからは多いと思われます。
短大を閉校した分、4大の定員を増やすことがあるのですが、短大減少分をそのまま増やすのではなく、短大定員の3~6割程度しか増加させませんので、実質は定員は減ることになります。
例えば、安田女子大学は、2025年以降の安田女子短期大学を募集停止にして、4大に学部を新設します。合算で見ると100人の定員減になります。
岐阜聖徳学園大学は、2024年に短大の新規募集停止、2025年に4代の学部名を変更、2026年に募集定員増の予定です。教育課程合算の人数のため、現時点では正確には分かりませんが、仮に40名の増員分がすべて保育に回ってきても、確実に保育学生は減少します。
また、保育専修から保育所初等育専修に名称するということは、小学校教員免許を取得できるようにしていく可能性もあります。
②女子大の共学化
ここ数年は、女子大の共学化はトレンドになっています。特に、神戸の女子大の養成校は、神戸親和女子大学、神戸松蔭女子学院大学、園田学園女子大学、次々と共学になっています。
しかし、「共学化によって学生募集が大幅に改善されるのか?」という疑問にたどり着きます。
それは今後の様子見という異なりますが、共学化の次は、総合教育学部化を行うのではないかと予測しています。小学校教員免許取得コースを追加することで、幼・保・小の免許や資格の取得を選択できるようにします。
これは、「選択の幅が狭くなる」という「親ブロック」への対抗策にもなります。保育養成校の総合教育学部化は、今後起きることなのであまり実例はないのですが、先の岐阜聖徳大学や下記の東海大学などが当てはまります。
採用する側の保育園から見ると、実質定員の減少です。地域としては、なくなってしまうよりよっぽど良いのですが、採用環境が改善されるわけではありません。
この辺りは、私の勝手な推測になりますので、あしからず。
最後に
私は、競馬の予想師ではありませんので、当たった外れたではなく、保育を経営する皆様に向けて、ある程度読める未来に対して準備をしていきましょうというメッセージです。自治体連携型の保育士確保策を一緒に勧めていきましょう。
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