①こども誰でも通園制度は、誰を救済する制度なのか?などを考えてみる
「こども誰でも通園制度」は、月に一定時間(月10時間を想定)、親の就労要件を問わず柔軟に利用できる通園制度です。現在、国が創設を目指し、全国各地の31自治体、50施設でモデル事業が進められています。
ニュースでは、定員がすぐに埋まってしまったという「ニーズの高さ」と現場の「負担増」が報道されていますが、本記事では、もう少しだけ掘り下げてみます。
9月21日に行われた「こども誰でも通園制度(仮称)の本格実施を見据えた試行的事業実施の在り方に関する検討会」の資料から考えていきます。
こども誰でも通園制度とは?
閣議決定した内容の抜粋。
まず正確なニーズの把握が必要
0歳の未就園児は77万人。しかし、親が産休中であることが多く保育園の利用を必要としません。また、この77万人の中には、企業主導型保育園や認可外保育施設に預けている子どもの数も含まれています。
当社の調査では、認可保育園ではなく、あえて企業主導型保育園や認可外保育施設に預けている保護者もいることが分かっています。
それは、無償化の対象ではない0~2歳の認可保育園の保育料を考えた時、少し高くても保育や教育に特徴のある園(英語教育や運動教育)に預けたいと考えるのです。
ですから、実際にどれくらいの需要があるかを把握する必要があります。
こども誰でも通園制度は、施設と利用者の直接契約となる予定ですが、予約管理や請求書発行システムを導入し一元管理するため、ニーズの把握は可能です。
しかし、制度の本格施行の前にシステムを導入し正確にニーズの把握を行った方が良いのではないかと考えます。前評判を期待して、準備万端だったのにふたを開けたら、ガッカリなんてこともあるかもしれません。
なぜ対象が6か月~2歳なのか?
まず、保育現場での対応の難易度を一旦置いてお話をします。
6か月までは、伴走型支援や産後ケア事業で対応することを想定し…とあります。ですから、月齢6か月からというのはいいとして、なぜ2歳までなのでしょうか?「誰でも」というのであれば、3~5歳も含めるのが、良いような気がしますがいかがでしょうか?
3歳の未就園児は5万人。この数字は概算値なので、完全に正確な数値ではないかもしれません。しかし、5%もいます。保育要件を満たしておらず、週1回とか、月に数回だけ預けたい3歳児の保護者はどうしたら良いのでしょうか?
月に数回のために、制服を買ったり、運動会や発表会の練習に参加したりするんですかね。ほほとんどの家庭が出来ているのに、それが出来ない少数にこそ、課題があるとも考えられます。
10時間利用の妥当性について
「一時預かりは、未就園児1人当たりで見ると年間約 2.86 日(月1~2時間程度に相当)となっており、 月10時間利用できる試行的事業は、一時預かりよりも相当程度多く利用できることとなる。」と資料にはあります。
元利用者である私として、一時預かりは、使わないんじゃなくて使えない(全然予約がとれない…)ことが多いのでは…と思います。人が足りなかったり、受け入れ枠が少なかったりします。
ですから、2.86日の数字にどれくらいの妥当性があるのかは疑問です。
ちょこっと通園制度にしてみてはどうか?
こども誰でも通園制度は、実現できれば非常にいい取組みだと思います。
しかし、本当に誰もが使いやすい制度になるためには、もっと工夫が必要かもしれません。
そして、現在、一時保育に対応していない施設は手を上げるのか?
今のままでは少し難しいように思えます。
「誰でも」というから期待してしまうので、今流行りの「ちょこっと」に名前を変えてしまってはどうでしょうか?ちょうど制度名も仮称なので…。
まだテスト段階なので、欠点ばかりを指摘していても仕方ありません。モデル運用の結果を見て柔軟に内容の変更し、良い制度になっていくことを期待しましょう。
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