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コロナ前とコロナ後で保育学生の意識変化の調査

コロナ前とコロナ後で保育学生の意識変化の調査をするために、保育士養成校の教授約1200名に対してアンケートを実施しました。


結果は、失敗です。
ほぼ100%の教授が「変化はしていない」と回答したためです。

学生の園探し(就職活動)の行動が大きく変化していることを実感していたために、学生に最も距離の近い教授にヒヤリングを試みたわけですが、「意識の変化はない」との結論で、大前提の仮説が崩れてしまったのです。

教授が感じている保育学生に対する課題や悩みは、コロナ前後で変化していないのです。

ただし、もう少し長いスパンで見ると、
(1) 学生のコミュニケーション力や意欲の低下は感じている
(2) 実習中や実習後に学生のメンタルに不安を感じる
(3) 就職先の園を簡単に決めてしまう傾向にある(もっと時間をかけてほしい・もっと園見学に行ってほしい)
(4) 人材紹介会社(エージェント)を使わないでほしい

という結果は得られています。考察の詳細は、教授に送付するとして、
(4)に関してのみ話しをします。。

率直な感想として、「人材紹介会社はどこでも嫌われているなあ」というものです。「保育業界における人材紹介という事業モデル」について、わたしが発言をしてしまうと、ポジショントークになってしまうため(私たちは人材紹介を行っていません)、なるべく控えるようにしてきました。

ポジショントークとは、簡単に言うと、恋敵の欠点をさらす行為のことです。モテない人のダサい行動と考え控えていたのです。

しかし、それでは今回のアンケートが無駄になってしまうため、「保育士養成校」と「保育園・幼稚園」のそれぞれの立場で、なぜ嫌われているのかを、なるべく中立な立場でお話をしたいと思います。

「保育士養成校の視点」

(1)人材紹介会社の問題点

保育士養成校にとって、学生の就職支援は、非常に重要な役割の一つです。しかし最近では、就職先の決定に、人材紹介会社の関与が増えてきおり、養成校側からは人材紹介会社に対する懸念が強まっています。
まず、人材紹介会社による学生への勧誘活動が強引であるという問題です。これは、養成校の教員やキャリアセンター担当者からも度々指摘されている点で、学生の意思を尊重しない(と思われるような)強引な手法が、学生の将来に影響を及ぼす可能性があります。

保育士養成校の教授やキャリア支援担当者からは、紹介会社に斡旋される求人先と学生の希望や適性が合わない「ミスマッチ」が多いという声もあります。人材紹介ビジネスは、契約成立(入職)に至らなかった場合は、手数料が発生せず売上が上がらないため、短期間での成約を求める傾向が強いです。このため、学生に合わない職場でも「一度働いてみる」(業界用語でねじ込み)という方向に誘導されることもあります。結果として、早期離職のリスクや内定辞退が高まり、学生のキャリアに悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。

(2)知らずに人材紹介会社を利用している!

求人サイトを一見見ただけでは、人材紹介会社か否かの判断ができないことも多く、学生は、知らずに登録して個人情報を提供してしまうこともあります。

また、上記のアンケート結果には、「民間の就職イベントを推奨している」との回答が約43%あります。しかし、民間の保育就職イベントの運営元の多くが人材紹介ビジネスを行っている現状を知らずに、教授や養成校が推奨してしまっているのです。

「保育園・幼稚園の視点」

(1)紹介手数料の実態

一方で、施設を経営する側にとっても人材紹介会社の利用には大きな問題があります。最大の課題は「高額な紹介手数料」です。一般的に、保育士の採用において人材紹介会社に支払う手数料は、採用する保育士の年収の30~35%とされています。例えば、年収300万円の保育士を採用する場合、90万〜100万円もの手数料が発生します。この費用は保育園の経営にとって大きな負担であり、特に経営が厳しい中小規模の保育園にとっては深刻な問題です。

(2)保育園の経営に与える影響

人材紹介会社に支払う手数料が保育園の経営を圧迫しているという事実を示すデータもあります。WAMネットのレポートによると、保育園の約88.3%が「とても高い」、11.7%が「やや高い」と回答し、すべての施設が費用負担感がとても大きいこと考えています。また、保育士の待遇改善や施設の充実など、本来投資すべき部分に資金を回せなくなり、結果的に保育の質が低下してしまうリスクがあります。(自治体ヒヤリングより)

一方で、急な保育人材の手配では助けられていると回答している保育施設もあります。
資金の余裕度合いによって変わるのでしょうか?

まとめ

中立の立場で、意見を言うならば、
「被災地で食料を高く売ることは許されるのか?」というようなマイケル・サンデル的な問いに答えなければなりません。

学生の頃、享保の大飢饉では、徳川吉宗(暴れん坊将軍)が、コメ問屋である高間伝兵衛の協力でコメ価格の安定サツマイモ栽培の推奨を行ったと習った記憶があります。歴史に倣えば、キャリアフィールドの協力のもと、人材確保の代替手段を推奨することですかね。

ポジショントークですが…。



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