見出し画像

オオカミがキケン

キラキラお目目の可愛いひつじ。
ある日町を歩いていると、「オオカミ キケン!」という
張り紙をみつけました。
町中のみんなが「こわいこわい」 「いやだいやだ」と
噂をしています。
でもひつじの子は、「ほんとかな~?」と思いました。
なぜなら、いつもお母さんに、
「うわさをしんじてはいけないよ」と
言われていたからです。
そこでひつじの子は、オオカミが本当にキケンなのかどうか、自分で調べることにしました。

『オオカミがキケンってほんとうですか?』せき ゆうこ (著) 5才~

この絵本は Kindleで見つけて
何気なく読んでみた絵本です。ひつじの子は可愛いです。

病院の日は時々、kindleを利用するのですが
小説だと読み切れないのと続きが気になって
家に帰って続きを読む。になります。
絵本だし、読み切れるからいいと思って
読んでみましたが、内容が濃すぎて
夢中になってしまいました。

主人公のヒツジの子は、
日ごろ母親に「人を見た目で判断してはいけない」と
言われています。
そこで村の人に常識?となっている
「オオカミってキケン?」について質問をするのですが、
それはそれは想像を超える嫌われぶりで、
最後には蚊に刺されたのや、鍋の底に穴が空くのも
オオカミのせいだと聞かされます。

オオカミの悪そうな顔が・・

「人を見た目で判断してはいけない」というのは
その通りだと思うのですが、オオカミがうわさ通りの
「悪人」だったとして、その悪行が必然の選択であり、
生きるために必要なことだったとしたら?どうでしょう?

生きるということがもつ哀しさや、やりきれなさ、
きびしさ、親が子どもに抱く愛情の深さを
絵本の中で描き出しています。

たとえば、人生を順調に過ごしている時に、
誰かが自分の進路をふいにさえぎったために、
進行方向を変えたり、立ち止まったり、してしまうことが、
あると思います。どんな時でも起こり得ることです。

自分も、一生懸命であるときほど、周りが見えなくて
誰かの人生をさえぎって、じゃましている場合が
あるかもわかりません。

誰かがうまく行く時は、他の誰かが
うまくいかない時かもしれない。
不公平だと思う事も多くあります。
でも生きるってそういうことだから、
それを避けようとすることは、
自分の人生を誠実に生きることになりません

無責任な噂を聞いたひつじの子

この絵本は誰かを犠牲にすることでしか生きられない者の
哀しさや誠実さを、愛情もって描き出しています。

悪というのは人の人生をさえぎることよりも、
むしろ誰かを悪と決めつける世の中に
無意識に同調することではないのでしょうか?

憎しみを抱いて誰かのじゃまをする訳ではないのに、
邪魔された側は、多数派形成をしてねたんだり
足を引っ張ったり悪しき事をしてしまう、
その憎悪こそが悪を働くよりもっと恐ろしい。
誰かを傷付けることで、強者になるのではなくて、
人を想う愛情から生まれる勇気が人を強くする。
言い換えれば、愛情豊かなお母さんを強くするのです。
お母さんの腕から血が流れる場面で受けた印象でした。
親が子を想う愛が、気恥ずかしい言葉を一切使うことなく、これほど深く描かれた作品は、ないと思います。

大人でも簡単に答えが出ない、
ものすごく重い内容を問いかけている絵本だと思いました。

最後にヒツジ”の子が
「みんなからママが嫌われても、ぼくだけは
いっぱいママのことを好きになる」というセリフが
深く重く考えさせられる絵本です。

ネタばれしないように書いたので解りにくいかな?
是非、読んでみてください。
あなたはどんな感想をもつでしょうか?


いいなと思ったら応援しよう!

☕心都(コト)@no+e ☕
いつも読んで頂きありがとうございます。少しでもお役に立てれば嬉しいです。 スキ💛ありがとうございます。良ければフォロー💎お願いします。