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無用という言葉

五木寛之氏の言葉
《無用な人、無用な出来事など一つもない》

この世には無用なものなど何もないのではないか、
と思うようになりました。
生きているだけですでに意味がある、
そう考えながら世界を眺めると、
意味のないものなど一つもないと感じるのです。


海外を中心に活躍する高名なグラフィックデザイナーが、
なぜ日本であまり仕事をしないのかと
尋ねられていたことがあります。
すると彼女は、「日本で仮に五人で仕事をするとなると、
いろんな事情で、どうしても仕事のできないだめな人が、
二人くらい加わってくる。
すると残りの三人が非常に優秀だったとしても、
結局すべてがだめになってしまう。
本当にいい仕事をするためには
ジャンクが交じっていてはだめ
なのです」

私はこの会話文を見て、直感的に思った事が
その方法で彼女がやっていく限り、
彼女は、自分一人の才能・力を
超えられないのではないかと思ったのです。
彼女の言う「ジャンク」という言葉を聞いて
思い出したのが、遺伝子の話です。
遺伝子というのは、四つの要素が固体それぞれの
順列組み合わせで並んだ二重らせん構造になっています。
その中には絶対に必要と思われる遺伝子のほかに、
なんの為に存在しているのかわからない、
不規則な遺伝子や、重複した内容の遺伝子も
たくさんみられるそうなんですが、
こうした意味不明な遺伝子を「ジャンク」と
呼んでいたそうです。

ジャンクとは「くず」という意味ですが、
その後、 こういうジャンクがあることによって
コピーミスが生じ、その結果、突然変異が
起こったりすることがわかってきました。

ただ生きて行く、それだけで素晴らしい。より抜粋

この突然変異の積み重ねが「進化」では無いのでしょうか?
ジャンクには、そうした意味がちゃんとあった。
「無用の用」とよく言います が、一見無用にみえるものが
実は大きな意味を持つことがあるのです。

合理的にすべてが明らかであり、また整然と整理されれば
いいというわけではない。
これも直感ですが、
本当に大きな仕事というのは、一人の想像力を
大きく超えたところにあるのです。
だめだと思われる人間、ジャンクな人が入っていなければ
本当に大きな仕事はできないのではないでしょうか。

このようなことは人間社会にも言えることでしょう。
すべてが合理的で効率的な動きをする人ではなく、
変な人、なぜいるのかよくわからない人、
そうした人たちも仲間に加わっているほうが
より人間的な集団になります。

無用な人などいない。
また、無用な出来事など、何一つないのです。
人生の中では、よくわからない部分が
あったほうがいいのです。

《無用と思うものが、思わぬ進化をもたらす》
よくわからないことがあったほうがいい。とは
可能性の種を残すことにもなります。

働きアリの法則というのがあるのを知っていますか?
2:6:2の割合で、よく働くアリが2割で、
普通のアリが6割、働かないアリが2割がいるという法則。

不思議なことに、よく働くアリだけを集めても、
いつの間にか、2:6:2の割合で、
普通のアリも、働かないアリもできるという。
必要だからこの割合を必ず作るのだそうです。
それは、率先して働く蟻と、普通に働く蟻、そして何かあった時の非常時に対応する蟻という生活体制なのです。

「無用な人、無用な出来事など一つもない」ことなのです。

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