子供の記憶と忘れたくない想い
義父が亡くなった日、私が夕飯を作っている間、娘は夢中でお絵描きをしていました。夕飯ができてもまるで気づかない様子で、何を書いているのか覗いてみると、まだ文字がうまく書けない娘が一生懸命、自分なりに文章を綴っていました。何と書いてあるのか聞いてみると、こんな内容でした。
“Grandad died when I was six. On the fourth of November. Which means he died on Monday.”
「おじいちゃんが亡くなったのは、私が6歳のとき。11月4日でした。月曜日に亡くなったということです。」
“The saddest thing that happened so far. By the way, this happened when I was six.”
「今までで一番悲しかったことです。ちなみに、これが起きたのも私が6歳のときです。」
娘は、去年の出来事もよく思い出せないことがあると自覚していて、自分なりに忘れないように書き残しているのです。私はというと、6歳の頃のことなどほとんど覚えていません。写真があるからなんとなく記憶している気になっている思い出がちらほらあるだけです。
その様子を見て、ふと宮崎駿の映画『君たちはどう生きるか』を思い出しました。心に刻まれるような思い出も、ドアをくぐった後には忘れてしまう。子ども時代の記憶とはそんなものなのかもしれません。
娘はその夜も、「私はおじいちゃんのことを一生忘れない」と呪文のように繰り返していました。この絵は大事に保管しておこうと思います。大人になってもこの絵を見れば、あの時の気持ちがよみがえるかもしれません。
この記事は以下の記事からの続きのお話です。
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