中学校でのお話。2

それは「先生」だった。

私の中学校はそんなに偏差値が高くなかった。

だから,「勉強できるやつ=仕事できるやつ」みたいな方程式が出来ていた。

何の証明も出来ない方程式。

成り立たないことを歴史が教えてくれる方程式。

でもこの方程式に3年間苦しめられることになった。


「おまえ,体育委員やってくれ」

担任の先生に不意に言われたときにはびっくりした。めんたま半分は飛び出していた自信がある。

私の学校では体育委員が委員長の次に重要な役割だった。
理由は単純。

先生が抜群に怖かったからだ。

怖かった,と言うより理不尽だった。パワハラ,ともいえる。

何かひとつでも出来てないことがあったら,怒鳴られる。
静かに着替えられなかった。廊下を走った。教科書で体をあおいだ。

これをクラスの誰かがやると,その子と体育委員は先生のところへ謝りに行かなければならなかった。

それも,1ヶ月。 毎朝。

毎朝叱責されると分かって向かう職員室は,憂鬱すぎた。

絶対,体育委員にはなりたくなかった。
他人の尻拭いに付き合っている暇があったら勉強したかった。

責任のある立場にはなりたくなかった。目立ちたくなかった。

幸いにも,学級崩壊した小学校出身という肩書きは大きかったらしく,委員長みたいなたいそうな役は頼まれなかったので大丈夫だと高をくくっていた。

勉強していることも周囲には隠していたし,うまくやっていると思っていた。

そんななか,よりによって体育委員を頼まれてしまった。


私の住んでいた地域には内申点制度というものがあった。

要するに通信簿の評価も受験に響きます,というものだ。

高校受験の際には,入試の得点とこの内申点とがうまく計算されて,どちらかの点数が高くても入れないようになっていた。

高校受験を成功させたい私には,この内申点もテストの点数と同じくらい重要なものだ。

この「内申点」をあげるにはどうしたらいいのか。
答えは単純だ。


先生の言うことには絶対的に服従すること。

次の記事に続きます。



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