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【ファンタジー小説】宇宙樹(5)

(これまでのあらすじ)
 城塞都市アヨーディアの台地『象の舌』へと、歩を進める二人の少年がいた。
 魔除けの腕輪をつけた王族のシータと、幼馴染みの軍人ラマハーン。ふたりは、アヨーディアを包囲する帝国軍の情勢を探るため、熱飛球で飛び立った。

 シータとラマハーンは、飛球からの偵察でアヨーディアは三倍以上の兵力で、帝国軍に包囲されていることを見てとった。
 シータは、『宇宙樹を統べるものは世界の創造主となる』という伝説にカギがある、と考えた。そのため、包囲網を脱出して宇宙樹のあるセレンディアに行く、という考えをラマハーンに伝える。

 そのとき、飛球の上昇熱が高まって係留索が外れてしまう。さらに、帝国の魔法士ラーク=シ・ヤシャによる鴉の攻撃を受けるのだが・・・

 ヤシャの鴉に攻撃された飛球は、幸いにも唯一敵が遠巻きにしていた南東の湿原に墜落した。
 シータとラマハーンは湿原の瘴気に助けられて、敵兵の追撃を逃れる。

 その頃王宮の一角では、カイモン導師が盲目の謎使い士(リドル・マスター)クシャナと面会していた。

 いっぽうシータとラマハーンは、敵兵の追撃を逃れたものの、帝国の諜報官”王の耳”であるサイラス・オルクウムの襲撃を受ける。
 サイラスはシータを人質に、ラマハーンの武技を逃れようとする。しかしそこに駆けつけた、ヌビアの女傭兵アスラによってシータは救われた。

 「謎使い士」クシャナは、ヤシャによる脱獄の謎を調べるため、「黒穴」ティアル獄へと赴いていた。
 

Ⅰ 脱出

2(承前)

「魔法の効力を無にする力があるって、本当かしら?」
「本当だよ」
 だれもいないと思って放った独り言に返事があって、クシャナは驚いた。自分に気配を察知させず、ここまで近づける人がいようとは。

「心を読んだ? 魔物(ジン)なの?」自分の声が震えている。「あなたは、だれ?」
「驚かせてごめんなさい。私はシッダータ・アル・アヨーディヤ。シータと呼んでください」
 ああ、とクシャナは頷いた。相手の呼気からは微かに焦げたようなにおいがした。

「カイモン先生から聞きました。かつて帝国に留学されていたとか」
 それで帝国風の発音をするのか。
「テーベの学寮にいました。あなたも帝国から?」
「メンフィスから来ました」
「メンフィス? 羨ましいな」

 帝都であるテーベが工芸に優れているのに対し、芸都メンフィスには舞台やホールが多く、美術館や博物館などの収蔵品も優れていた。
 さらにメンフィスへの賛美が続きそうなシータを、クシャナは遮った。

「ここで、なにをしていたの?」
「たぶん、あなたと同じ」
「あなたが、カイモン先生が言ってた愚か者なのね。ヤシャがこの牢屋から抜け出してみせた謎を解こうとしているという」

 シータのふふ、という笑い声が上から降ってきた。
「ぼくもカイモン師からあなたのことを聞いてます。互いに目的が同じならば、協力しあって謎を解くのが良策でしょう」

「そうね。ふたつの流れが合わされば、大いなる大河になる、というのがアヨーディヤの諺だったかしら」
「そのとおり。協力しましょう」
 そう言いながらも、シータは油断していないらしく、己の全てをさらけ出す気はないらしい。

 心を読ませないひと。とクシャナは思う。シータの呼吸は安定していて、内心の乱れを映すことがほとんどない。
「抜け穴のようなものがないかと思ったのだけど、やはりないわね」
 コンコンと杖で壁を叩く。空洞があれば音でわかる。蜘蛛の巣に髪が引っ掛かり、いらいらと引きはがした。

「通路には入り口と出口の二カ所に鉄格子の扉があり、二カ所が同時には開かない仕組みになっていたようだね」
 シータが説明した。
 当時の鉄格子は跡形もなく、蝶番が止められていた箇所が窪み、扉の開閉の痕跡が床にあるだけだ。

 ティアル牢が使われなくなって、十五年経つ。
「ヤシャの脱獄以来使われていない、と聞きました。収監されていた囚人は、他の監獄へ移送されたとか。おかげで、事件の現場が保存されている」
「そうは言っても、もう十五年も前のことだ」

 シータが手燭を灯したらしく、焦げ臭いにおいがした。
 ふたりはやがて、中央の広場に出た。自然の丘陵内とは思えないほどに、広々とした空間で天井は高く、クシャナはその天井から音や空気が抜けていることに気づいた。

 シータは敏感に察した。
「まるで見えるかのようだね。そう、ここの天井部分には人が手を広げたくらいの穴が開いていて、採光と換気に使われている。
 雨期の水のせいで、中央の床は穿たれている。この獄から外に通じるただ二カ所の穴のひとつがこれだ。
 だけどあの穴から逃げるのは無理だよ。手がかり足がかりのない内壁を登って、あそこまでたどり着くことはできない」

 そうなの? とクシャナは呟いた。
「個室は?」
 個室という表現に、シータは笑い声を上げた。

「独房のことだね。今いるこの場所の廻りへ放射状に、鉄格子の嵌まった狭い牢獄が円を描いて並んでいた。
 鉄格子は円の中心を向いていて、房内の三方は石壁になる」シータは、目の見えぬクシャナがわかりやすく話すよう心がけてくれているようだ。「今では格子の鉄は盗み去られて、独房の痕跡が残っているだけだが」

「ここに収監されていたのは、どんな人たちだったのでしょう?」
「ここは、出口のない監獄だったのさ。外に出たのはヤシャだけと言われてる。重罪を犯して、生涯押し込めておくか処刑されるかの罪人が、死ぬまでの仮寓だ。処刑室も検分する?」

 予想に反しクシャナが「ええ」、と返事したので、シータは彼女の手をとってさらに奥の部屋へと導いた。
「ヤシャについて、ご存じですか?」

「のちに帝国で魔法の修行を行って、稀代の魔法士ラーク=シ・ヤシャとなったルクシヤ・シャーは、もともと城壁の外に住む平民で羊飼いの子だった。兄がひとり、弟がひとり。兄が家業を継ぐため、ヤシャは職人として鋳掛け屋の徒弟となった」

「魔法の師は誰ですか?」
「特定の師には付かなかったようだね。有力な術者に取り入ってはその技を見、訊き、技を盗み、わずか数年で稀代の魔法士と言われるまでになった。よほどの才能があったのだろう。今四十から五十歳くらいだろうか」

 カイモン師にも教わったところだが、クシャナは興味深そうに相づちを打ちながら聞いた。
「ルクシヤが、タブラを奏でることに秀でていたのが始まりだ」

 タブラとは、胴が木や真鍮で作られた壺のような打楽器だった。ヤギ革を張って革紐で胴の底に留めており、紐の結び方を変えたり張力を変えたりして、様々な楽曲に併せた音を出すことができた。
 また奏者の技量しだいでは、指の動きによって多彩な音をつくることもできる。アヨーディヤでは古くからある楽器だった。

「彼は楽と舞を通じてある踊り女と知り合い、恋に落ちた。しかし、この踊り子をダビド王が召し出して寵姫としたため、ふたりの仲は引き裂かれることになった。諦めきれなかったヤシャは侍女に賄を渡し、水晶宮の奥の間で姦通を謀って捕らえられた」
「それで、ここへ送られたのですか」

「そう、密通は死罪だからね。ただ相手の寵姫が水晶宮へ幽閉されるに留まったのは、王の彼女への愛が深かったためだ」
「その寵姫があなたの?」
「そう、ぼくの母君カーンティ・ウル・アヨーディヤ。月のように美しきもの」シータは軽い口調で付け足した。「ぼくが大きくなってから、素面でいる姿を見たことがないけど」

 クシャナはどう言っていいか、わからなかった。
「脱獄が行われた日のことを、ご存じですか?」
 シータが足元に気をつけるように言った。

 反響音が広がり、クシャナは別の部屋の入り口に立っていることに気づいた。
 その部屋はやはり天井が高く、苔や黴のにおいに混じって言いようのない悪臭が漂っていた。十五年間放置された後もまだ抜けることのない、邪悪な魂が彷徨っている臭みがそこにはあった。

「ここが処刑室だよ。さて、ヤシャが脱獄した日のことか」
 シータは入り口から中に入ろうとはせず、その場で語り始めた。
「なぜ入らないのですか?」
「虫が苦手で。ムカデや蠅などがいっぱいいるけど、君が入るなら止めないよ」

 クシャナは断固とした口調で答えた。「私も入りません」
「季節はちょうど今時分、アハルド王の戦勝記念日のことだ。この日はアヨーディヤの戦勝を祝うため街では市が立ち、花火が打ち上げられ、神官は祝詞を上げていた。
 一般の囚人には、恩赦が与えられたが、ここ黒穴ではそのような特赦はなかった」

 ただ、とシータは続ける。
「恩赦は無理でも何か祝いを、と看守長が王に願い出た。恩赦や特赦がないと、警邏にあたる兵も恩恵にあずかれず、街の雰囲気から置いて行かれたようだ、と訴えたのさ」

「自分たちのため、ですね」
「まあね。それで王も心を動かされ、罪は減じぬが歓楽のための慰問団を差し向けることを赦した。舞や楽の上手を集めて」
「そのなかに?」

「そのなかに、我が母君が踊り子として混ざっていたのが何故か、ぼくも詳しい事情を知らない。だが、どんな手管を使ったのか、その慰問団に彼女が紛れ込んでいたのは事実だ」
「愛人の姿をひとめ見たかったのでしょうか」
「あるいは、脱獄の手引きをしたか」

 シータの容赦ない言い方に、クシャナは見えぬ目を向けた。相手の呼吸音は変わっていなかった。

「さっきまで居た中央の広場に仮設の舞台が造られ、幔幕が張られた。当日の昼過ぎのことだ。夕刻になると、囚人は独房から出され、一カ所に集められた」
「独房からは自由になったのですね」

「囚人は独房のなかの溝で下(しも)の問題を解決していたんだが、さすがに慰問団を前にそれはできない。悪臭もひどかったらしいしね。
 独房は洗い清められ、この処刑室が一時的にその機能専用に使われることになった」
「ヤシャの処刑は、まだだったのですね」

「あと数日後のことだったらしいけど。ヤシャの容貌は知ってる?」
 それもカイモン師から聞いていたが、首を振った。
「背丈はふつう。髭も濃くはなく、これといった特徴がないのが特徴かな。タブラの名手だっただけあって指は固くなっていた。
 ダビド王の方が偉容があって、母君がヤシャのどこに惚れていたのかわからない、とよく言われたようだよ」

 クシャナは微笑んだ。「恋の女神は気まぐれです」
「夕刻から宴が始まった。慰問団がこの牢獄に入るときは、二重の格子扉を数名づつ通過したが、持ち物は警邏の兵が確認した。

 衣装はあらかじめ外に張った天幕で着替え、獄内には各自の楽器しか持ち込まれなかった。中へ入った人数はもちろん数えられた。
 警邏の兵は、必ず不規則な編成でふたりひと組になるので、賄賂も通じない」

「それで?」
「宴はつつがなくなく進行した。特に面倒なこともなく、ヤシャがタブラの腕を披露する一幕もあったらしい。踊ったのは母君だった」
 クシャナはその光景を想像した。王に召し出されたために引き裂かれた恋人との最後の逢瀬。

「看守長は、囚人が徒党を組んで暴れ出さないよう警戒していたが、酒などが出されなかったこともあって、不穏な気配はなかった。
 月が中天に昇る頃に宴は終わり、慰問団の踊り子と楽団は入ったときと逆の手順で牢を出た。人数が調べられ、持ち物も楽器以外に持ち出されなかった」

「舞台は?」
「警邏兵が片付けた。囚人にも手伝わせたので、彼らを独房に戻すのが少し遅れたことを、看守長はあとで譴責されている」
 クシャナは考え込んだ。

「監獄の外では宴の第二幕が始まった。
 今度は警邏兵の慰問のためで、酒が振る舞われ、踊り子たちの踊りもいっそう妖艶になった。
 宴が盛り上がり始めた頃、牢の中から 破裂音がして看守長は慌てて中へ人を遣った。その後、中から返ってきた伝令に耳打ちされて、すぐさま牢に戻った」

「ルクシヤがいなくなっていたのですね」
「宴は中止となり、何者も逃げ出さないように信頼できる部下に廻りを見張らせた。
 最初はルクシヤは牢の中のどこかに潜んでいるのだろうと思われた。まさかとは思ったが、天井の穴の外側にあたる丘の上にも兵をやって、何かの痕跡がないか確かめさせたが、なにもなかった」

「結局ルクシヤは忽然と消え失せ、その後帝国に亡命して魔法士の修行をしたのね」
「ああ」とシータは頷いた。「あと、あまり信頼できない噂話もある」
「なんですか?」

「その夜、酔い覚ましに裏手の崖のほうを歩いていたひとりの兵が、月明かりの下でルクシヤの首が浮かんでいるのを見た、らしい」
 ふーん、とクシャナは考え込んだ。
「警邏の兵には、お酒が振る舞われたのですね。幻覚を見るほど座が乱れたのでしょうか?」

「わからないけど、看守長は信頼できる部下は温存していたので、宴のあとも警邏は通常通りだったようだ。なにかわかった?」
 処刑室はただの穴蔵になっており、中にあったであろう刑具や流血の痕は拭われていた。
 だが、そこに漂う陰惨な気は、祓い清めても依然として残っていた。ふたりは中央の広場に戻った。

「この牢の壁が、魔法を受け付けないというのは本当ですか?」
「壁材に大魔法士の血を練り込んだ、というのは嘘くさいけど、魔法防御の結界はいまだに生きてるよ」
 シータは紐の先に結びつけられた尖った紫の貴鉱石を、クシャナの手に握らせた。

「ナークヤリッドの呪具ですね」
 手触りでそれとわかった。クシャナはその尖った石の先端を下に紐を垂らしてみたが、ぴくりとも動かなかった。
「ヤシャが魔法士となる以前でも、魔法具があれば脱獄する方法はあると思ったのですが」

「ぼくもそう思ったのだが、地下水脈に沿って揺れるはずの、この石がぴくりともしない」
「『隠身の衣』も使えませんか?」
 シータがくすりと笑った。が、クシャナは相手が心から笑っていないことに気づいた。

「隠身の衣で、脱獄したとみせて実は中に隠れており、看守が慌てて出入りする際にくっついて外に出る。ぼくもその手は考えたけどね」
「ガンジャのような幻覚を見せる煙を使うとか、飲み物に混ぜるのはどうでしょうか」

「警邏兵は、この監獄を造る丘の廻りに配置されていた。風向きにもよるだろうけど、全員を同時に術に掛けるのは無理だ。飲み物も同様だよ」
「どうやら、魔法や幻覚を使った姦計は無理なようですね」
 シータが、同意するように頷いた気配が伝わった。

「慰問団の人数、構成はどうだったのですか?」
「詳しいことは、もうわからないよ。
 踊り子が十数人。楽団はもっと多い。シタールやタンプーラのような弦が数名。
 タブラ、ガタムのような鼓にサウスのような大きな弦もあったが、その中に人が隠れて出るなんて無理だよ」

 シタールやタンプーラは弦楽器で、棹の付いた共鳴胴からなり、胴はヒョウタンやユウガオの実を乾燥させたもので作られた。
 伝統的なシタールは十九弦でフレットを抑えることで音の高低を演じ分ける。最古の楽器のひとつで、アヨーディヤでも人気が高い。

 ガタムは赤土で作られた素焼きの打楽器で、壺のような形をしており、大きさによってガタカ、ガタムなどと呼び名が変わってくる。
「わかってます。出入りした人数。荷物、楽器はすべて看守が検めたのですね」

「持ち運びに使っていた革の袋を開けさせて、中を検めた」
「その看守たちは、信用がおけますか?」
 アヨーディヤの兵は質が高いが、官吏が腐敗するのはいずこの国も似たようなものだ。シータはクシャナの手を取り、独房の連なりが途切れる場所に連れてきた。

「触ってごらん」
 これは? クシャナは彫像のようなものに触れていた。
 表面が固く、質感は荒れているが、なにか命の欠片のような、どくどくと脈打つ鼓動が感じられた。

「看守長と部下は、神官長ヨキの”真実の実”による審判を受けた。もし彼らが嘘をついていれば、この石像の群れに入っていたろうね」
 クシャナは慌てて手を引っ込める。
 これらは、もともと人だったものが、”真実の実”に逆らって嘘を言い、石化したものだったのだ。

「”真実の実”はアヨーディヤの血が濃い人間にしか効かないから、踊り子や楽の者たちには試されなかった。
 母君も、もちろん受けることはなかった」
「だとしたら、やはり気になるのは天井の穴ですね」
「ぼくも、その線が一番ありそうだと思って調べてみたんだが……」

「天井の穴から誰かが綱を垂らし、それを伝って登ったのではないでしょうか?」
「いつ?」
「舞台を解体して、片付けを行っていたときに。警邏の兵たちが宴を行っていたときの破裂音は、そのときに脱出が行われたと思わせる仕掛けで、そのときもう脱出は終わっていたと思います」

「破裂音についてはその通りだろう。
 だが、穴の外側に綱や縄ばしごを垂らした痕跡は見つからなかったんだよ。中に入る前にぼくも見たけど、一枚岩をくりぬかれて造られたものだが廻りには土が滞積しているから、何の痕跡も残さないのは難しいと思うよ」

「綱を垂らす箇所に、布を当てておいたらどうでしょうか」
「布?」
「痕跡が残らぬように」
 シータは考え込んだ末に言った。

「脱獄しようという時だ。痕跡を残さぬ事より、急いで逃げることを優先しないかな?」
「その穴からヤシャが顔を出したときに、首が浮かんだように見えたのではないでしょうか」

 シータの呼気が、一瞬乱れた。自分が正鵠を突いたのか、とクシャナが思いかけたとき、
「くくっ」
 相手が笑っているのがわかった。

「面白い説だけど」シータは笑いながら言った。「ヤシャの首が浮かんでいたのは、丘を降りた城壁との間の場所だったようだよ」
 クシャナは、少し気を悪くしたように鼻を鳴らした。
「だとしたら、残念だけど」
「諦めますか?」

「可能性はひとつしかないわ」
「まだ、他にも考えられる方法がある?」
「ええ、ただその方法を使ったとしたら、別の謎が生まれる」
 シータは真面目な声音になり、懇願した。

「教えて欲しいな。その方法を」
「その前に、もうひとつ謎を解きたいの」クシャナがシータのほうに光のない目を向けた。
「あなたは、本当はだれなの?」
【ファンタジー小説】宇宙樹(6)に続く)

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