【猫噺#20】がんばれ!ばーちゃん猫(老猫のケア)
ウチの猫たちの中で最長老のちびは、御年20歳。
今年の寒さでカゼをひいたらしく、数日前から鼻水を垂らして時おりプシュ、プシュとくしゃみをしていました。
それが、遂にご飯が食べられない状態になってしまいました。
これはヤバイかも! とお医者さんに連れて行ったところ。。。
最長老ちびのこと
ちびは体重5キロ超。短躯なので、デブに見える黒キジ猫だ。
クセのある保護猫ばかりのわが家だが、ちびは出自がはっきりしている。いわば庶民の中の貴族だ。
その割に食い意地が張っていて、食べては吐き食べては吐きを繰り返すことがある。
しかも掃除を終えてやっと一休み、とか急いで出かけないと、と言うタイミングの悪いときに限ってゲロゲロッ、とやってくれる。
間の悪さは、こいつ知っててやってんじゃないの、と思えるほどだ。
憎まれっ子、というわけでもないだろうが、吐いてばかりなのに大病を患わずに20歳を迎えた。
ちび、お医者さんに行く
そんな食い意地の張ったちびが、食べ物を前に逡巡して食べられない様子をみせるようになった。
この冬の寒さが、さすがに応えたようだ。鼻がふさがって、呼吸もピスピスと苦しそうだ。
食べたい。でも(のどか口内?)がイタイ? 二択を前に逡巡しているようだ。お腹も下している。
前日からカゼ気味ではあったのだが、老体なので気軽にお医者さんに連れて行く、というわけにもいかない。
しかしこれは少しヤバイ、と思ってすぐに獣医さんに向かった。
猫のカゼは馬鹿にならない
引っ越してきて初めての通院なので、お初の獣医さんである。
年の頃五十くらいの気さくなおっちゃんで、「うちに来る猫でも、20歳は珍しいな~」とおっしゃった。
近頃ではフードがよくなったので、20歳越えの猫も多いが、この近辺は犬優位らしい。
猫のカゼはヘルペスウイルスなどが原因で、症状はけっこう重篤になることがある。
数年前にウチの猫が感染したときは、何日にもわたって次から次へと感染が循環して大変だった。多頭飼いの場合、隔離もむずかしいから全員もれなくカゼをひいてしまう。
一度カゼをひいたらウイルスが体内に残り、ストレスによって症状が再発することがあるけど、思い当たることありますか? と訊かれた。
やっぱり、悪魔の黒仔猫メープルがストレスになったのだな、と思った。
メープルは新参の黒仔猫だが、ちびより食い意地が張っている。
ご飯をもらうや、がつがつがつ、と自分のぶんを平らげてCoCoのほうに突進する。
CoCoは呆れるほど食べるのが遅い。
足が悪く弱い猫だから、食べ物があるときは狙われやすかったのだろう。なにか音がすると、ずっとそちらを警戒する。
そして幸せをかみしめるように、もぐもぐと味わって食べるのだ。
メープルはそんなCoCoの横から顔を突っ込んで、「いらんのなら、もらうで!」と横取りする。まるでブラックホールのように、小さな体に食べ物を吸収するのだ。
コラッ!と叱ったときは、すでにちびの元へ向かっている。食べ物横取りの次のターゲットだ。
ばーちゃんは、初めてみる自分より食い意地の張った黒仔猫に、ストレスを感じたのだろう。
ばーちゃん復活!
ちびは体重も、全盛期の半分くらいの3キロ半ばになっていた。食べるのが辛そうだったが、診てもらうとやはり小さな口内炎があった。
水分の補給で点滴をしてもらい、ビタミンBと抗生物質を注射してもらう。抗生物質はウイルスには効かないが、病原菌による口内炎の悪化を抑えてくれる。
「これで様子をみて、治らなければ抗ウイルス剤治療などを考えましょう」
鼻水で食べ物のニオイがわかりづらくなるので、お湯に浸したガーゼなどで拭いてあげてください、と言われた。
眼も白濁が始まっており、飼い主と同じくあちこちガタがきているようだ。自分で食べられないときのために、強制給餌用のシリンジをもらい、やり方を教えてもらった。
ちびはその日、帰ってから爆睡し、夕方には状態が改善して自分で食べられるようになった。
翌日から鼻のピスピスは残っているが、食欲は旺盛になってきた。
2日ほど経つと、よく食べるようになってウンチも元のように回復した。
強制給餌のシリンジは出番がなかった。ばーちゃん、しぶとい!
さすがに年齢から、今回はヤバイかも!と覚悟を決めたのですが。数日経過し、引きつづきちびは回復基調にあります。
これまであまり食べなかった、ウエットフードのスープの旨さに目覚めたらしく、台所までねだりに来るようになりました。
ただやっぱり猫カゼもしぶとく、時折鼻をぷすぷすしているようなので、油断はできないと思っています。