【続編】「朝塗るとシミになるのはビタミンCなのか?」そのウワサの正体は!
こんにちは、COCO.libraryスタッフのまなかです。
私はCOCO.libraryに訪れた皆さんが綺麗になれるきっかけを少しでも提供したい!という思いで、私自身も日々学びながら、記事の作成に取り組んでいます。
経験豊富な先輩メンバーに囲まれ、日々学びの多い私ですが、知り得た美容情報について皆さんにいち早くお届けできればと思います。
今回は、「朝、ビタミンCを塗るとシミになるのか?」というウワサについて解説した記事の続編で、そのウワサの正体について徹底解説していきます。
(前編を読みたい方はこちら)
今回の調査では、意外な事実がわかったのでぜひ最後まで読んでみてください!
朝のビタミンC=シミになる、が広まった理由(おさらい)
前回の記事では、
・「朝ビタミンCを塗るとシミになる」というウワサは十分な根拠がない
・紫外線ダメージを抑制するには、むしろ紫外線を浴びる前に塗布した方が効果的
ということをお伝えしました。
元々は「ソラレンを多く含むフルーツを朝食べると日焼けしやすい」という情報が始まりです。
ソラレンは一部の柑橘類に含まれることが多いため、ビタミンCが連想され、誤解が生まれてしまったのではないかと考えられます。
「朝塗るとシミになる」とウワサになった成分の正体は、ビタミンCではなく"ソラレン”なのです。
ソラレンとは?
では「ソラレン」とはどのような成分なのでしょうか?
ソラレンはフロクマリン化合物の一種で、図1のような構造を持つ成分です。一部の柑橘類の植物などに含まれています¹⁾。
▶ソラレンの皮膚への作用
ソラレンなどのフロクマリン化合物は、紫外線のエネルギーを吸収し、皮膚内部に放出する作用があります。
放出されたエネルギーは皮膚にダメージを与えることがわかっており、このような反応を光毒性(光刺激性)と言います¹⁾。
ソラレンの光毒性を調査した研究によると、皮膚に塗布した場合だけではなく、経口摂取によっても光毒性反応が起こることが報告されています²⁾。
また一方で、ソラレンが持つ光反応性を利用して皮膚病の治療が行われることもあります³⁾。
ソラレンが含まれる食べ物は?
ソラレン単体で美容成分として化粧品に添加されることはありませんが、口から摂取しても光毒性反応が起こる事から、どんな食べ物に含まれているか、どのくらいなら食べても問題がないかを調査してみました。
▶ソラレンを含む食べ物とその摂取量
ソラレン類は15~20 mgを口から摂取すると光毒性を及ぼすという実験結果があります⁴⁾。
今回は、上記のデータを基に、駒沢女子大学の西山教授がより高い安全性を考慮して10mgの基準でまとめたもの⁶⁾があったのでご紹介します。
▶何個食べると光毒性の影響を及ぼすのか?
この表で書かれている光毒性を及ぼす可能性がある摂取量(g)とは、それぞれの食べ物の個数にするとどのくらいの量なのでしょうか?
食べ物の平均重量より算出したものを以下の表2に示します。
食べ物の平均重量から考えると、フルーツ中に含まれる「ソラレン」の含有量は意外にも少なく、レモンであれば202個以上…
こんなにたくさんのレモンを1回で食べるなんて、現実的な量ではありませんよね。
但し、グレープフルーツのみ、計算上1個以上食べると光毒性を及ぼす可能性があることがわかったため、朝食に食べ過ぎないほうがいいかもしれないですね。
光毒性を及ぼすと説明したソラレンは、光毒性を及ぼす摂取量から算出すると、ほとんどの食べ物は朝食べても光毒性の影響がないと考えられることが分かり、意外な事実に驚かされました!
食べ物以外に気を付けるべきこと
先に、ソラレン単体で美容成分として化粧品に添加される事はないとお伝えしましたが、植物をそのまま圧搾して製造された精油・エキスなどは、ソラレンなどのフロクマリン化合物を含んでいることがあります。(製造過程でフロクマリン化合物の含有量が調整されていたり、取り除かれているものもあります)
ソラレンは、皮膚に塗布した場合でも光毒性が確認されています²⁾。そのため、皮膚に塗布する場合も気を付ける必要があります。
ソラレンなどのフロクマリン化合物を含む植物からつくられた精油などを高配合したものを活用したり、ご自身で配合してオリジナル化粧品を楽しむ場合などは、使用方法や配合量に注意が必要です。
今回のまとめ
「朝塗るとシミになるのはビタミンCなのか?」という疑問から始まった今回の調査で、間違ったウワサが拡散された結果、本当は肌に良いことを敬遠してしまったり、有害だと知らずに使用してしまう危険性があると知りました。
皆さんに綺麗になってもらうためにも、間違ったウワサに惑わされないように、今回覚えてほしいポイントは4つです!
①「朝塗るとシミになるのはビタミンCなのか?」そのウワサの正体は"ソラレン”
②ソラレンを含む食べ物を朝食べるのはNGと言われているが、ほとんどの食べ物は朝食べても光毒性の影響がないと考えられる
③グレープフルーツは、朝に1個以上食べると光毒性の影響を受ける可能性がある
④オリジナル化粧品を楽しむ場合などは、精油やエキスの配合量、化粧品の使用方法には注意が必要
以上、4つのポイントが重要です。
これからも、このようなウワサを調査して、皆さんに綺麗になってもらう情報を提供していこうと思います。
こんなこと知りたい!やこんなウワサについて調査してほしい!などご意見があれば、コメントいただけると嬉しいです!
参考文献
1)精油中のフロクマリン類分析, 沢村正義他, Japan Journal of Aromatherapy, Vol. 17, No.1, 39-47, (2016)
2)Subacute Phototoxicity Caused by Treatment With Oral Psoralen Plus UV-A, Warwick L. Morison et al., Arch Dermatol., 133(12), 1609, (1997)
3)フロクマリン類の光化学, 有機合成化学, 第 49 巻第 9 号, (1991)
4)Dietary intake and risk assessment of phototoxic furocoumarins in humans, J Schlatter et al., Food Chem. Toxicol., 29(8), 523-30, (1991)
5)「果物や野菜に含まれるソラレンの量はどのくらい?」にお答えします, 西山一郎, 駒沢女子大学,(2020)