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満天の星

あれから、数ヶ月が経ち
二人暮らしにも慣れた。

あの日家に帰ると私の服やら
家具以外の荷物が家にあった。

「なんで?」と聞くと
「もう、あの家に帰らなくていい。よく頑張ったな」
と言われ初めて幼なじみの前で
家族のことで泣いた。

もう、いいんだ。と思った。
あの後姉からも連絡があり
「あんたがそんな状態だったなんて知らなかった。」
と言われ、ちゃんと隠せてたんだと
心底安心した。

「ただいま。」
「あ、朔おかえり。」
「ん。」

いつもと違う幼なじみに違和感を覚えた。
元々二人とも口数は多くなかった。
でも、その日は何故かいつもと違った。
不安になった。

「明日、中学の頃のと学校の帰りに会ってくるね。」
「んー。楽しんで来いよ。」
頭をぽんぽんと撫でられ
幼なじみは、先に布団に入った。


二つ歳上の幼なじみは明後日誕生日を迎える。
たくさん私のために頑張ってくれたから
お礼も込めてバイト代を頑張って貯めてた。
明日友達に付き合ってもらって
プレゼントを買いに行くつもりだった。

「朔くん今仕事なんだっけ?」
「現場だよ。」
「なら、時計とか身につけるものが良いんじゃん?」
「んー。彼女でもないのに重くない?」
「え。まだ付き合ってないの?」
「うん。手も出してこないし……。」
「本当に、朔くんは昔から朝陽のことばーっか!
中学でも憧れてた子多かったし告白もすごいされてたのに
全部断って近くに居れた女の子朝陽だけだったんだよ?」
「そーなんだー。」

と気のない返事をしながらショップを見ていると
似合いそうなピアスを見つけた。
紗枝の話を右から左に聞き流しながら
店員にプレゼント包装にしてほしいと頼み
付き合ってくれたお礼にケーキをご馳走して
まだ私たちの関係をうだうだ言う紗枝を他所に
そこのケーキがあまりにも美味しかったので
バースデーケーキの予約もして、家に帰った。

「ただいまー。」
「おかえり。朝陽明日なんか予定ある?」
「ある。朔の帰りをここで待ってる。」
「わかった。早めに帰ってくるな?」

昨日とは打って変わって嬉しそうだった。

次の日学校が終わり、ケーキを受け取って
家に荷物を置いたら急いで近所のスーパーに向かった。
買い出しを済ませスーパーを出たところで
幼なじみと女の人が一緒に居るところを見た。

その女の人が綺麗で大人っぽくて
すごくお似合いですごく嫌だった。

気付いたら後ろに行って幼なじみの手を掴んでた。

「朝陽?」
「やだ。なんか今日の朔やだ。」
それだけ言って、急に恥ずかしくなって
幼なじみを置いて走って帰った。

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