「リーチ先生」
原田マハさんの「リーチ先生」を読み終えて。
「リーチ先生」はイギリスに来る前に妹からもらい、イギリスで読み進めようと思った本。
異国の地にいて、日本語の本は相棒みたいなもの。日本が恋しくなった時、携帯で日本語を見たいわけではない時、本はどこへでも持っていけるポケットサイズの相棒だと感じています。
この本を読むとイギリスの風景が将来浮かびそうです。
あらすじは、イギリス人のバーナードリーチが陶芸家を目指して、日本にやってくるという始まり。時代は1909年。
不思議な縁でリーチ先生と出会った沖亀之助はリーチ先生のお世話役として先生と共に陶芸の道を進みます。この亀之助がこの本の主人公。リーチ先生ではないんです。
話は日本、最後はイギリスに移ります。
特に印象的だったシーンは、イギリスへ行った後、亀之助が日本に帰るという決断をするまでの経緯。
絶対にリーチ先生から離れないと誓っていた亀之助がなぜ、そのような決断にいたったのか。
リーチ先生と亀之助の今までの歩みを考えるととても心に響きました。
とてもお互いのことを想っているからこそ、この決断、愛情のある理解が読み取れました。
このままでダメじゃないが、時に正しい判断をし、行動しなくてはいけない時ってあるんだよな〜と。
「リーチ先生」はバッキンガム宮殿の近くのグリーンパークやハイドパーク、地下鉄で読んだりと、家ではなく外へ出て読むことが多かった分、この本を読むとロンドンの様々な場所を思い出します。
本の中で描写されるリーチ先生の作品たち。
一体どんなものなんだろう?と想像が膨らみます。
「かたちよくとがった注ぎ口、ぽってりとちいさく太った胴体。白濁した地色に草花の絵が描いてある。ごくさりげなく、やさしく、しなやかで美しいその風情に、シンシアはうっとりと視線を注いだ。」(P428 引用)
また何度でも読み返したくなる本。
読むのは遅いが、これからも読書を続けていきたい。
そう思えた一冊でした。