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このお金は誰のもの?


毎日、続けるぞと思っているのですが、気が付くと23時をまた回ってしまいました。
あと45分でテーマも決まらないまま書き終えられるのか。
テーマを考えている時間もないので、お金のお話をちょっとしたいと思います。

少し前に、こんな記事を書きました。

お年玉を例に、贈与税について基本的なことを書いてみました。
個人である誰かからお金をもらうと、贈与という法律行為があったものとされて、場合によっては贈与税がかかりますよ、というお話でした。

さて、今日は、「そのお金は誰のもの?」というテーマで書いてみます。

専業主婦です。夫から毎月、生活費として20万円をもらっています。
その中からやりくりして、毎月5万円を貯蓄してきました。
そのうち2万円を、子どもの将来のために、子どもが生まれた時に子どもの名前の通帳を作って、毎月預けていました。
そうして、30年が経ちました。

こんな設定で考えてみます。
この女性は、毎月5万円を貯蓄しています。
年間では、5万円×12か月=60万円 ですね。
これを30年ですから、総額では、60万×30年=1,800万円 の貯蓄をしました。

子ども名義の口座には、年間で、2万円×12か月=24万円。
30年で、24万円×30年=720万円 ということになります。
子どもが30歳で結婚や、家を建てようとするときの役に立てれば、という親心です。
来年、子どもに渡そうと思っていますが、この時点ではまだ渡していません。

この女性個人名義の口座には、1800万ー720万 = 1,080万円があります。

さて、このお金はそれぞれ、誰のものでしょうか?


普通の感覚で行くと、1,080万円は妻(女性)のもの。
720万は子どものもの。
となると思います。
少なくても、この女性は、そう思っています。

例えばの例で、年明け早々、縁起の悪い話で恐縮ではありますが、ここで旦那さんが亡くなってしまったとします。
旦那さんには、住宅と土地と預貯金があったとします。
例えば、土地1,500万。建物1,000万。預貯金1,000万があったとします。
旦那さんのトータルの遺産は、3,500万円です。
相続税には基礎控除額というものがあって、3,000万+600万×法定相続人の数 までが税金がかかりません。
3人家族ですので、3,000万+600万×3人=4,800万までは税金がかからないため、申告義務もないと判断して、何もしていませんでした。

しかし、税務署は違った見方をします。
ある日、お尋ねの手紙が届きます。
そこで、妻が貯蓄した1,800万は、亡くなった夫のものとなるということで、申告漏れを指摘されました。

税務署は、夫の財産は3,500万ではなく、1,800万を足した5,300万だというのです。
5,300万ー4,800万=500万が課税価格となり、これをもとに相続税を課するというのです。

どういうことでしょうか。

そのお金が誰のものなのかは、財産が形成された過程を見られます。
妻が専業主婦で収入を得ておらず、すべて夫の稼ぎから暮らしていた場合は、収入源はすべて夫になりますので、預貯金は妻名義でも、子ども名義でも、夫のものとして判断されてしまいます。

は? 意味わかんない!

それが、普通の人の感覚だと思いますが、そうなってしまいます。

こういったものを名義預金と呼びます。
名義と、本来の所有者が異なることを言います。

現実的には、必ずしもこのような判断がされるわけではありません。
夫から妻に対する贈与が成立していたと見られた場合には、夫の財産ではなく、妻の財産となる可能性もあります。
ですが、子ども名義の通帳に関しては、母親が通帳を作り、通帳と印鑑を母親が管理していて、子どもはその存在を知らないのだとしたら、完全に子どもの財産とは見てもらえません。
世の中のすべてのお母さんたち、要注意です。

とはいっても、うちの奥さんも、子ども手当が入る度に、子ども名義の通帳にせっせと移しています。
僕の話はあまり聞いてくれません(泣)。

あぁ、あと10分で今日が終わってしまいます。
早く保存しなければ。

こんな記事をさっと書いたのは、ちょうど、こういうことを税務署から言われる税務調査に立ち会っているからです。
何から何までが、名義預金扱いされると、さすがに腹が立ってきます。
でも、客観的な証拠を残しておかないと、なかなか立証が難しいのも現実なのです。
ちなみに、妻も働いていたケースは、少しややこしくなります。
夫の財産部分と、妻の財産部分を、どうやって区分するかというよくわからない線引きをめぐる争いになる可能性があります。

今日一日、僕は、ずっと、その線引きをどうするかで頭を悩ませていたのでした。

あ、あと5分。今日も続いた。

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