虫柱の季節
タイトルに虫柱と書きましたが、胡蝶しのぶの蟲柱ではありません。
蟲柱とは、漫画「鬼滅の刃」に登場する胡蝶しのぶの柱名である。
今日は、夕暮れ時に、こどもたち3人を連れて近所の公園まで出かけて行ったのですが、「きゃー虫!!」「うわー虫!!」と大騒ぎするほど、あっちこっちに小さな虫が飛んでいました。
電柱などの傍で、蚊の大群のように群れているあの虫です。
小さいときから馴染みのある虫ですが、名前を知りません。
いや、蚊が生まれたんだとばっかり思ってました。
「ねー、知ってる? あれって蚊じゃないんだよ。」と息子。
そうなの?
「うん。名前は忘れちゃったけど、あれは1匹を除いて全部雄で、1匹の雌を巡って争ってるところなんだよ。1匹だけが雌をゲットして、それが交尾して卵を産むんだよ」
初めて聞いた。でもさ、この時期に産卵するのっておかしくない? 普通は秋じゃん。生まれたばっかりのところなんだと思ってたんだけど、違うの?
「違うよ。友達でね、理科のことなら何でも知ってるやつがいるんだけど、そいつが言うから間違いないよ」
で、早速、家に帰ってから検索してみたのです。
その結果がこちら。
あの虫の群れのことを「蚊柱」というらしい。
それで、あの群れている蚊みたいなやつは、ユスリカというらしい。
幼虫の頃は、赤虫といって、魚の餌としても売られている。
蛹の時期も数時間から数日間。
成虫になって、空を羽ばたいても、雄たちは雌を呼び寄せるために協力して羽音を立てて群がるんだとか。
やってきた1匹の雌が1匹だけの雄を選ぶ。
そして、すぐに死んでしまう。
成虫の期間も数日間という短さ。
あの虫の群れは、春のこの時期に、セミよりも短い生涯を終えようとしているユスリカだった訳だ。
こういうことを知っている小学6年生。俺よりすごい。
今日も釣りに向かう途中、曇り気味な空をみて、雨降りそうだね、と言うと、
「違うよ。あれは雲じゃなくて、空だよ。空は青いよ。後ろには積乱雲があるけど、あれは雲じゃない。たぶん、遠くの霧だと思う。あっちの雲は、黒いから雨降りそうだけど、風は西から東に向かうから、あの雲はこっちには来ない。今向かっている海の方は西方向だから晴れてるよ。」と。
おぉ、そうなのか。すげーな、おまえ。
午前中は感心していたんだけれど、午後は妻に怒られている息子。
どうした?
なんでも理科の宿題の答えに、「?」と書いて怒らているようだ。
問題は、次の絵を見て、明日は晴れだと思う理由を書きなさい、というよくわからない問題。
こんなの大人でもわからなくね?
妻は、やる気がないんだと言って怒っている。
答えを見ると、模範解答もよくわからないことを書いている。
夕日の方向は晴れだから、晴れなのであれば、次の日は晴れだ、みたいなことが書いてある。意味が分からない。
まぁ、いいや。「まず、なんでもいいから思ったことを書けばいいんだから、なんか書いてみ?」 と言って書かせた。
息子は、嫌々、書き始める。
「風は西から東に吹く。」
おぉ。朝の会話じゃないか。
「風は西から東に吹くの?」
「そうだよ。だから晴れに決まってるのに、意味が分からない!」と怒っている。
「すげーじゃん、わかってんじゃん。それを言葉にすればいいんだって。“風は西から東に吹く”だけだと、この絵のことを言ってないじゃん。この絵がどの方向なのかとか書かないといけないんじゃないの?」
すると、「風は西から東に吹く。夕日は西に沈む。」と書く息子。
模範解答より良い答えな気がする。
いろんなことを知ってて、ちゃんと話せるんだから、あとはそれを文字にできればいいんだけどな。
何でも思ったことや感じたことをそのまま書ければいいんだけれどね。
言葉にして、自由に表現して遊ぶという経験がないんだろうね。
なんか、堅苦しい枠にはめられて、その見えない枠の中で、枠の通りに書かないといけないんだけれど、どう書いていいのかわからない、みたいな感じなんじゃないかと思ってみたりする。
俺なら、無理くり、自分の言葉を枠にはまっているかのように偽装して、それらしく見せていくんだけれどな。
いや、それにしても、この記事の結び方が難しい。
自由に書きすぎるとこうなる。
電柱に群がるあの虫についての話を書くつもりが、いつの間にか、作文の話になっている。
こういうときは、記事を2つに分ければいいのです、というのが簡単な答えなのかもしれないけれど、良いのです。テストじゃないんだから。
自由に、のびのびと。
ルールなんてもともとないんだから。
気にしない。気にしない。