ゲー選かけ流しvol.9 『百英雄伝 Rising』
ゲームの選評を気の向くままにチビチビとかけ流す、ぬるま湯スペース。
今回は『百英雄伝 Rising』。先日『百英雄伝』が発売され、選評を書く予定である事から、前日譚である本作についてもフォーカスを当てておきたいと思う。
<筆者の百英雄伝 Risingプレイ状況>
・Switch版でプレイ
・本編クリア+実績コンプリート完了
・プレイ時間:20時間以上
本編への期待が高まる個性的なキャラクター達
『百英雄伝 Rising』(以下、Rising)は下記の3名をメインとし、ニューネヴァーを舞台にストーリーが進行していく。
CJ:スカベンジャー(遺跡漁り)を生業とする一族の少女。「成人の儀」を成し遂げるためニューネヴァーを訪れた。
イーシャ:行方不明となった父に代わり、ニューネヴァーの町長代行となった少女。
ガルー:古代遺跡の宝を求める元傭兵の冒険者。金にがめつい所がある。
性格は三者三様。それぞれ欠点はあれど、人間的な魅力にあふれており、操作していて苦はない。また、3人がニューネヴァーで出会うサブキャラクター達もみなユニークで、一癖も二癖もある人物が多い。
いずれも百英雄伝での登場を控えているためか、ゲームの中に埋もれてしまわないよう個性付けをハッキリさせるための策であると思われる。『幻想水滸伝』もそうだが、数多くのキャラクターの人物像を細かく描き分けるというのは非常に手間暇がかかるし、キャラクターメイキングのセンスを問われる領域。
口で言うのは簡単でも、実際にはかなり難しい事をやってのけている。
可もなく不可もないアクション要素
本作はRPG『百英雄伝』の前日譚ではあるものの、ジャンルはアクションRPGの体裁を取っている。アクションゲームとしての面白さは、それなりと言ったところ。
とりわけ最序盤は、主人公CJができるアクションが少なすぎて、正直先行き不安に感じながらプレイしていた。
イーシャとガルーが参入し、攻撃や特殊アクションなどやれる事が増えてくると、右肩上がりに面白くなってくるものの、SwitchやPSで流行りのメトロイドヴァニア系アクションゲームと比較するとやや見劣りする感は否めない。
一方、昨今のアクションに良くある死に覚えゲーではなく、全体的な難易度はかなり抑えられている。(幸い筆者は一度もやられる事がなかった)
普段RPGをよく遊ぶプレイヤーでも楽しめるよう、意識的にハードルを下げたレベルデザインには好感が持てた。
お使いと素材集めの集合体
物語冒頭、ニューネヴァーの町長代行イーシャはCJに遺跡探索を許可するためのスタンプカードを渡す。
このスタンプカードは町民の様々な依頼を達成する事でスタンプを押してもらうシステムとなっており、これはすなわちメイン・サブクエストの達成を繰り返す流れを示唆している。
キャラクター達は人間味あふれる魅力に富んでいるが、ゲーム自体はお使いクエストの集合体となっている。また、お使いの内容は素材集めが多く、集めるべき素材は種類・量ともに幅広く、いわゆる素材ゲーとしてはゲームのボリュームと比較して重めの部類に入る。
他のゲーム等でも素材ゲーを遊んでいて食傷気味のプレイヤーには少々退屈に感じるかもしれない。
集めた素材は各種サブクエストの達成だけでなく、ニューネヴァーの各種施設を建設するための材料を兼ねているので、幻想水滸伝に代表される拠点ゲーの側面も持つ。百英雄伝の拠点システムの予習としての役割と思われる。
やり込みとしてはゲーム内実績がある。PSのトロフィーとXBOXの実績はこちらと連動しているので、ゲームを遊びつくすならこちらが最終的な目標になる。その場合においてもメイン・サブクエストのクリアは不可欠なので、遊んでいてお使いが気にならない人には実績コンプリートをおススメしたい。20~30時間もあればコンプリートできる事だろう。
まとめ
『百英雄伝 Rising』は、『百英雄伝』の前日譚として同作のストーリー・世界観を予めプレイヤーに知ってもらうためのデモとしての側面が強い。作品を通じて、百英雄伝のキャラクター・世界観の魅力の一端を感じ取ってもらおうという意図が見て取れる。
ユニークなキャラクター達との掛け合いを堪能しながらニューネヴァーが発展させてゆく、という本作の全体的なプレイフィールは良好。
記事執筆時点でPS+エクストラのサブスク範囲内で遊ぶ事もできるので、百英雄伝が気になっている人は遊んでみる事をオススメする。
本作を一言で表すならば、
『百英雄伝』というメインディッシュの魅力を引き出すために作られたオードブル
である。
本作の選評は以上。Risingの選評を踏まえ、vol.10は『百英雄伝』。
次回もよろしくお願いします。
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