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ゲー選かけ流しvol.17 『LIVE A LIVE(リメイク版)』(後編)
ゲームの選評を気の向くままにチビチビとかけ流す、ぬるま湯スペース。
前回に引き続き『LIVE A LIVE(リメイク版)』の後編。
前編では各シナリオについての魅力をまとめた。後編はRPGのバトルパートとリメイク版の特長に加え、筆者が本作を遊んだきっかけ・思い出についても語らせていただく。
戦略的バトルをお手軽に楽しめるRPG
本作はオムニバス形式ではあるものの、ベースはJRPGとして共通のバトルシステムを搭載。今見ても特徴的な仕様となっている。
バトルは行動順が回ってきたキャラから1人ずつ行動する形。同社(スクウェア)作品で言えば、『FINAL FANTASY TACTICS』や『FINAL FANTASY X』の原型と言えるかもしれない。
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立ち回りがキモ。
自キャラ・敵キャラ共にバトルフィールドの移動と行動を選択する形式で、戦略性がある。
もっとも、フィールドは一画面に収まる規模なのでシミュレーションRPGほど広大ではなく、一手ごとに緻密な立ち回りを要するものではない。
適度に頭を使いつつもラフに戦える本作のバトルシステムは、SFC後期のスクウェアらしい高い水準にまとまっている。
なお、リメイク版のバトルバランスは原作から大きなテコ入れは施されていない。SFC時代らしい骨太の難易度なので、ある程度レベリングしないとボス戦でボコボコにされる事も。
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実質SRPGとしての戦略性を問われる。
最大の欠点を克服したリメイク版
『LIVE A LIVE』リメイク版は、原作のゲームバランスやテイストを踏襲しつつ、全体的にリファインが施されている。その中でも、ひときわ目立つのはビジュアル面。
SFCの原作で最も損していると感じていたのはグラフィック。当時のスクウェアのソフトはSFCの性能をふんだんに活かした高精細なドット絵が最大の強み。『FINAL FANTASY VI』『クロノ・トリガー』など同時期に発売されたキラータイトルと比べてグラデーションに乏しいイメージ。(特に背景)
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スクウェアの他作品と比較すると厳しい印象。
<画像:公式HP(https://www.jp.square-enix.com/game/detail/livealive/)より>
キャラクターデザインに有名漫画家を起用した事情もあり、漫画・アニメ調の縁取りを施したグラフィックは意図したデザインなのかもしれない。当時の実態については推し図る事しかできないが、他のスクウェア発タイトルと比較した場合、相対的に見劣りしていたように思う。
一方、リメイク版は『オクトパストラベラー』で導入されて好評を博したHD-2Dグラフィックを採用。『聖剣伝説3 TRIALS of MANA』のようなフル3Dモデルのリメイクとは方向性が異なるものの、敵・味方共に色彩表現は豊か。平面的に見えていたバトルフィールドも奥行きを感じさせる美麗な背景に生まれ変わった。
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リングの全景に加え観客席までバッチリ見える。
正常進化のお手本のようなリメイク。
筆者から見て、『LIVE A LIVE』リメイク版は原作が抱えていた最大の弱点を完全に克服している。短所がなくなった今、後は長所を積み上げるだけ。
音楽はゲーム音楽界のビッグマム下村陽子氏によるセルフアレンジ。原曲のツボを押さえた良アレンジとなっており、原作サントラをひたすら聴き込んだファンも納得する曲群に仕上がっている。
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曲の魅力を理解しているからこその仕事っぷり。
ネタバレを避けるため詳細な明言は避けるが、最終編の最終局面でも「+α」がある。原作の脚本を損ねない範疇での追加要素であり、こちらも原作ファンの期待を裏切らない形でのリファインが嬉しい。
唯一評価が分かれるとすると、ご時世的にそのまま収録する事ができない名称などが一部改変されているところだろうか。
ただし、これはゲームそのものの世界観をぶち壊してしまうような、ウェイトの重い要素では決してない。この手の改変はこれまでも、これからもリメイク作品において必ず直面する問題であり、これらはユーザ側に徐々に理解を求めていく要素であろう。
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ゲーム性や脚本に影響ない範囲の改変は致し方ない。
全体としては、原作ファンの最大公約数を満足させられる正常進化に仕上がっている印象。筆者は良リメイクとして太鼓判を押したい。
出会いのきっかけ『勇者ああああ』
ゲームの評価とは少し離れるが、筆者が本作を遊ぶきっかけとなったテレビ番組について触れておきたい。
見出しの通り、筆者が『LIVE A LIVE』を遊ぼうと決心したのはテレビ東京の『勇者ああああ』というテレビ番組。(2017~2021年 現在は放送終了)
「ゲーム×芸人」という番宣で、ゲームを題材に芸人が様々な企画に体当たりで挑戦するという、ゲームを取り扱うテレビ番組としては極めて異色の番組だった。
そんな中、ゲーマー界隈で人気を博していたのはゲームプレゼン企画「ゲーマーの異常な愛情」。様々な芸人が、一押しのゲームについて熱くプレゼンするコーナーなのだが、そこでお笑い芸人ペンギンズのノブオ氏が初出演時にプレゼンしたのが『LIVE A LIVE』だった。
中世編で魔王城へと歩を進めるオルステッド達のストーリーラインを説明した後、
・そこから展開される「大どんでん返し」
・その大どんでん返しを含めた所までで、起承転結の「起」
という強烈に引き込まれるプレゼンが筆者の印象に残った。
同番組は放送後一週間ニコニコ動画で見逃し配信をしていたが、未プレイの人が興味津々にしているコメント、プレイ済み(と思われる)プレイヤーの「分かってるな」というニュアンスのコメントが乱舞する状況となっていた事を記憶している。
当時未プレイだった筆者はその後バーチャルコンソールで原作を遊び、中世編のシナリオに度肝を抜かれ、ノブオ氏のプレゼンに改めて感嘆。
以上が、筆者が本作を遊んだ経緯だ。
ペンギンズ ノブオ氏はお笑い番組でのチンピラキャラを封印してまで本作のプレゼン企画に臨み、大きな爪痕を残した。その後『勇者ああああ』のスポンサーでもあったスクウェア・エニックスの目にとまり、現在はゲーム関係の仕事を幅広く手掛けるなど、ゲーム業界での存在感を日に日に増している。
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『LIVE A LIVE』のリメイク版で声優を任される
日が来るとは思わなかったに違いない。
本作の出会いのきっかけとなった『勇者ああああ』は今でも復活を待望している一番好きなゲーム番組だし、愛あるプレゼンをしたノブオ氏にはこの場を借りてお礼を申し上げたい。
まとめ
『LIVE A LIVE』はスクウェアがヒット作を連発していた1990年代、大作に埋もれてしまった結果セールスが今一つ振るわなかった悲運のゲームである。
しかし、
・独創的なオムニバス形式の7つのシナリオ
・戦略性のあるユニークなバトルシステム
・強烈なインパクトを残す中世編のシナリオ
と、遊んだプレイヤーの記憶に残る完成度から、コアなファンを獲得した作品として今もなお存在感を放っている。製作者にもファンにも愛され続けている稀有な作品だ。
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原作を盛り上げ続けていた。その一途な愛が
リメイク版の未来へとつながった。
リメイク版はそんな原作の魅力をそのままにパッケージ。ファンの期待を裏切らない形での正常進化を遂げた。
30周年イヤーでDL版の割引セールもしばしば行われており、このタイミングで触れてみるのは非常に良い機会。未プレイの人は、是非チャンスを逃さないようにして欲しい。
本作を一言で言い表すならば、
傑作RPGの短所を克服し、長所を伸ばした渾身のリメイク作品
である。
原稿を書いている間に、近未来編に登場する「ブリキ大王」が『スパロボDD』に期間限定参戦するとのニュースが飛び込んできた。これは非常にめでたいニュース。
もし本記事が『LIVE A LIVE』30周年のお祝いムードの一助になるのであれば、筆者としてこれ以上嬉しい事はない。
本作の選評は以上。
次回もよろしくお願いします。