ゲー選かけ流しvol.10 『百英雄伝』(後編)
ゲームの選評を気の向くままにチビチビとかけ流す、ぬるま湯スペース。
今回の後編で『百英雄伝』は締め。
前編・中編でゲームの魅力について大いに語らせてもらったが、本作は問題点も決して少なくないゲームである。
今後アップデートで状況が変わるかもしれないし、それを強く期待しているものの、2024年5月時点の『百英雄伝』の現在地をしっかりと書き記しておきたい。
オススメできない「全力で推したいゲーム」
見出しからしておかしいが、筆者の偽らざる本音だ。
本作の選評には全て「#全力で推したいゲーム」 のタグをつけている。これは筆者が冗談抜きに本作を気に入っており、一人でも多くの人に遊んでもらいたいゲームである事による。
しかし、プレイアビリティの面で問題があまりにも多すぎておススメできないという現状を鑑みた結果が上記の見出しなのである。
特にオススメしにくいのは筆者が遊んだSwitch版。
・PS5/XBOX版と比較してロード時間が非常に長い
⇒戦闘、マップ切り替え、メニューなどで顕著
・フリーズする事がある
⇒マップ切り替え、イベントのロード時に発生
・エラー終了する事がある
⇒マップ切り替え時に発生
筆者はSwitchの初期版でプレイした。新型Switchの状況は知りえないが、通常版Switchの場合、戦闘開始前ロードは数秒間かかる状態で、初代PlayStationのRPGを遊んでいるかのようだった。ここ数年間遊んだゲームの中では突出してロードで待たされるゲームである。
フリーズとエラー終了についてもしばしば発生した。
セーブ画面で表示される筆者のプレイ時間は54時間程度なのだが、Switch(My Nintendo)で本作のプレイ時間を確認すると60時間以上とある。
これは、少なくとも6時間以上、フリーズやエラー終了によって筆者が遊んでいた時間が吹っ飛んだという事を意味する。(繰り返しロードを駆使した局面も一部あるが、全体と比較すると十分に短い時間である)
テレポート能力を持つ英雄が「失敗は今までありません 安心していいです」とのたまった後でテレポート⇒エラー終了した時は「ギャグかな?」と思った。
少なくとも24年5月時点において、Switch版で本作を遊ぶ事はオススメしない。PS5/XBOX版でロード時間に関する大きな問題は無さそうで、本作に興味を持った人にはPS5/XBOX版で遊ぶ事を強く強くオススメする。これはSwitch版をクリアまで遊んだ筆者からの率直な意見である。
クリティカルなバグと、バグ改修に対する姿勢の問題
本作は発売日からアップデートが行われており、バグ改修が現在も段階的に行われている。それ自体は良い事だが、バグの内容に深刻なものが多く、本作の評判を大きく損なう事態となっている。
<『百英雄伝』で発生した不具合の一部>
・セーブデータに問題が発生する可能性がある(改修済み)
⇒クラファン支援者向けに先行リリースした製品/DL版が発売日まで遊べないという事態
・特定の英雄の仲間が加入できなくなる問題(改修済み)
⇒不具合発生前のセーブデータが無いと次周まで加入しない状態
・特定の英雄が仲間に加入する条件に期間制限がある(※未改修)
⇒周回引継ぎしても仲間にならない状況に陥る
・料理勝負の審査員採点ロジックに誤りがある(改修済み)
⇒不当に低い採点結果になる事がある
目立つものだけ列挙したが、あっちゃ~と頭を抱えたくなる不具合である。
筆者のバグに対するスタンスは、
・フリーズやエラー終了等、進行不能系バグは論外
・その他のバグは、プレイヤー側で回避する手段があるかどうかで判断
である。
一方、百英雄伝の公式Xアカウントは、バグの告知とバグ改修に対する報告こそあれど、肝心のバグを回避するための情報は一切公開されず、バグの回避方法に関してはプレイヤー有志のプレイレポートによる解析に委ねられるという結果になった。
製作側からすると「ゲームのネタバレにも関わる問題なので伏せたかった」とか「バグの条件が完全に特定できない状態で不正確な条件を告知して混乱を招きたくなかった」とか、先方なりの事情があったのではないかと推察する。
ただし、それを勘定に入れたとしても、これだけ致命的なバグが多発している中での情報提供の不十分さと遅さについては誠意が足りないと言わざるを得ない。これも筆者が本作を推しづらい大きな一因となっている。
それでも筆者が『百英雄伝』を本気で愛せる理由
現時点で本作が抱える問題点は上記の通り枚挙に暇がないのだが、このゲームは紛れもなく『幻想水滸伝』の「精神的続編」として評される魅力に満ち溢れた作品である。
筆者はフリーズやエラー終了の類のバグは心底嫌いだし、そういうゲームには一貫して低い評価を下してきた。
そんな筆者が、これだけ身も蓋もないバグが山積している本作をクリアした直後の感想は「最高」だった。こんな気持ち、初めて。
それは、本作が世に出る直前に旅立ってしまった村山氏が手掛けた幻想水滸伝の遺伝子をもっとも濃く継いでいる作品であるからに他ならない。
村山氏が制作現場から離れた後も幻想水滸伝はシリーズとして存続していたが、初期の作風やテイストからは徐々に離れつつあり、ナンバリングシリーズ最大の謎であった「真の紋章」についての全貌は遂に明かされる事はなかった。
その後も『ティアクライス』『紡がれし百年の時』と作品がリリースされたが、世界観や設定がナンバリングシリーズからは完全にかけ離れていた。作品単体の評価はともかく、ナンバリングシリーズのファンからすると満足のいく内容ではなかったのだろう。セールス・評価ともに芳しく無く、シリーズの未来は閉ざされてしまった、というのが現状である。
誤解を恐れず言えば、『百英雄伝』はIV以降の後期幻想水滸伝よりも遥かに幻想水滸伝のパーソナリティとオリジナリティを体現している存在である。
バリエーションに富み過ぎている個性豊かな英雄。
ユーモラスな協力攻撃が炸裂するノリとテンポのある戦闘。
少しずつ確実に発展していく本拠地。
小粒ながら力が入っているミニゲーム。
権謀術数が入り乱れる戦記モノのストーリー。
集結した仲間の数によって分岐する終盤のストーリー分岐。
…等々。
少なくとも筆者が幻想水滸伝の(精神的)続編という作品に求めていた要素は全て本作に詰め込まれていた。それだけで、『百英雄伝』の初報から発売日まで待ち続けた甲斐があったと言い切れるし、本作を心底愛おしいと思えるのである。
おわりに
冒頭でも書いた通り、少なくともSwitch版はオススメできない『百英雄伝』ではあるが、筆者はこれからも全力で推し続けたい。
もしもこの選評で興味を持ったプレイヤーさんが居るならば、一通りのバグが修正され、安定版になってからでも良いので触れてみて欲しいと願っている。もちろんPS5/XBOXがあるのならそちらを遊ぶのもアリだ。
このゲームを一言で表すならば、
「紛れもなく問題児だが、紛れもなく愛し続けられる『幻想水滸伝』の末裔」
である。
本作の選評を、村山吉隆氏への心ばかりの手向けとさせて頂きたい。
また、製作スタッフさんには継続的にバージョンアップをお願いしたい。
筆者と『百英雄伝』を引き合わせてくれた全てのスタッフと、クラウドファンディングを通して支援してくれた全てのバッカーに感謝。
3回に分けて書いた選評は以上。今後も『百英雄伝』は見守り続ける所存。
次は選評以外の軽いネタにする予定。
次回もよろしくお願いします。