ゲー選かけ流しvol.6 『ゲームセンターCX 有野の挑戦状1+2 REPLAY』(前編)
ゲームの選評を気の向くままにチビチビとかけ流す、ぬるま湯スペース。
今回は『ゲームセンターCX 有野の挑戦状1+2 REPLAY』。
ニンテンドーDS時代の名作が、1+2(+α)のカップリングとなってNintendo Switchに帰ってきた。
今回は『ゲームセンターCX 有野の挑戦状』(以後、有野の挑戦状)のゲームインゲーム8本についての選評をまとめる。なお、ゲーム本編の「挑戦」についてのコメントは控えめにし、ゲームインゲームのそれぞれの作品についての魅力を語る場としたい。
<ゲームセンターCX 有野の挑戦状プレイ歴>
・ゲームセンターCX(DS)は本編クリア済み、やりこみも一通り完了
・ゲームセンターCX(Switch)は本編クリア済み。やり込みはこれから
コズミックゲート
ナムコの『ギャラクシアン』シリーズをモチーフとした固定画面縦シューティング。編隊を組みながら飛来する姿はギャラガに近く、パワーアップに貫通弾が付く仕様はギャプラスに近い。
全64面の長丁場ではあるものの、ファミコンのギャラクシアンシリーズと比べて難易度は抑えられていて、アステロイドエリアでボーナスや1UPアイテムを狙ったり、ワープで適宜ステージをショートカットしたりと、現代風で遊びやすいアレンジが利いている。
『有野の挑戦状』全般に言える事だが、80年代のビデオゲーム黎明期を追体験するためのエッセンスを大事にしながら、プレイアビリティは現代向けに寄せている配慮が嬉しい。
ゲームにしても、元ネタを匂わせつつも、ゲームインゲームならではのオリジナリティを出す差別化要素を入れる事で、新鮮な驚きと楽しさを提供する事に成功している。これは以後のゲームインゲームに共通した特長である。
からくり忍者ハグルマン
「80年代当時、爆発的なヒットをかっさらった名作アクションゲーム」という設定、踏みつけて敵を倒す仕様はスーパーマリオを意識したと思われる『ハグルマン』。一方、ステージや敵の構成といった基本のゲーム性は『忍者じゃじゃ丸くん』に近い。ステージ開始時のボスキャラのアイキャッチも同様。
敵を踏みつけて気絶させてから手裏剣で倒す『忍者じゃじゃ丸くん』に対し、手裏剣で敵を気絶させてから踏みつけて倒すハグルマン。
扉の開閉の攻撃判定を利用して敵を倒す手段もあるので、遊びやすさに配慮した仕掛けもある。
ラリーキング
2D見下ろしタイプのレースゲーム。コース上に水たまりがある辺り、ファミコン時代のレースゲームを思い出させる作りではあるものの、激突即爆発のようなシビアさは抑えられている。
スタート時のロケットスタート、カーブでドリフトからのブーストダッシュといった、現代のレースゲームにも踏襲されているシステムもしっかりと盛り込まれているため、本作も現代寄りのプレイフィールで遊ぶ事ができる。
スタープリンス
いわゆるキャラバンシュー。名人と呼ばれる人物を巻き込んだ熱狂とムーブメントを彷彿させるシューティング。80年代中期のシューティングのトレンドは、非常に大量にある破壊可能オブジェクト、各種隠しボーナス、連射命なゲーム性、これらのそれぞれが絶妙に噛み合っているところ。
スタープリンスはキャラバンシューの代表作『スターソルジャー』を強く意識した作りになっており、隠しボーナスを探しながら敵とオブジェクトをひたすらに破壊する、「撃つ」快感をしっかり味わう事ができる作りになっている。ストーリーが進むと連射装置も使う事ができるので、手動連射が苦手な人も安心。
からくり忍者ハルグマン2
『スーパーマリオブラザーズ』に対する『スーパーマリオブラザーズ2』のような、いわゆる高難易度化した続編タイトル。ハグルマンの基本ルールはそのままに、ステージがスケールアップ。全体的に歯ごたえが増した。
ハグルマン側は巻物を3本集めた後、任意のタイミングで発動できるようになり、ささやかながら扱いやすくなっている。難易度が高いぶん、やり込み甲斐のあるゲームではあるので、オンラインランキングがないのが悔やまれるところ。
ラリーキングSP
『帰ってきたスーパーマリオブラザーズ』や、アルキメンデス版『グラディウス』のような、企業体コラボ作品。当時ゲームマニア内で注目を集めた、こういったコラボゲームにもフォーカスする辺り、80年代という時代を一本のゲームにパッケージングしようという制作者の気概を感じる。
ゲーム性自体はラリーキングとほぼコンパチで、ステージ間にCMがはさまるのも当時のゲームならでは。ゲーム性よりも、当時のスペシャルソフトを取り巻くレアリティにフォーカスした作品ではあるものの、ラリーキング自体の出来が良いので、楽しく遊べる事に変わりはない。
ガディアクエスト
ゲームインゲームの中でも筆者一押しのRPG。延期に延期を重ねているという設定が『ドラゴンクエスト』を示唆していたりする。
3人パーティのファミコンRPGをモチーフとしていて、敵の強さも歯ごたえがある。油断するとコロッと味方がやられたりするので、バトルには緊張感がある。店で購入できる武具も高値なので、しっかり戦闘を積まないと次の装備品を手に入れる事すらままならない。
一方で、回復を中心とする魔法の消費量が抑えられていたり、レベルアップ時のステータスアップが堅調に推移するので、ダンジョンの回復ポイントなどを適切に利用すればファミコンRPGよりも攻略しやすい作りになっているのが嬉しく、楽しい。
一部敵キャラは契約する事で味方になってくれるが、契約するにはパワーアップした敵キャラを打ち負かす必要があり、かなり歯ごたえがある。仲間にすれば戦闘中にサポートしてくれるので、厳しい戦闘を乗り切るには欠かせない存在。
RPGの難しさと面白さを濃縮したようなゲーム性なので、本編自体のボリュームはそこまでではないにも関わらず、RPGを一本遊んだ!という満足感が確かにある。『有野の挑戦状』本編のチャレンジで遊べる範囲は短いが、「やりこみ」モードでクリアまで遊ぶ事を強くおススメしたい名作。
からくり忍者ハルグマン3
歴史的大ヒットを飛ばした1、正常進化ながら高難易度化した2から打って変わって、ゲーム性から何から大きく変化したハグルマン3。見た目は『忍者龍剣伝』のようでもあり、探索要素がある点は『悪魔城ドラキュラ』のようでもある。
踏みつけて敵を倒していたかつてのハグルマンも、等身が上がった本作では手裏剣と斬撃で遠近両用の立ち回りができるようになった。とは言え、ボスはかなり手強いので、しっかりステージを探索し、パワーアップを図らないと苦戦は必至。
本編の最後に控える作品だけあり、しっかりとしたボリュームや歯ごたえのある難易度、ギアによるカスタマイズ要素が楽しい作品。
おわりに
テレビ番組と連動したゲームとしては一、二を争う傑作と言っても過言ではない作品。どの作品も高い水準で作り込まれていて、80年代のゲームシーンはこんな感じだったという事をプレイヤーに示せるだけの強い説得力を持っている。
本編の挑戦はあくまでもゲームインゲームの序盤から中盤までを遊ぶと達成できるものばかり。その後は「やりこみ」でゲームクリアまで遊びこむ事ができるようになる。本編クリア後もやり込めるようになっている作りも面白い。
DS時代にプレイ済みのプレイヤーはもちろん、ご新規さんにも強くお勧めしたい作品。温故知新を体現したかのような本作の魅力を隅々まで味わってもらいたいと思う。
『ゲームセンターCX』の選評はここまで。『ゲームセンターCX2』の選評はクリア次第記事にする予定。
次回もよろしくお願いします。
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