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ACID ACID EP 解説 その1 Mitaka Sound とVOCALOOP または セカンド・サマー・オブ・ラブ と メイカームーブメントの邂逅

前回 Maltine Records からリリースした楽曲「LISTEN, YOU PENCIL NECK GEEKS」では、マインスイーパーをクリアーしないと楽曲が聴けないという仕組みで、結果的に平成生まれをバッサリ足切りするという、暴挙に出てしまいました。

そして今回はテクノアーティストである Mitaka Sound の楽曲をコバルト爆弾αΩがプロデュースという変則な形でリリース、しかも、話題のブロックチェーンで開発・コンサルを営むBlockBaseさんの大変なるご協力で、原盤権等をEthereum上のトークンとして管理できる!?もちろんジャケットはお馴染みNC帝國と、情報量詰め込みすぎでユーザーに分からせるつもりもない、まるで近年のジャン=リュック・ゴダール監督をリスペクトするような企画になってしまいました。普段であれば理解されなくても別に良いやとマイペースな我々ですが、今回は流石に解説でもしないと意味が分からない&協力頂いた方々にも失礼に当たると思い筆を取りました。

まず今回の記事では、なぜ我々がMitaka Soundの楽曲をフォーカスする形でリリースを行う事になったかを説明したいと思います。

Mitaka Soundとの出会い

そもそも我々コバルト爆弾αΩとMitaka Sound(というかテクノポップユニット三鷹)との出会いから10年以上経ちます。はじめはAbleton Liveという作曲ソフトウェアを使っているアーティストを特集したイベントに、一緒に出演したことから交流が始まりました。その後、コバルトメンバーが主催するイベントに出て頂いたり、音源のRemixをさせて頂いたり、ハードウェア楽器の情報を教えて貰ったり、「リズと青い鳥」上映時にたまたま同じ劇場で観ており、そのままルノアールで吉田玲子脚本と山田尚子監督を独立した対象として語り合ったり、付かず離れずな仲(というか先輩)でした。

Mitaka Sound と VOCALOOP 

話しは変わりますが、コバルトのメンバーであるαこと私 mirrorboy は友人たちと一緒にVOCALOOPという電子楽器をつくりました。eVY1というヤマハ製のVOCALOIDのエンジンを組み込んだループシーケンサーといった白モノです。繰り返し歌わせる事でVOCALOIDから人間性を剥奪する楽器という事で、誰得なコンセプトではあります。

当時はメイカームーブメントが盛り上がりつつある時期で、楽器は限定15台で定価 1台7万円ほどしたのですが、販売店のGIZMO-MUSICさんの協力もあり、なんとか売り切る事ができました。やった!(あっ、でも売上は原価へと消えていきました・・・Hardware is hard.)

赤字にならなかったと安堵していると、なんと昔のよしみでか Mitaka Soundのタカハシさんが自腹で購入してくださったとの報が入りました。これにはちょっと舞い上がって、せっかくなので思い出動画をつくる事にしました。

Mitaka Soundのお二人にも出演頂き、後々鍵になるTB-303と絡めたVOCALOOPの魅力を語って頂くという事をしました。(前半ではデモ曲をつくっていただいた、当時メジャーデビュー前のTORIENAさんにも出演頂いています。)

その後、特に反響もあまり無く、(たかだか15台くらいだし・・・例えばKORG社のVolcaを裏返して生産台数を見てみよう。)なんとなくVOCALOOPはコレで終わりかなと途方に暮れていたのですが・・・

Mitaka Soundが時々VOCALOOPを使った動画をSNSにアップしてくれたんですね。なんとなく励まされて是非これを「何か形に残したい」と思いました。インタビュー中でも答えて頂いてるのですが TB-303 × VOCALOOP という組み合わせはディストーションを掛けたら相性がいいという事だったので、音楽的にも新しい可能性があるかもと思い楽曲制作を依頼しました。

といった訳で制作して頂いたのが ACID ACID EP の表題曲 Mitaka Sound の ACID ACID になります。

人間性を排除した歌声を適当にループさせるというスタイルはまるでゲットーハウス ある意味VOCALOID本来の使い方としては間違っています。

でも間違ってはいないのです。

この楽曲では表題の通りアシッドサウンド、Roland社のTB-303と組み合わさっています。ハウス・テクノ好きならご存知の(元々は生ベースとしてつくられに全く人気が出なかったが後年そのビヨビヨサウンドがクラブ音楽で評価された)ベースマシンですね。

日本製ハードウェア楽器、間違った使い方同士、セカンド・サマー・オブ・ラブメイカームーブメントの邂逅。このコンテキストは昭和生まれのおっさんにしか伝わらないかもしれない・・・おわかりいただけたであろうか?

この楽曲をどうにかリリースしたい!!我々には楽曲をリリースするツテはMaltine Recordsしかありません。カップリングやジャケットはどうしようとか色々問題は山積みでした。しかも、楽曲制作をメインに活動をしていないコバルト爆弾αΩにとっては、tomad社長のリリースハードルはそこそこ高いので、マインスイーパーのように何かもう一捻り考える必要がありました。

そして、当時世間を騒がせていたBitcoin と出会うのであった・・・。

つづく

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