矛盾2

結婚が持つ、美しい矛盾

週末、妻と二人で過ごした。

桜を見たり、買い物をしたり、カフェでぼんやりしたりした。

そんな中、妻がポツリと呟いた。

「あなたと結婚してよかった」

僕も、同じことを考えていた。

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結婚は素晴らしいものだと思う。

ガラクタが宝物に変わる。毎日に、キラキラした光が溢れ出す。

しかし、である。

こんなに素晴らしいものなのに、僕らはたいてい、人生で一度しか結婚を経験することができない。

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もちろん、離婚すれば、結婚を複数回、経験することもあるだろう。

逆に、一度も結婚することがないまま、生涯を終える人もいるだろう。

でも、僕たちは基本的に、「一人の人と、一度だけ結婚する」という価値観のもとに生きている。

こんなに素晴らしい結婚を、一度しか体験できない。そういう矛盾を抱えた世界だ。

この矛盾を、僕たちはどう解釈したらいいのだろう?

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実は、こうした矛盾は、結婚に限った話ではない。

そもそも、「人生」自体がそういう設計になっている。

山あり谷あり、時には絶望と出くわすこともあるけれど、それも含めて人生は素晴らしい。

しかし、この素晴らしい人生も、僕たちは一度しか経験できない。

死ねば、すべて終わりだ。

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では、逆に考えてみよう。

つまり、一度しかできないから、それを素晴らしいのだと感じられる。

人生をともに過ごす、たったひとりを選択すること。

それが一致した時の感動。

ありふれた自分にも与えられる、運命。

僕らは、この素晴らしい結婚を、一度しか経験することができない。

しかし、たった一度だからこそ、それを美しいと感じられる。

この矛盾は、計算し尽くされた黄金比なのだ。

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週末に見た桜は、まだ綺麗に咲いていた。

あと一週間もすれば、それも散ってしまうのだろう。

しかし、決して悲しくはない。

散ってしまう桜は、だから、僕らがそれを美しいと感じる理由になる。

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