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ジャンクフードと年輪

会社員として働いていた頃から、僕はずっと「役に立たないこと」に対して魅力を感じていた。

小説を読んだり、映画を見たり、旅に行ったり、そういうことだ。

逆に、すぐに役に立つことに対しては、あまり魅力を感じなかった。

でも、そのように感じるのがなぜなのか、自分でもよく理由はわからなかった。

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もちろん、ハウツー本であったり、流行のビジネス書であったり、そういうすぐに役に立つ書籍を読むこともあった。

そして、そういう書籍を読むことで、一定程度の満足感を得ていることも事実だった。

しかしもう片方で、なんとなく時間を浪費しているかのような感覚があった。

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次第に、

すぐに役に立つことは、ジャンクフードに近いのかもしれない

そう思うようになった。

すなわちそれによって、即効性のある知識を、手っ取り早く摂取できる。それを読む前と後では、自分に「明確な」変化が生じる。

しかしそれは、見せかけのエネルギーであって、人間として深みが増すわけではないのだ。

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一方、「一見すると役に立たないこと」は、長期的にいい影響をもたらしてくれる。

それは、ジワジワと僕らの心を温める。

時に、人との繋がりをもたらしてくれる。あるいは、時に、僕らをどん底から救い出してくれる。

そしてそれが、人間としての深みとなっていくのではないか。

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大きな一本の木を見て、僕らは言葉にできないエネルギーを感じる。

何がそれを感じさせるのだろう?僕たちは、大きな一本の木に、何を見ているのだろう?

それの内部には、幾重にも「年輪」が連なっている。

その「年輪」から、僕たちはパワーをもらっているのだ。

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見かけだけ綺麗なスカスカの人間より、ちょっぴり不器用でも内部に美しい年輪がある、そんな人に僕は憧れている。

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最近、星を眺めるのが好きだ。星に関する本も買ってしまった。

シリウス、カノープス、ベテルギウス。

そんなよくわからない言葉の羅列を、僕はまた愛そうとしている。

何の役に立つのかはわからない。しかしそれでも、それがまたいつの日か、僕の年輪になっていくのだと思う。

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コボ・コボボ
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