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更新講習とは何か(私見)

-弊校には、「国家資格キャリアコンサルタント」の登録を継続するのに必要な、魅力的な厚生労働大臣指定の更新講習があります-

前回は「養成講習」についてご説明いたしました。今度は「更新講習」について卑見を述べたいと思います。さて職業能力開発促進法では、合格者がキャリアコンサルタント名簿に所定事項の登録を受けることにより、キャリアコンサルタントになることができるとあります(同法第30条の19)。そして厚労省(以下、国という)のHPには、次のように記されてあります。

「キャリアコンサルタントの登録を継続するためには、更新講習を更新期間内に一定時間数以上受講の上、更新を行う必要があります。/これは、キャリアコンサルタントについて、試験合格時に確認した知識・技能を継続的な学習によりブラッシュアップしていることを制度として確保し、キャリアコンサルタントの資質を保証することによって、キャリアコンサルタントの活用を推進していくことを企図しているものです。/更新講習は、知識の維持を図るための講習(知識講習)と技能の維持を図るための講習(技能講習)から構成されています」

要はキャリアコンサルタントとして登録後、原則として5年ごとに一定時間の「知識講習」ならびに「技能講習」をそれぞれ受講せねばならないということです(費用は自弁。職業能力開発促進法施行規則第48条の17第1項第1号及び第2号)。もし受けなければ、その効力は失われます(同第30条の19)※ その目的は、上述にあるように「試験合格時に確認した知識・技能を継続的な学習によりブラッシュアップしていることを制度として確保し、キャリアコンサルタントの資質を保証することによって、キャリアコンサルタントの活用を促進していくこと」にあります。

※国家試験に合格済であり、「キャリアコンサルタントとなる資格」自体は消滅しない、と解されます。

したがって、その主な対象は国家資格者たる「キャリアコンサルタント」であり、当然ながらその内容はより高度なものになります。その点が、初学者対象の「養成講習」との違いです。しかも更新講習では、それを実施する私ども実施機関もどのような目的があり、かつ講習や演習、習得度確認試験でどのような知識や技能が身につくのかにつき、具体的に明らかにせねばなりません。

そこで国は、先に行われたわれわれ「実施機関向け説明会」で、養成講習と同様に「キャリアコンサルタント更新講習指定申請等要領(令和6年度最新版)」を精読するように求めました。そこには、国が更新講習を指定する際の基準(更新講習省令第2条第1項)として、10項目の[更新講習指定基準]が定められています。したがって、養成講習での[養成講習認定基準]同様に、更新講習指定申請の場合もそれに適合することが絶対要件になります。

とくに印象的だったのは、次の三つです。第一に、同指定基準に基づいた講習を実施するための実施機関としての要件で、国の指導及び助言に適切に協力し、従うものであることをあらためて念押ししたことです。第二に、使用する教材につき「キャリア形成支援上の有用性の評価が一般的に確立されているものと解される理論及び技法」、すなわち内容的に一般的に取り扱われているものであることを求めたことです。第三に、具体的な進め方や解説内容等を明示した「手順書」の作成を必須としたことです。つまり、そこに個々の講師による裁量を許容しないとの国の意図が明確に見て取れます。要は先に例示した義務教育における学習指導要領の如きものとして(認定・指定)基準を遵守せよというものだと思われます。

このように国は、受講生や国家資格者の自己研鑽のみならず、私たち講習実施機関に対しても厳しい指導と監督を実施しています。それはなにより、登録者が7万5千人超にもなったと聞くキャリアコンサルタントの質の向上のためにほかなりません。「個人は教育投資による便益と費用を勘案して投資量を決定する」と申します。費用は授業料と受講期間の放棄所得(機会費用)、精神的な費用を含みます。私たちははたして、それらに値するものをみなさまにご提供できているでしょうか。


著者プロフィール

オイカワ ショウヨウ 『地域連携プラットフォーム』に勤務の傍ら、某大学の研究所に所属。 複数の国家資格を有し、また『府省共通研究開発管理システム(e-Rad)』に登録され、研究者番号を有する研究者でもある