オクラの物語
ひっそりと生まれたオクラの品種には、次のようなものがあります。
真っ赤オクラ
細長オクラ
土オクラ
〜真っ赤オクラのエピソード〜
辛いものが大好きで、世界中の辛いものを食べ尽くしている男がいた。
男には、辛いものの他にもう一つ、好きな食べ物があった。
オクラだ。
オクラが辛くなればいいのに、そう思わない日はなかった。
男はひたすら、オクラの苗に、水の代わりの唐辛子水を与え、肥料の代わりにキムチを混ぜ込み続けた。
やがて苗は大きくなり、真っ赤なオクラの実をたわわにつけた。
男はとても喜び、それを口にした。
それは甘かった。
ただただ甘かった。
もはや舌が震えるほど甘かった。
ただ、ある意味、辛いとは違った「刺激」を堪能できて、男はとても満足したという。
〜細長オクラのエピソード〜
オクラに巻かれたいという願望を持つだけのただの女は、ひたすらオクラを伸ばし続けた。
それだけ。
〜土オクラのエピソード〜
仕事でうまくいかない時は、土を食べるといいっていうわよ。
通りすがりの女にそう言われて、食べようとしたが無理だった。
だからせめて、好物のオクラが土でできていれば。
女を信じた男は、土オクラの栽培に明け暮れた。
だが、そのおかげで数日間の疲れが取れ、結果的に男の仕事はうまくいくようになったのである。
ちなみに、その女、オクラに巻かれたいと言う願望を持つただの女。
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