ちょうどいい光
ここは、ひかりげ王国。
光が当たっている明るい世界と、光の当たらない暗い世界。
その二つが共存している世界で、住民たちは暮らしているのです。
でも、実は、暗いところと明るいところ、その境目の、ほんの少しの灰色のところに、小さな小さな王国が存在しているのです。
ふらりろ王国、その世界の住民たちはそう呼びます。
まるで、イタリアの中にあるバチカン市国のようだと、ひかりげ王国の住民は言うのです。
ふらりろ王国は、ある意味、とても暮らしやすい国です。
明るすぎるところでは、一年中目を開けていられません。
というより、開くことのない目は退化し、そもそも砂粒のような目しかついていないのです。
その逆もまたしかり。
暗いところは、暗すぎて目を開ける機会がないので、結局、目は退化します。
ふらりろ王国は、ちょうどいい光の度合いなので、目は大いに機能します。
結局、ひかりげ王国の者たちは、目が使えるふらりろ王国の住民に嫉妬しているのです。