現実

この世界を、全て鏡に映したら、どうなるだろうか。

きっと、鏡に映った人間は、みんな、一本の錆びた金属棒なんだ。
それで、ビルは干し柿のようにからからにしおれ、電柱はまるまる太って、その重みで地球は中心から壊れていくかもしれない。

そして、道端を歩く痩せほそった野良犬は、一つのがびょうになって、硬いコンクリートに突き刺さる。

毛の長い家猫は、しめじにでもなって、家中に胞子を撒き散らすに違いない。

気がつくと、周りには、ただ、干し柿のような建造物があった。