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「わかったつもり」は脳の機能!? 〜脳の機能を理解してうまく付き合うコツ〜
日々生活していると何かの情報が入ってきたとき、瞬時に「それは知っている」と感じることってありますよね。これは脳のRAS(Reticular Activating System:網様体賦活系)の働きなんです。この脳の働きを知って、自分の脳と正しく付き合いましょう。というのが今日のお話です。
RAS(Reticular Activating System:網様体賦活系)は、脳の一部であり、私たちが意識的に注意を向ける情報を選択するフィルターの役割を担っています。日常生活で膨大な情報が飛び交っている中、脳はすべてを処理するのは難しいため、重要だと感じたものにだけ意識を集中させるのです。例えば、新しい車を買おうと考えたとき、突然その車種が街中で目につくようになる、という現象はRASの働きによるものです。
しかし、RASが「わかったつもり」になってしまうと、脳は新しい情報を無視し、自分にとってすでに「正しい」と思っている情報だけを集めようとするため、自己成長や学びのチャンスを逃してしまうことがあります。そこで、RASの機能を正しく理解し、それをうまく活用して脳と上手に付き合うコツを紹介します。
1. RASの役割と機能
RASは、脳幹の一部に位置し、私たちが何に注意を向け、何を無視するかを決定するフィルターのような役割を果たしています。このフィルター機能により、私たちの意識に上がる情報が制限されるため、RASが「これが重要だ」と判断した情報だけが意識に上がり、その他の情報は背景に溶け込んでしまいます。
例:
新しい趣味や興味を持ち始めると、その関連情報が急に目に入るようになる(これまで気づかなかった情報に意識が向く)。
大事な目標やプロジェクトに集中していると、他のことが意識に入ってこなくなり、集中力が増す。
RASのフィルターが適切に働くことで、私たちは目標に向かって効率的に行動できるようになります。しかし、このフィルターが偏ってしまうと、「自分はすでにすべてを知っている」と思い込み、新しい知識や視点を取り入れることが難しくなる場合もあります。
2. 「わかったつもり」になる理由とリスク
RASが「わかったつもり」にさせるのは、脳が効率的に働こうとするためです。脳はエネルギーを節約し、過剰な情報処理を避けるために、既存の知識やパターンに基づいて物事を判断する傾向があります。しかし、このプロセスにはいくつかのリスクが伴います。
リスク:
学びの機会を逃す:新しい情報や視点に気づかず、成長が停滞することがあります。たとえば、仕事やプライベートで新しいアイデアを取り入れられなくなる。
偏見や固定観念を強化する:RASは自分の信じていることを裏付ける情報を優先して意識に上げるため、既存の信念や思い込みが強化されやすくなります。これにより、新しい視点を受け入れる柔軟性が低下します。
過信による失敗:「自分はこれについて十分理解している」と思い込んでしまい、慎重な判断を怠ることで、間違った選択や行動を取ってしまうことがあります。
3. RASを正しく理解して付き合うためのコツ
(1) 意識的に新しい視点を取り入れる
RASは自動的にフィルタリングを行いますが、意識的に新しい視点や情報を取り入れることで、このフィルターを広げることができます。自分の知識や経験だけに頼らず、常に新しいアイデアや異なる考え方に目を向ける姿勢を持つことが大切です。
実践例:
自分の意見と異なる視点の本や記事を読む。
自分とは違う専門分野の人と話し、異なる視点を聞く。
日常的な習慣やルーチンを変え、新しい環境に身を置く。
(2) 質問を活用する
RASに新しい指示を与えるためには、適切な質問を自分に投げかけることが有効です。たとえば、「これはどうやって改善できるか?」や「他にどんな可能性があるだろう?」といった質問は、RASに新しい情報を探すよう促します。これにより、脳は今まで見落としていた重要な情報を意識の中に浮上させます。
実践例:
「自分がまだ知らない重要なことは何だろう?」
「この問題には他にどんな解決策が考えられるか?」
「自分が思い込んでいるだけの部分はないか?」
(3) 意図的にポジティブな目標を設定する
RASは目標に関連する情報に敏感です。具体的でポジティブな目標を設定することで、RASはその目標に関連する情報を自然に探し始めます。たとえば、「もっと自己成長に役立つ機会を見つけたい」と考えれば、RASはその機会に関連する情報を無意識のうちに集め始めます。
実践例:
目標を明確に設定し、毎日その目標を意識することで、脳がその達成に向けて自動的に働きます。たとえば「毎週1つ新しいスキルを学ぶ」といった具体的な目標を設定し、そのための情報を積極的に探すよう意識する。
(4) 自分の思い込みにチャレンジする
RASが私たちの既存の信念や思い込みに基づいて働くため、それにチャレンジし、自分の考えが正しいかを検証することも大切です。**「わかったつもり」**でいると、自分に都合の良い情報だけを集めてしまう傾向があるため、常に新しい情報や反対の意見にも耳を傾ける姿勢を持つことが必要です。
実践例:
「この考え方は本当に正しいのか?」と問いかけ、自分の知識や信念を見直す。
反対意見を意識的に受け入れ、自分の考えとどう異なるかを比較する。
(5) マインドフルネスでRASを調整する
マインドフルネスを実践することで、無意識にRASが働く様子を観察し、必要に応じて意識的にそのフィルターを調整することができます。マインドフルネスでは、今この瞬間の意識に注意を向け、RASがどのような情報をフィルタリングしているかに気づくことで、無意識に流されることなく、新しい視点を取り入れる余裕が生まれます。
実践例:
毎日数分間、マインドフルネス瞑想を行い、自分の思考や感情に注意を向け、RASがどんな情報に焦点を当てているかを観察する。
自分のフィルタリングされている思考に気づき、あえて違う考え方を試す。
4. RASのポジティブな活用例
RASを正しく活用することで、日常生活や仕事、学習の効率を大幅に向上させることができます。例えば、RASを使ってポジティブな目標や習慣にフォーカスすることで、関連するチャンスやリソースが自然と目に入り、行動に移しやすくなります。
ポジティブな活用例:
キャリアアップ:自分のキャリア目標を具体的にイメージすることで、キャリアに関連する情報が目に留まりやすくなります。新しい仕事の機会や、スキルアップのためのリソースが見つかるかもしれません。
学習効率の向上:新しいスキルや知識を習得したいと考えている場合、そのスキルに関連する情報や学習リソースがRASを通じて自然と見つかりやすくなります。
まとめ
RAS(網様体賦活系)は、私たちの脳のフィルター機能として重要な役割を果たしています。 RASは私たちの注意を向ける情報を選び、新しい情報を受け入れたり、不要な情報を排除したりします。しかし、RASがうまく機能しないと、自己成長の機会や新しい視点を見逃すリスクがあります。
RASを効果的に活用するためには、意識的に新しい情報を探し、自分の信念や視点に挑戦することが重要です。また、ポジティブな目標設定やマインドフルネスを活用することで、RASをより柔軟にコントロールし、自己成長や目標達成をサポートする力を引き出すことができます。