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「勝浦川」その1.勝浦川

徳島県徳島市や小松島市から勝浦川沿いの県道16号徳島上那賀線を車で1時間ほど遡ると、山あいの勝浦町の上流に位置する上勝町に着く。上勝町を通っている県道はこの道しかない。

上勝町は、2022年1月1日現在人口1,453人で、四国で一番人口が少ない町だと謂われている。

しかし、上勝町は近年「葉っぱビジネス」とか「彩(いろどり)」といったキーワードで有名になった。

かつて上勝町の基幹産業であった温州みかんをはじめとした果樹産業は、1975年をピークとする全国的な温州みかんの過剰生産による価格暴落の影響もあったし、山間部の傾斜地でみかんを作る効率の悪さもあって後継者が減り高齢化していたところに、1981年の大寒波でみかんの樹が全滅したことが大打撃となり農家は衰退の一途を辿っていた。

だが、上勝町農協に赴任して2年しか経っていなかった営農指導員の横石知二は、山の木の葉を和食料理を飾って彩る妻物(つまもの)として売り出すビジネスを思いついた。

農民たちの批判や反対もあったが、高齢の農家の夫人たちが率先して葉っぱを採るようになり、山の木の葉に「彩(いろどり)」という付加価値をつけたビジネスで過疎地域を活性化させ、そのエピソードは全国的に話題となり「人生、いろどり」という映画にもなった。

ただの葉っぱに「いろどり」という付加価値をつけてビジネスにした発想は、農作物と云えば米や麦や豆や芋を指していた時代に、果物を農産物にしようと考えた人たちのことと重なる。

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