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圧倒的な孤独を感じたいという願いが湧くとき、私は幸せの只中にいるのだ、という気づき【コーチングにまつわる話】
はじめに
今回の記事は、コーチたちのアドベントカレンダー企画に寄せて書きます。12月1日から25日まで、コーチたちが順々に記事を投稿しています。本日20日は、私の出番です。このような機会を作ってくれた THE COACH の仲間に感謝です。
今回のアドベント企画の全体テーマはこちらです。年末を控えたこの時期にしっくりくるテーマですね。
「これまでとこれから」
さらに、1日から25日までそれぞれ「問いカード」なるものが用意されておりました。ひとりひとりにテーマがあるってことです。まさにアドベントカレンダーです。20日の問いカードはこちらでした。
あなたが幸せだな~と感じる瞬間は
どんな時ですか?
ふむふむ。なるほどね。「幸せ」ね。どんな瞬間かしらね。そして「これまでとこれから」についても考えなきゃね。そして、なんといってもコーチたちのアドベントカレンダーだから「コーチング」についても触れたいよね。
なにやら盛りだくさんですね・・・
私は何を書くのだろうか。うまく書けるのだろうか。20日中に投稿できるのだろうか。読んでもらえるのだろうか。そんな不安と格闘しながら書き始めてみます。
最近湧いてきたビジョン
さて、ここのところ「今年の振り返り」と「来年どんな年にしたいか」をテーマにしたコーチングセッションを受けることが続きました。まさに「これまでとこれから」ですよね。
コーチングで「これまでとこれから」を扱うということは、具体的な事柄や状況や実績だけでなく、形になっていない、言葉になっていない気持ちも扱うので、思いもよらないものが出てきたりします。
「来年どんな年にしたいか」をテーマにセッションを受けているときに、私の中に浮かんできたものも、思いもよらないものでした。言葉にしてみるまで、私の中にあったことも自覚していなかった、私のビジョンでした。
世界の断崖絶壁を見に行きたい
ひとりで
誰もいないところで
天候も悪いオフシーズンに行って
断崖絶壁を目の前に圧倒的な孤独を感じたい
!!!
コーチが少し驚いたような顔をしていました。「断崖絶壁」とか、「圧倒的な孤独」とか、なかなかのパワーワードですよね。しかも、ひとりで、誰もいないところで、天候も悪いオフシーズンに行くってね。
でも、私はこれを言葉にしてみて、心からすっきりしました。これは、私のビジョンなんだとすぐに分かりました。来年どころか、この先数年に渡って追いかけたいビジョンなんだと感じました。
ビジョンとは、単なるやりたいことや目標を超えたものです。
私自身の中にずっと前から既にあった思いや願いが、この先の未来において何らかの形になって叶えられるべく、湧いてきたものです。ビジョンとは、ありたい姿、実現させたいあり方、と表現してもいいかもしれません。
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「世界の断崖絶壁」も、すぐにイメージが湧いてきました。
セブン・シスターズもフェロー諸島も以前から訪れてみたかったところです。でも、いわゆる絶景を見に海外旅行をしたい、という気持ちとは少し異なります。
行くだけじゃなく、眺めるだけじゃなく、五感をつかって景色を味わいたい。観光客の少ないオフシーズンに、ひとりで訪れたい。吹き飛ばされそうなくらい強い風に吹かれて、寒さに凍えながら、そこに立ちたい。そして、圧倒的な孤独を感じたい。
これが最近湧いてきた私のビジョンです。言葉にしてみて、すっきりしたし、しっくりきています。ワクワクします。
世界の断崖絶壁を見に行きたい
ひとりで
誰もいないところで
天候も悪いオフシーズンに行って
断崖絶壁を目の前に圧倒的な孤独を感じたい
そういえばかつての私も
ここで少し「これまでとこれから」の「これまで」を振り返ってみたいと思います。今年やここ数年の「これまで」ではなく、軽く30年程ほどさかのぼった「これまで」です。
「世界の断崖絶壁を見に行きたい」という願いに近い思いを持ったのは、私が高校生の頃でした。
当時、白川義員さんという写真家が、南極大陸にて撮影した写真を、写真展と作品集で発表されました。インターネットの普及がまだまだだった当時、どうやって情報を得たのか覚えていませんが、友達と連れ立って写真展を見にいきました。
その写真展で物凄い衝撃を受けました。この世のものとは思えない、天国なのか、地獄なのか、本当に地球上の景色なのか分からない、私が見たことのない南極大陸の姿がありました。
当時の写真展のチラシをまだ持っているはずなのですが、さっと見つけることができませんでした。(見つけたら載せます!) また、当時高校生の私たちには手が出せない値段だった写真集は、もう今となっては新品では手に入りません。
白川さんと白川さんの南極大陸の写真については、よかったらWebで検索してみてください。
白川さんによる南極大陸の写真に出会って、当時の私が抱いた将来の夢は「南極に行く」でした。この夢は、高校生から大学生になっても、そして、社会人になってからも、たびたび口にしていました。
今もって実現していない夢ですが、なんと30年を経た最近になっても、言葉にして残しています。私が THE COACH のプロコース(現在はインテグレーションコース)に進んだときに作成した「未完了・完了ワークシート」に「南極へ行く」と書き込んでいました。
「南極へ行く」
未完了。高校生くらいのときに思い立った夢。この「南極に行きたい」はここではないどこかに行きたい私の象徴的な思い。遠い、やや現実的ではない、本当に行きたいのかもはや分からない、でも、南極に行きたいと言い続けたい私がいる。
そして、「南極へ行く」という夢は実現させていないものの、そして、もう実現させたい夢なのか分からないものの、近しいことはしていました。
白川さんの写真を見て感じたときのように、この世のものとは思えない、天国なのか、地獄なのか、本当に地球上の景色なのか分からない、私が見たことのない景色を求めて行動していた私がいました。カナダに長く滞在していた20代後半の頃です。
『赤毛のアン』で有名なプリンスエドワード島を拠点にして、カナダ東部のあちこちを見て周りました。レンタカーや長距離バスを使って、バックパックを背負って、ホステルやバックパッカーズやB&Bに泊まって。
今の私が振り返ってみると、その頃の私が追い求めていたのは「圧倒的な孤独」を感じる景色でした。「断崖絶壁」にごく近い景色でした。
折角なので、当時の私の写真とコメントを紹介させてください。
ペギーズ・コーブ Peggy's Cove
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今回は、ハリファックスから少し郊外へドライブに行ったときの写真の紹介です。あいにく空模様がすっきりせず、ひどい雨こそ降りませんでしたが、どんよりした曇り空と気まぐれな霧に見舞われ、写真はどれも白黒で撮ったかのような仕上がりに・・・。
このドライブのメインの目的地は、広くむき出しになった岩場にぽつねんと灯台が立っている、この寂しげな景色が有名な、Peggy's Cove(ペギーズ・コーブ)という場所でした。
この広く荒涼とした岩場に立っていると、まるで、どこか世界の果てにいるような錯覚を感じます。
驚くべきことに、角がなく滑らかなカーブが続く岩だなの様子は、波によって洗われ削られたものではなく、大昔に氷河に削られた名残りだそう。
遠くさかのぼる年月の果てで、この世界の果てのような景色が作られたのですね。
ペルセ岩 Rocher Percé
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ケベック州の東端にある町ペルセというところにある、ペルセ岩です。大きな大きな岩なんです。オーストラリアのエアーズ・ロックには及びませんが(笑) 私がここを訪れた日は、運悪くも嵐でした。雨も風も強く、10月下旬という観光オフシーズンの街には、人っ子ひとり歩いていませんでした。写真は、嵐の雨風が弱くなった束の間、ペルセ岩に日が差したところです。
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「大げさではなく、命がけで撮りました」
さて、巨大なペルセ岩にできるだけ近づこうと、頑張りました。
雨は収まっていたとはいえ、嵐の日でしたので、風が強く、そして寒かった。波が白くなっています。ペルセ岩に一番近い対岸は小高い丘のようになっていて、登ってみると、岩を見下ろすとまではいきませんが、物凄く近くに見ることができます。どうにか近くで写真を撮りたいと、丘に登りました。風に逆らい、雨でゆるくなった足元を気にしつつ、壊れかけた柵のようなものを乗り越え、丘のギリギリ端っこに立ちました。もーしかしたら、立ち入り禁止の場所だったのかもしれません(笑) 下を覗くと予想以上に高い崖でした。必死の思いでカメラを構え、いくつか写真を撮りました。
やれやれと帰ろうとしたら、・・・ものの見事に転びました。いや、滑ったのかも。立ち入り禁止と思われる柵を越えた、崖っぷちで。ひゃあ、だか、きゃあ、だかの、悲鳴をあげました。周りに人はいなかったので、もちろん助けなど来ず、ひとりで冷静になって、そして、恥ずかしくなって、そろそろと立ち上がり、柵を越えて道を戻りました。
ナイアガラの滝 Niagara Falls
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「命がけだったナイアガラの滝見物」
なぜ命がけだったかというと、物凄く寒かったからです。11月も終わりに差し掛かるころでした。気温は0度近く、雪もちらつき、というか、吹雪き、お昼頃だったのに辺りはどんよりしていました。バックパッカーズ(宿)から40分くらいかけて必死に歩いて行ったのを覚えています。このあと一ヶ月くらいすると、この滝も凍ってしまうらしいです。すごいな。
カボット・トレイル Cabot Trail
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ケープ・ブレトン島の写真を紹介します。ここは、異世界のような空気が漂っていました。
風が物凄く強くて、白い角の無い岩場が続いていて、海と空はそれぞれ違う青さで目の前に迫っていて、私のほかは誰も人はいませんでした。カボット・トレイルをドライブ中に、ちょっと息抜きがてら降り立ったところです。
なんにもないところで、ただ圧倒的な景色が目の前に広がっていて、なんだか「遠いところにきてしまった」感じがしました。
もちろん、本当に遠いところでした。
東京からはもちろん、PEIからも、ノヴァ・スコシア州の州都からも、ケープ・ブレトン島の市街地からでさえも「遠い」と言える距離でした。その日は既に、200km近く走っていましたし。・・・距離だけではなくて、なんだか時間の流れや空気の感覚も、「遠い」感じがしました。
・・・それにしても、風さえ無かったら、あの岩場に座っていつまでもぼーっと海を眺めていることができたのに。冷たい強い風のせいで、実は5分もいることができずに引き揚げてしまったんです。
以上はいずれも、20代後半の私がかつて運営していたBlogに残していた写真とコメントです。懐かしいな。
ほとんどひとりで、オフシーズンに、断崖絶壁に近い景色を追いかけていました。「遠い」とか「孤独」とか「世界の果て」とか、この頃から求めていたんですね。
こうして「これまで」を振り返ってみると、面白いことに「これから」のビジョンにほとんどピッタリ重なるものがあります。
世界の断崖絶壁を見に行きたい
ひとりで
誰もいないところで
天候も悪いオフシーズンに行って
断崖絶壁を目の前に圧倒的な孤独を感じたい
そういえばかつての私も同じビジョンを持っていたんだ、と気づいたとき、私はこの30年間揺らぐことの無かった私自身があったことを発見しました。きっとこれが、「自分軸」とか「芯」とか表現されるものなんだと感じています。
何に幸せを感じるか
ここで、この記事を書くにあたって私に用意されていた「問いカード」を改めて見てみます。
あなたが幸せだな~と感じる瞬間は
どんな時ですか?
この問いカードの文言を見たときに、さっと頭に浮かんだのは、村上春樹さんの「小確幸(しょうかっこう)」のことでした。ご存知ですか?
個人的な「小確幸」
(小さいけれども、確かな幸福)
小確幸は、村上さんによる造語だそうです。でも「小さいけれども、確かな幸福」って、誰しも思い当たるものがありますよね。私にもあります。
美味しいものを食べる、お風呂にゆっくり浸かる、本を読む、お風呂に浸かりながら本を読む、あたたかいお布団にもぐる、好きな音楽を聴く、好きなアーティストのことを考える、チョコレートを食べる、あたたかい麦茶を飲む、学生時代からの友達とのやりとり、カナダのことを話す、『赤毛のアン』のことを話す、好きな映画を見る、本棚の整理をする、シールや便箋の整理をする、岩盤浴に行く、長い散歩をする、綺麗なお月様を目撃する、自然の中で深呼吸する、電車の中でうとうとする、猫を見かける、ヤギを撫でる、英語で会話を交わす、、、エトセトラ、エトセトラ。
でも、今回の問いカードが求めている「幸せだな~と感じる瞬間」とは少し違うような気がしました。いや、小確幸とは少し違った捉え方をしたいと思いました。
そこで私の中をよぎったのは、最近湧いてきたビジョンでした。再び。
世界の断崖絶壁を見に行きたい
ひとりで
誰もいないところで
天候も悪いオフシーズンに行って
断崖絶壁を目の前に圧倒的な孤独を感じたい
前述した通り、私がこのビジョンを言葉にしてみたとき、心からすっきりしました。これは、私のビジョンなんだとすぐに分かりました。来年どころか、この先数年に渡って追いかけたいビジョンなんだと感じました。
ビジョンを言葉にしてみたとき、それはもうほとんど「幸せ」といっていい瞬間でした。小確幸とは明らかに違う「幸せ」でした。
ビジョンとはなにか
ここで THE COACH のリソースフルコーチングの紹介をさせてください。私たちが言う「ビジョン」とはどういうものか、説明させてください。
「リソースフルコーチング」
自分自身に本来備わっているリソースを自覚し、
その力を発揮することで、
ビジョンを体現して生きるためのコーチング
リソースフルコーチングは、クライアントが人生の目的やビジョンを明らかにしたいとき、大事な価値観を明らかにしたいとき、何か挑戦したいけれど踏み出せないときに、コーチがクライアントの既に持っているリソースに光を当てて伴走するコーチングです。
ここでは「自分自身に本来備わっているリソースを自覚し、その力を発揮することで」の部分に注目します。
ビジョンが立ち現れたとき、つまり言葉にされたとき、もう既にそのビジョンを体現させるためのリソースを持っているのだと自覚することが、ビジョンを叶える第一歩なのだと思います。
私は「ビジョン」自体が、それを言葉にしたクライアントの可能性を証明しているようなものなんだと感じています。
さて、もう一度私のビジョンを見てみたいと思います。
世界の断崖絶壁を見に行きたい
ひとりで
誰もいないところで
天候も悪いオフシーズンに行って
断崖絶壁を目の前に圧倒的な孤独を感じたい
私はこれを言葉にしてみて、心からすっきりしました。言葉にしてみて、すっきりしたし、しっくりきました。ワクワクしました。
そしてもう、断崖絶壁を前に、強く冷たい風に吹かれ、圧倒的な孤独を感じている自分をありありとイメージしました。私の中でもうビジョンは体現されていました。
それはまさに、自分の中にあるリソースを自覚し、その力を発揮できると信じている状態でした。揺るぎない「自信がある状態」とでもいうのでしょうか。
しかも、「圧倒的な孤独を感じたい」なんていう気持ちは、現在の私が現状に十分満足しきっているからこそ、物足りないと感じるくらいに満足しきっているからこそ、湧き上がってくるんだと感じています。いわば、私は幸せの只中にいるのです。
私のビジョンはかつての私も持っていたものでした。しかも、ほとんど体現されていたビジョンでした。そして30年の時を経ても変わらぬビジョンを持っていることに気づいたとき、面白いなと思うと同時に、私は私自身がちゃんと「自分軸」とか「芯」というものを持っていたことが分かったんです。
それに気づいた瞬間は、紛れもなく「幸せだな~と感じる瞬間」でした。
お薦めの「断崖絶壁」ありませんか
ここまでお読みいただきありがとうございました。長かったですよね。
何度も私のビジョンを出しまくったので、もうこれは本当に断崖絶壁を見に行かないと!と思っています。自分で自分をがけっぷちに追いやっている気分です。
文中でちらりと出したセブン・シスターズやフェロー諸島のような絶景を臨める場所をご存知の方がいらしたら、ぜひ教えていただきたいです。
お薦めの「断崖絶壁」を募集します。
あなたのビジョンに光を当てたい
そして、最後にコーチングのクライアントさんを募集させてください。「あなたのビジョンに光を当てたい」と思っています。一緒にあなたの「ビジョン」探してみませんか。既にある「リソース」に気づいてみませんか。
クライアントさん募集にあたっての思いを書いた記事もあります。
お申込みフォームのリンクも貼っておきます。
少しでもご興味ある方は、ぜひ体験セッションのお申込みを。
2024年、年内のお申込みであれば無料で承っております。年明けから、いくらかの料金を頂戴するつもりでおります。
来年の私は「断崖絶壁を見に行くコーチ」になっているはずです。
おわりに
というわけで、ここまで辿り着いて、なんとか本日20日に投稿できそうで安心しています。盛りだくさんでしたが、ここのここまで読んでくださっている方がいらしたら、本当に感謝です。
そして、こういうちょっと気合を入れて記事を書く機会を作ってくれた、THE COACH 仲間の まほさん と みどりん にも感謝です。夏のアドベント企画に続いて、またまた素敵な企画をありがとう。
今回この記事を書くにあたってBGMにしていた音楽も紹介させてください。
カナダのケベック州のシンガーソングライターです。「Alone Together」なんて、孤独なのかそうじゃないのか分からないな。でも、今の私にピッタリ合うような気がしました。
冒頭の写真もいわずもがな、カナダのものです。文中にも登場したペギーズ・コーブです。また行きたいな。
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