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カナダ旅行記2023 ⑲ ケベックシティでお気に入りの美術館と博物館

5年ぶり9回目となるカナダへの渡航について徒然なるままに、その時々の思いを残しておきます。脈絡なく、率直に、その時々の思いを。

今回はケベックシティでお気に入りの美術館と博物館を紹介します。お気に入りといっても、そう何度も訪れるわけにはいかない地にあるので、今度はいつ行くことができるのか・・・。いつか再訪する日を楽しみに、この記事を書いています。

これまでの記事はマガジンに纏めています。始めから読みたい、再度読みたい、という奇特な方に向けてこちらにマガジンのリンクを貼っておきます。お読みいただけると嬉しいです。




ケベック国立美術館 Musée national des beaux-arts du Québec


まずは、ケベック国立美術館です。

私が初めて訪れたのは、2005年の11月のことでした。寒空の中、旧市街から必死に歩いて向かったのを覚えています。その時に見た展示物がなんだったのか、具体的には何も覚えていないけれど、美術館の建物と雰囲気は今でも印象に残っています。一部の建物はもともと刑務所だったという歴史を持つ美術館なんです。またあの雰囲気を味わいたいとずっと思っていました。

昨年2023年に訪れたとき、美術館の周りの雰囲気がだいぶ変わっていて驚きました。下調べなしに向かったので、新しい建物が加わったことを知らなかったんです。2016年にできたようですね。

ケベック国立美術館のHPから拝借した写真より
ケベック国立美術館 新しいエントランス

美術館は戦場公園(Parc des Champs-de-Bataille)の一画にあり、4つの建物で構成されている。ジェラール・モリセット館(Gérard-Morisset Pavilion:歴史的美術)、シャルル・ベヤージェ館(Charles Baillairgé Pavilion、近代美術)、ピエール・ラソンド館(Pierre Lassonde Pavilion、現代美術)、中央館(Pavilion Central)である。

wikipedia より

今回入ることができたのは、新しい建物であるピエール・ラソンド館(Pierre Lassonde Pavilion)だけでした。昔訪れたところはすべて工事中だったんです。懐かしい場所を訪れるという目的はあっさり失ってしまいました。残念。

とはいえ、ピエール・ラソンド館の展示も、そしてその建物自体も素晴らしかったです。建物内部の写真をちゃんと撮ってくればよかった。開放的でそこにいるだけで気持ちの良い空間が広がっていました。

展示室に向かうために乗ったエレベーターが凄くて、これはちゃんと写真に撮っていました。とても大きく、そして金ぴかだったんです。


エレベーター金ぴか
乗り込む前
乗り込むとこんな感じ


広さも高さもあるエレベーターでした。美術品の搬入にも使うために、ここまで大きくしているんでしょうね。団体のお客さん達も一気に乗り込めそうです。

エレベーターで展示フロアまで上がると、広く静かな展示スペースが待っていました。この日は来館者はそれほど多くなく、ゆっくり見て回ることができました。

ケベック国立美術館は、ケベック州やカナダ全体で生まれた美術作品と、そして世界中の現代美術の作品を見ることができます。ピエール・ラソンド館は現代美術の作品が多めでした。


イヌイットアートのエリア
現代インテリアのエリア


おかしかったのは、現代アートのフロアにいた学芸員か警備員かのおじいさんが、物凄くおしゃべりだったことです。「作品は写真は撮っていいけど触っちゃ駄目だよ」と案内してくれたのですが、そのあと、「どこからきたの?日本なの?」と続き、片言で知っている日本語を片っ端から披露してくれました。ブシドーとかカブキとか。

おじいさんは英語は決まった案内トークしか話さないみたいで、フランス語でどんどん話しかけてくるのですが、私はフランス語がさっぱりだったので申し訳なかった。でも、おじいさんは通じているかどうかはお構いなしで、どんどんおしゃべりを進めていました。

静かな空間におじいさんの声が響き、なんだか和みました。私が一通り作品を見終わってそのフロアを出るときも、手を振って挨拶してくれました。


馬たちが壁を走っている!
現代アートのエリア
ケベックの作家によるフレスコが常設展示になっていました


建物のデザインや現代美術作品が好きな方にお薦めの美術館です。他の館の工事が終わったら、また行きたいなあ。


お手洗いのサインもおしゃれ




文明博物館 Musée de la civilisation


そして、文明博物館です。

ここも私が初めて訪れたのは、2005年11月のことでした。当時のケベックシティの街中にはあちこちに衝撃的なポスターが貼られていました。文明博物館の企画展のポスターでした。


2005年当時、街中に貼られていたポスター


「AUTOPSIE D’UN MEURTRE」は「死体の検死」という意味です。このポスターの彼女は殺人事件の被害者なんです。彼女はどうして死んでしまったのか。検死と犯人を捜す過程を疑似体験できるという企画展示でした。

この衝撃的なポスターをケベックシティの街中のいたる所で見かけました。ちょっと怖いですよね。でも興味が湧きますよね。どんな展示なのだろうと思って向かったのが、文明博物館でした。

この企画展示は人気があったのか、かなり混んでいました。当時『CSI:科学捜査班』の全盛期だったと思いますが、その雰囲気を味わえる展示でした。ただですね、ただひたすら難解でした! フランス語だけでなく、もちろん英語でも説明はあったけれど、日常英会話が精一杯だった私にはとても理解できませんでした。たぶん、今でも無理です。

それでも、なんて面白い企画をするのだろう! と感動しました。その場にいた大人はみんな夢中になって展示を追っていました。途中で何かの確認のために引き返してくる人がいたり、知らない人同士で「ああでもない、こうでもない」と話し合っていたり、実に楽しそうでした。


文明博物館の建物


さて、現在に話を戻します。昨年2023年に訪れたときには、「Love me Gender」と「Our Time on Earth」というキャッチフレーズを元に、ジェンダーについての企画展示と、人と環境についての企画展示がありました。

他の企画展示や常設展示もあったのですが、もはや記録と記憶に残っておらず・・・。こういう旅の記録は早く書いた方がいいなあと反省中です。

とりあえず、ジェンダーについての企画展示についてはリンクを貼っておきます。自分のジェンダーについて何らかの表明をした人々のポートレートがずらりと並んだコーナーが素敵でした。


人と環境についての企画展示のコーナーは興味深かったです。気候変動による危機をテーマにしていました。

経済発展と倫理的葛藤


私たちにとって大事な問題と分かっていても、なかなか自分事として考えることのない問題ってたくさんありますよね。この企画展示は、そういう問題について私たちの意識が向くように、様々な種類の展示を通して仕掛けてくるわけです。



私にとっては「Ethical Dilemma(エシカルジレンマ)」という言葉がお土産になりました。たまにはこういう展示を見に来るのって大事だなとも思いました。

この展示についての日本語の記事がありましたので、リンクを貼っておきます。日本での開催を呼び掛けています。




文明博物館も、建物デザインが素敵なところです。広いっていいですねえ。あちこちにベンチやソファがあって、適度に休み休み、展示を見て回りました。この日はお天気が良くなかったので、かなりの時間をこの博物館の中で過ごしました。


ロビーにある常設展示


随所にケベックらしさ、カナダらしさを感じる展示もありました。ロビーに入ると目につく展示は、ここの地で発掘された先住民のボートがそのまま展示されています。遺跡の上に文明博物館を立てたのですね。




さて、今回はここまで。お読みくださった方ありがとうございます。ケベックシティに行く機会があれば、是非是非この美術館と博物館で時間を過ごしてみることをお薦めします。

私もまた行きたいものです。普段はほったらかしにしている感覚や思考を刺激してくれる場所です。そういう刺激って大事ですよね。

さて、次の記事がいよいよ「カナダ旅行記2023」のラストになります。まあ、後は飛行機に乗って帰るだけなので、書くこともあまりない気がするけど。またお読みいただけると嬉しいです。

ここまでお読みいただいたことに感謝です。毎回生みの苦しみを感じつつ投稿しています。サポートいただけたら嬉しいです!