ピーキングに関する考察2
前回のぼやきでは、ピーキング、
ピークパフォーマンスと声高に言っている
今のスポーツを取り巻く状況と
最低ラインの引き方を書きました
つまりアスリートとしていかに
一貫性を保てるか、
振れ幅のブレが少ない
パフォーマンスが出来るかが、
非常に大事だと書いています。
ピークパフォーマンスに関する疑問
今回はピークパフォーマンスに
関して常々考えていた疑問を
書いていきたいと思います。
”もしピークパフォーマンスで
負けた場合は
それをピークパフォーマンスと
呼べるのだろうか?”
ピークパフォーマンスとは
では、それでピークに持って行けているのに、
つまりパーソナルベスト、
自己新記録が出ているのに
それでも結果がでない、
それでも試合に負けてしまう、
それでも予選敗退してしまう。
元アメリカ代表長距離選手である
Kara Goucherは北京五輪で
10,000mを自己ベストで走りました。
でも、メダルには届かなかった。
周りから”お前は途中で諦めた”
みたいなことを言われたようです。
選手は自己ベストを
出したのに負けた。
これをピークパフォーマンスと捉えるのか?
勝負の世界です。必ず勝者と敗者がいる。
勝った人間が今シーズン最悪のパフォーマンスで、
負けた人間が今シーズン最高のパフォーマンス。
あり得る話です。
ただし多くの人がピークパフォーマンスが
出なかったことを負けの言い訳にしすぎだと思う。
前回にも書いたが、
ベストではないから試合にならないのか?
肉体的・精神的医療上の問題や
それ以外の特別な場合を除き、
答えはノーである。
実力不足や準備不足といった方が
いいのではないか?
勝負世界です。
どれだけ頑張っても
勝てない人間はいます。
ピーキングなんぞやってられるか!
金メダル2連覇をサポートした時に、
この選手はリオでは世界新記録で金メダル、
ロンドンパラ世界陸上では
自身の世界記録を大きく下回る
パフォーマンスで金メダル。
リオが自身の120%の力とすれば、
ロンドンは80%ぐらいのものです。
両大会前共に怪我をしていたので
ピーキングなんぞ言っている
場合ではなかった。
とにかく痛みなくプレーできるように
しなければいけなかった。
ここで前回の話ですが、
勝つための”最低ライン”を決めること、
そしてピーキングの定義を
することが大事になってくる。
自分がサポートした
金メダリストは幅跳び選手であった。
なのでまず最低でもどれだけ
跳べれば彼は勝てるのかを考えた。
そして、ピークパフォーマンスは
今の技術や身体能力の伸び代を
考えてこれだけ跳べればまずは
ピークであろう、
という考えに行き着いた。
最低勝ちラインと最高勝ちライン、
その差分はなんと40cm程。
0コンマ何秒や何ミリを戦う
アスリートにとってはありえない
振れ幅と思われるかもしれないが、
そんなもんである。
特に支配的な才能と能力を持つ
世界一位と働いている場合は
このようになるのだと思います。
ここで気にしていただきたいのは
ピークパフォーマンスに”であろう”と
付け加えたことだ。
正直世界一位になるエリートアスリート、
特に若い選手達、の伸び代は計り知れないし、
ベテラン選手達にも
どれほどの力が残されているのかも
全くわからない。
だからこれがピークパフォーマンスの
”であろう”なんです。
自分はベストチームが
勝つところも見てきたし、
ベストチームが負ける
ところも見てきました。
だから自分はピーキングや
ピークパフォーマンスなどを
あまり信用していないです。
むしろ大事なのは
いかにベストの状態であろうと
無かろうと様々な状況下で
勝てるように
一貫性を持つ選手を育成し、
能力の底上げをすることです。
もう一度聞きます。
ピークパフォーマンスで負けたら、
それはピークパフォーマンスと言えるのか?
ピークパフォーマんではなかったを
負けの言い訳・理由にするべきなのか?
自分の答えは、
ピークパフォーマンスで
負けることもあるし、
言い訳・理由には
全くならないと思っています。
実力不足・準備不足なだけです。
もちろん勝っても
負けても試合から帰ってきた
選手達にかける言葉は
いつも通りです。
”Did you enjoy?(楽しめたか?)
I will be here for you. (俺はここにいるから)”
です。
さて次回は最低ラインを作り、
ピークパフォーマンスの定義を
作った後にどのように
パフォーマンスを上げていくのかを
シェアしていきたい。
以上
参考文献:
Wells, G., 1998. Peak Performance: A Literature Review.
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