ピリオダイゼーションは必要?いいところと悪いところ。
今日はピリオダイゼーションの良い所と悪いところを4つの文献を元に話していこうと思ってます。基本的な概念なんかはすっ飛ばして行くので、ピリオダイゼーションに馴染みのない人はフーンで大丈夫です。
最初に
まず最初に伝えておきたいのはピリオダイゼーションは未完成の概念・ツールです。今から話すことの元となる4つの文献からもピリオダイゼーションの良い所と悪いところが両方書いてありました。つまり、自分たちよりも頭のいいスポーツサイエンティスト達ですら確固たる答えを見つけていないものになります。では、早速ピリオダイゼーションの悪いところから書いていきます。
ピリオダイゼーションの悪いところ
1) まず一番大きな問題はピリオダイゼーションのモデル、つまり作り方にコンセンサスがないということです。ピリオダイゼーションといってもLinear, Non-Linear, Tactical, Blockなどなど様々なもでるがあるわけですが、このモデルはこういうものをいうといった学者や現場で働く人達の間でのコンサセンサスは取られていません。そして、更に悪いことに長年の研究ではピリオダイゼーションの肉体的な部分、つまり筋力やパワーなどの項目にしか注目が集まりませんでした。が、Mujika et al (2018, p.538) には包括的なピリオダイゼーションが必要であるとしています。 つまり、ウェイトトレーニングやコンディショニングセッションなどのフィジカルの部分だけでなく、栄養やスキル、心理的スキル、リカバリーもピリオダイゼーションに組み込む必要があるとしています。個人的にはケガ予防としてのトリートメント・リハビリにもピリオダイゼーションを入れています。
2) 次に Cosic (2019, p.174) が言うように、多くのリサーチではアスリートではなく、運動を良くする一般人を多く扱っています。つまり、一般人でうまく言ってもエリートアスリートでは通用しないという事はありえますし、またその逆も真です。
3)最後に、Afonso el al (2020, p.41) and Vladimir (2021, p.167)ではピリオダイゼーションのモデルの中にはちゃんとしたリサーチを経ずに世に出回っているものもあるということです。ここでの代表格はサッカー界で有名になったタクティカルピリオダイゼーションがあります。Afonso el al (2020, p.41)ではリビューしようとしても、他の文献の質が基準に達さずリサーチ自体が出来なかったと書いています。但し使用しているチームの結果は残っているので削除するのではなく、建設的な疑問を持ち続けることは大事だと思います。
ピリオダイゼーションの良いところ
As Mujika et al (2018, p.539)の提言では、ピリオダイゼーションを自分たちの方向性とを決めていくツールと見なし、日々アスリートをサポートするべきだとあります。それにより、順序だった包括的なプログラムを通し、選手のパフォーマンスを最適化出来るとしています。現場的には、 この側面は非常に重要になると思っています。なぜならそれにより、「今までAということをやってきた、そして将来はBというものになりたい。なので今日はCということをする」と言った論理的な会話がアスリートやコーチ達と持てるからです。つまり、今日は過去と未来に基づいて効率的にトレーニングが出来るということになります。また参考文献で述べられていませんが、ピリオダイゼーションがあることで他のサポートスタッフと同じ方向を向いて会話が出来ます。これはスタッフが増えてくると起こるコミュニケーションミスから起こる問題を最小化してくれます。
ピリオダイゼーションを有効に使用していくには、Mujika et al (2018, p.539) では、我々の柔軟な対応、つまり適切な変更が必要としています。計画どおりに行くときもあれば行かないときもある、なので測定や日々のモニタリングから適切な変更を行い、計画をより良いものにしていく。またピリオダイゼーションを定期的に振り返ることも大事になってくるでしょう。ここでも必要とあれば、適切な変更は大事になってきます。
最後に
一度作ったことがあれば、わかると思いますが計画はそのままに行かないことが保とんです。では、なぜわざわざ作るのか?それは自分たちの持つパフォーマンスに関する仮定を常に見つめていくためだと思います。我々はAという問題が昨シーズンにあった、なのでBというプランを立てた。が、予想外のCという状況からにプランを変更、B+というプランを作成。これによりAをより効率よく解決できたが、逆にDという問題が浮き彫りになった。
上記のようにピリオダイゼーションは自分たちの持っている、そしてこれからも持つ”問い”を解決に必要なマップ、もしくは今まで解決してきた問題をどう解決したのかがわかるものだということです。
以上
Reference:
1) Mujika, I., Halson, S., Burke, L.M., Balagué, G. and Farrow, D., 2018. An integrated, multifactorial approach to periodization for optimal performance in individual and team sports. International journal of sports physiology and performance, 13(5), pp.538-561.
2) Afonso, J., Bessa, C., Nikolaidis, P.T., Teoldo, I. and Clemente, F., 2020. A systematic review of research on Tactical Periodization: Absence of empirical data, burden of proof, and benefit of doubt. Human Movement, 21(4), pp.37-43.
3) Koprivica, V., 2012. Block periodization–a breakthrough or a misconception. Sport Logica, 8(2), pp.93-99.
4) Ćosić, M., 2019. Periodization models in the research of the muscle strength in athletes, theoretical-methodological reductions or non-critical positivism in sport-scientific periodics. Fizička kultura, 73(2), pp.174-189.